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【ひとこと作品紹介】拳銃キッド

hitokoto_img第20回

拳銃キッド

執筆者:事務局

デビュー間もない望月先生が描く、西部を舞台にした活劇漫画。
見事なGUN捌きと堂々とした立ち振る舞いで見る者を惹きつける拳銃キッドの勇姿に、早くも飛葉や次郎のようなその後お馴染みとなる望月少年ヒーローに共通する魅力を感じることができる、黎明期の望月アクション。

【作品名】
拳銃キッド

【掲載誌】
1960年
「冒険王」夏休み増刊号付録(秋田書店)

【単行本】
未収録

【ページ数】
48ページ

【あらすじ】
(扉絵より)
西部にこだまする銃火!!拳銃キッドの大かつやくをみよ!!
☆なぞのシェリフの正体は? 拳銃キッドとはなにものか!? 息づまる西武活劇まんがだ!!


アメリカ西部の町で、殺人罪の銀行強盗として囚われている男を引き取るためにシェリフ(保安官)事務所に無法者三人組がやってくるところから話は始まる。
しかしそこに現れたシェリフのダマレエは、訪ねてきた男たちがかつて一緒に悪事を働いていた仲間だと知ると、一味を皆殺しにしてしまう。
「昔のおれをしってるやつはいかしておけない」

捕らえた男に盗んだ金のありかを吐かせるダマレエ。
男は金を、誰も寄り付かず危険な町となったゴーストタウンに隠したと白状する。
そこでダマレエは町の腕自慢の中から優秀な者を何人か選び、臨時の助手として雇う事にした。
集まった中には、ひときわ銃の腕前が優れた少年がいた。
彼こそ、これまでに12人の無法者を捕えたと言われる拳銃キッドだった。

かくしてダマレエは、拳銃キッドら集められた先鋭たち、そしてただ一人金のありかを知る強盗犯スクラップを引き連れて、ゴーストタウンへと向かうのであった。

「ダマレエさん 町をでたら命にきをつけなよ
アパッチは おれがこんなめにあってるのを だまってみてないぜ」

不敵な笑みを見せるスクラップの言葉通り、一行は絶えず先住民族たちの陰に狙われ続けることになる。
野営の見張りが一人また一人と襲われ、逃げ出す者は崖の上から弓の餌食となり仲間を失っていく。
遂に生き残りがダマレエ、キッド、スクラップの3人だけとなったとき、敵は一斉に攻撃を仕掛けてきた!

なんとかゴーストタウンまで逃げ延びた一行は、そこで最後の勝負に出る。

果たして生き残るのは誰か?
金は無事に取り返すことができるのか?
そして最後に、ダマレエ、さらにキッドの正体が明らかになる!


【舞台・主要キャラクター】
(見返し登場人物紹介より)
【GHOST・TOWN】
一九四八年カルフォルニヤに金鉱が発見された。
ひともうけをたくらむ人々は、どっとその地におしよせた。
それらの人々が金鉱をもちさったあとは、幽霊のすみそうなさびれた町にもどってしまった。
その町を、人々はゴーストタウン(幽霊の町)という。
【拳銃キッド】
その名は2丁拳銃のうまさとともに、全国にひびきわたっている。
この話は、13人目の話しで、すでに12人の無法者を解決している。
【ドナルド・ダマレエ】
シェリフで、悪をにくむあまりたましいをつめたくしてしまった男である。
【オール・スクラップ】
人殺しと銀行やぶりを職業とおもいこんだ男で、抜打ちの早さは、ゲーリー・クーパー以上と自信をもっている。

【作品解説】
1960年「少年クラブ」お正月臨時増刊号に掲載の『特だねを追え』(※望月三起也 生誕80周年&『ワイルド7』50周年記念 (文藝別冊)に収録)でデビューを果たした望月先生の2作目となる作品が、同年夏に「冒険王」に登場したこの『拳銃キッド』。

前回の8ページから大幅に増えた50ページ弱の物語は、ユニークなネーミングで謎めいた登場キャラクターとともに
腕の立つ助手を選ぶための入団テスト、
常に敵に狙われ続けながら旅する追跡譚、
サービス精神旺盛で端々に挿入されるギャグ
と、既にお得意のシークエンス・望月節がふんだんに盛り込まれていることに驚かされる。

その後のタッチに比べて頭身が低く、桑田次郎氏を思わせる丸い目のキャラクターたちが地面に直立してる場面もいくつか見られるものの、アクションシーンでは一転してコマの中を縦横無尽に暴れまわり、体をよじらせ、大きく膝を曲げ、足を投げ出すポーズがとても躍動的な印象を受ける。
それは人物だけでなく、西部劇ということで至るところに登場する馬の一頭一頭まで、非常にエネルギッシュな描かれ方をしているところにも表れている。

また映画の影響と思える手前に物を置いたり奥行きを感じさせる構図など、随所に画面を飽きさせない工夫が施されているのは実に望月漫画らしく、まさに本領発揮といった感じがする。
なお、この作品は本誌ではなく別冊付録という形で掲載された。

丸々「望月三起也の本」ということでファンにとっては記念すべき一冊となるわけだが、それは望月先生自身にとっても同じだったと思われる。

後にぶんか社コミック文庫『ワイルド7』が刊行された際、毎回カバーの作者プロフィールでは先生が好きなものと一緒に撮影する凝った演出がされ、その初回(1巻)では【わが家の至宝「手塚大明神」の漫画本】ということで、子供の頃に必死で手に入れた手塚漫画をその頃のように夢中で読みふける姿が載っている(著者近影なのに肝心の顔が写っていない!)。
巻末のコラムでも触れているが、そこで念願の「手塚作品と自分の作品を並べる」という夢を実現させるため、連載デビュー作『ムサシ』が一緒に写り込んでいる。
よく見ればその横に『拳銃キッド』が置かれているのも確認することができる。

やはりこの一冊はお宝だったようだ。


(yazy 記)



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2026 年 5 月 8 日   固定リンク   |   トラックバック(0)


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