ヘボピー 「死ぬかい?」
八 百 「このまま手渡すわけにゃいくまい…
いっちょ死んでやるか…!!」
(ワイルド7・ヒットコミックス版14巻・129P)
「ワイルド7・緑の墓」で極左グループ紅軍団一派に囲まれ、まさに四面楚歌状態でのヘボピーと八百のセリフです。
ワイルド7のメンバーが皆、死を覚悟して任務にあたっていることは他のエピソードでもうかがい知れますが、この「緑の墓」での二人のセリフは短いせいもありますが、特に“死”に対する覚悟が印象に残ります。
ワイルドのメンバーは皆犯罪者です。草波勝にスカウトされなければそのまま刑務所とシャバを行ったり来たりのワルの集まりです。彼らの中にある共通した“正義感”を見抜きスカウトしていったのが草波勝という男です。
草波の目は正確でした。個性の塊のようなメンバーに共通するのは、その心の中に隠していた“正義”と“友情”でした。
「命令は絶対」などと縛っておきながら、誰よりも自分の選んだ部下として、メンバーを信じていたのは草波隊長なのだと思います。
また、このセリフを、制服も着用せずにヒッピーの思想から抜け出し切れていないヘボピーと、普段はキザでクールな二枚目然としている八百に言わせているところがこの「ワイルド7」という作品の妙です。
メメント・モリ(自分がいつか必ず死ぬ事をわすれるな)この死生観を無意識の中に感じてワイルド7のメンバーは任務を遂行していたのでしょう。
「ワイルド7」が描かれた70年代は、まだ若者が主義や正義の為に命を賭すことが存在していた時代でした。この熱さが望月作品の根底にあります。
本の寿命は短くなりました。しかしこの「ワイルド7」という作品が、出版社を変え、連載終了後29年経っても版を重ねてきているのは、変わらぬ“熱さ”を皆が感じ取っているからに違いないからだ、と思います。
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望月先生のコメントは 望月三起也作品‥‥心に残るセリフ(3) にて
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