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望月先生の画の魅力を示す言葉のひとつとして、「画が動いて見える!」というのがあると思います。
先日紹介した、ぶんか社文庫判「秘密探偵JA」第8巻のカバーイラストを例にあげて、この「秘密」の解説を試みたいと思います。なにぶん素人なので、あくまで「試論」ということでお読み下さい。
まず、バックに大きく描かれたSS戦車兵の顔に目が行きますね。人の目はまず「顔」に行くと言う習性があり(雑誌の「表紙」を見れば分ります)、しかも目立つ黒系の色です。これは書店で客に本を手に取ってもらうためのカバーイラストですから、大きく人物の顔を描くのはマーケティングの視点からも正しいと思います。
そして、この人物の視点が右斜め上に行っていますので、自然に書籍のタイトルに目が行きます。これも正しいですよね。そしてそこから急降下爆撃機「スツーカ」の尾部から期待に沿って視点が下がります。
すると、伸びた左手に視点が移り、最後に主人公飛鳥次郎の顔に目が行きます。イイ落ちじゃないですか。
このように、読者の視点が自然に移動して行くように画面が設計されているわけです。
読者の視点が移動するということは、漫画のコマを順に読んで行くことと同じですから、「時間(の経過)」が表現されているということになります。
つまり、この1枚の画には、見えませんが「コマ」があり、動きがあるということになります。
日本の漫画は「上から下」「右から左」が視点移動のルールですが、この1枚の画の中にそのような視点移動があるので、スツーカが急降下し、飛鳥次郎が動き出しそうに見えるんですね。すごーく面白いと思います。
スツーカの45度の急降下角度と飛鳥次郎のポージングが、画面全体に緊張感をもたらしていますね。この大胆なレイアウトとポージングはなかなか発想できないと思いますよ。
ちょっとマニア的な視点から見ると、まずスツーカの翼下の急降下ブレーキが開いた状態で描かれているのがウレシイですね。本来垂直尾翼には鉤十字が描かれているのですが、最近はプラモデルの箱絵などでも自主規制で描かないことになっているので空白にしてあり、それではノッペリすると考えたのか弾痕のようなものが描かれていますね。
面白いな、と思うのはスツーカのコクピットが描かれていないことです。自動車やオートバイだとヘッドライト周り、飛行機だとコクピット周りは「顔」に見え、視点がそこに留まってしまうのですが、この画の場合それがないので、読者の目が飛鳥次郎の方に自然に向うんですね。
この画の目的は、最終的に主人公飛鳥次郎に読者の目を行かせることだと思うので、スツーカのコクピット周りが描かれない(見えない)構図で描かれているのは効果があるし、意図的だと思います。
飛鳥次郎の服が紅白カラーで、戦車兵とスツーカのミリタリーカラーとはまったく色調が異なるのも効果的だと思います。
いやぁ、本当に良い画ですよねぇ。ドイツ兵とスツーカとか描いていて楽しそう。そういう雰囲気が伝わってくるのも素晴らしいと思います(笑)。

【JA8_2.jpg : 0.8MB】
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