月刊望月三起也タイトル画像
望月マニ也

第112回

飛葉・ウッズマン+α

執筆者:   2024 年 8 月 5 日

これまでもさまざまな人が飛葉やメンバーの銃について語ってくれていますが、まだこんな切り口があったのか!と膝を叩くこと請け合い。今回もたくさんの画像で見応えもたっぷり!

今回はウッズマンに拘らず、印象に残っている飛葉使用銃の特集です。(順序不同)


先ずは、読切作品「優しい鷲」(単行本「新ワイルド7」1巻収録)扉絵のウッズマンです。

特徴は殆どの飛葉ウッズマンのリアサイトがパイソンスタイルなのに対してこれはMGCタイプなのです。
そして分解用のプランジャーが高くそびえ立ち、マガジンキャッチはトリガーガードの付根に存在します。

長銃身アタッチメントの根元のローレット加工(チェッカー)も新鮮です。
私が衝撃を受けたその圧倒的ボリューム感!なので、かなりオーバースケールの増田屋(ファルコントーイ)のエアーガンから製作しました。

劇中ではパイソンのそれに戻っていましたが、扉絵と言えども望月作品でMGCに忠実な出で立ちで登場したのは、私が知る限り全ワイルド作品中唯一その1枚だけです。
増田屋にはスポーツタイプが存在しませんので、マッチターゲットから製作しました。
上がMGCです。比べるとその大きさがお判り頂けると思います。正に望月サイズ!


次は「コルト ライトニング」です。
ピースメイカー似のシルエットですが、口径は38ですので一回り小さいです。
またピーメとは違いダブルアクションになっています。
それもありガスリボルバーとしては一世代前のタナカのニューディティクティブSPを素体としました。
「熱砂の帝王」での二挺拳銃の速射は迫力もの!でした。

二挺拳銃にガンベルトとくれば「ムサシ」や「JJの飛狼」を否が応でも彷彿させられます。
そこで彼らの使用銃にも触れておきましょう。

左から「ムサシ」の二十六年式拳銃、エンフィールドJJカスタム、それと二挺拳銃ではありませんがブレイクオープン(中折れ式)仲間として石狩五郎の愛銃です。
詳しくは二挺拳銃の望月ヒーローの愛銃 ジャパッシュをご覧ください。
ベースとしたタナカ旧ガスガンのニューディティクティブSP(左)との比較です。
一見全く共通点が無いように見えますが、実はトリガーとハンマー軸の位置がホボ一緒なのでベース銃にはウッテツケなのです。
同じ38口径と言う事もあります。


そして、「Wz63」、ポーランド製の特殊部隊用に開発された火器です。
「新ワイルド7」ACTION3「鮮血のスリーカード」で飛翔しながらの二挺拳銃ならぬ二挺マシンピストルの掃射は鮮烈でした。
エンゼルもチラッと使いましたね。
原作中で、嘴(くちばし)状のスライド先端を堅い物に圧し付ければコック出来るメカを上手に活用されていました。


エンゼルと云えば、初登場時に使ったマッチターゲットのカスタムが印象深いです。
使用は初登場時だけでした。
エンゼルがお肉を挟んだ例の銃ですよ。

特徴はバレルウエイト部に設けられた印象的なふたつの大きな楕円のホールです。
その他の仕様はノーマルの侭です。
バレルデザインは論理的には説明が付きませんがカッコイイから良いのです。
仕上げは絵画タッチのウェザリングを施しました。


話は原作から離れて、映画版「ワイルド7」で使用されたウッズマンカスタムです。
ベースは勿論MGCのウッズマンスポーツで、特徴は何と言ってもバレル上のピカニティーレールでしょう。
当初はレーザーサイトを載せる案もあったそうです。
(Designed by BIG SHOT)


最後は原作に登場する飛葉ウッズマンのバレル長のバリエーションです。
特に初期の頃は設定が定まってなかったようで画像上部3挺の左と真ん中が多用されていますが、右の長さも稀に登場します。(あくまでも私のイメージです)

こうして個人的な好みでウッズマンとそれ以外の飛葉使用銃をご紹介してきましたが、「コルト ライトニング」と「Wz63」はプロップガンを製作した事もあり、とても思い入れのある銃です。
ライトニングは一般商品化されてない為、自分用にカスタム製作した程で、その2機種を先生が飛葉に使わせて頂だけて大変嬉しかったです。
また是非とも・・・イエ、なんでもありません。

旭工房 仲代光希


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望月先生のコメント
あらためて望月作品はアイテムの扱い方が見事だと実感させられるレポートです。

みなさんもご存じの通り望月先生の場合、特に銃やバイクは専門誌や見本市で話題となった珍しいものをいち早く取り入れたり、シチュエーションやキャラクターを効果的に演出する小道具として印象的に作中に登場させるのが特徴です。

今回取り上げた中でもWz63は、仲代さんも書いているようにエンゼルが所持して飛葉の救出に向かうシーンがあり(『新ワイルド7』「黄金のフルハウス」)、それを借りて敵と対峙する飛葉はそのとき撃たれたばかりで片腕を三角巾で吊っている状態!!
スライドが引けなければ一発目は発射されないとあなどる敵に対して、ひるむことなく最大の特徴である先端部分を押し込んで弾丸を浴びせます。
レポートの「鮮血のスリーカード」でも、片手で取り扱えるならば二挺拳銃のように両手に持って……という風にイメージを膨らませた結果、あのダイナミックでスカッと胸がすくシーンへと(両手がふさがった状態でどうやって空を飛ぶために背負っているジェットパックを操作するんだろう??というツッコミも含めて)発展させています。

これら望月先生の中で「ピン!」と来た発想の数々が、読者を惹きつける作品の原点になっているわけですね。

目の付け所の鋭さは仲代さんのレポートも同様、毎回多彩なカスタムガンを紹介してくれる中で今回は「そう来たか!」といった印象ですが、それだけ手掛けてきた銃のバリエーションも多いという事になるわけで、各項のこだわりポイントの解説と併せて舌を巻く他ありません。
エンゼルのマッチターゲットまで実際に作ってしまうとは……恐らく望月先生ですらすっかりその存在を忘れていたでしょうに。

他の人とは違う着眼点、膨大な情報の蓄積、丁寧な仕事、そして何よりアイデアを実際に形に起こす行動力。
作品を通じて望月イズムも確実に受け継がれている気がします。
素晴らしいレポートありがとうございました。
(事務局/yazy)

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