営利法人は、営利を目的とした組織です。その使命は、利潤の追求です。
これ無くして、営利法人は成り立ちません。
合法的な企業であっても、そうなのです。
ましてや非合法の組織であれば、なおさらです。
悪事と言うリスクを犯すからには、大金を稼げなければ意味を成しません。
今回は、そんな悪徳経営者に焦点を当てみたいと思います。
果たして彼らは、優れた経営者なのか?
もし優れていたなら、何故、ワイルド7に負けたのか?
一緒に探ってみましょう。
【 姿なき 軍師 】肉鉄グループは鉄道会社を基軸とした異業種の集合企業体です。
鉄道会社は、利益を得難い業種です。
運賃を自動車のガソリン代と比べられてしまうからです。
しかし駅周辺に、人を集める事ができます。
そこにビジネス・チャンスが生まれます。
多角経営が可能です。
大きな資本力が必要ですが、安定した利益率を期待できます。
しかも肉鉄グループは「国一つ作れる額」と言われる高収益。
良い経営です。
高収益の鍵はガードマン・システムと呼ばれる私設警察。表向きは警備会社。実態は暴力団。
巧妙です。堂々と武装できます。
鉄道事業を基軸とした多角経営の中核は、不動産業です。
何を起業するにも、まず計画敷地。
隣接する複数の土地を買取り、一団の広い敷地とするには暴力が一番です。
良い効率です。姿なき軍師の経営センスを賞賛せざるを得ません。
切れ者です。
ならば何故、ワイルド7に敗れたのでしょうか。
私は、ガードマン・システムと言う会社で、戦闘員を一箇所に集めた事と考えます。
作業効率は良いでしょうが、ワイルドから見れば、標的が明らかです。
だから、早い時期から飛葉の潜入を許してしまいました。
また、ヘボピーも潜入作戦に加わっています。
ヘボピーは、その体格ゆえ、この種類の作戦行動には不向きです。
そんな彼を作戦に加える可能性を生む程、目立つ事は危険を意味します。
調査、分析されやすく、隙を突かれる余地が出ます。
攻撃には有利でも、守備に不利。外部攻撃には強くても、内部攻撃に弱い。
敵に攻撃の的を絞られてしまうからです。
戦闘員は分散すべきでした。
肉鉄は、多数の会社を保有しています。
各所に散っていれば、少人数のワイルドには手出しできなかった筈です。
そこに気付かなかった点が悔やまれます。
【 神話 社長 】こちらは密輸です。
航空機会社を経営、その傍らで密輸を営んでいました。
3年間、前年度比の5倍の売上を計上しているとか。
大したものです。
125倍まで業績を伸ばした事に成ります。
しかし、密輸は公にできません。
なにせ、秘密の取引ですから。
恐らく関税は支払っておらず、帳簿も二重帳簿。
当然、所得も未申告の部分が、多く存在すると推測されます。
ならば、実質の売上は、5倍を上回る事でしょう。優れたビジネス・モデルです。
社員のレベルも高いようです。
前述の二重帳簿を、税務署のから疑われずに管理する「経理」
飛行機の整備、操縦を担当する「ライン・スタッフ」
その中に散りばめられた「武装組織」
優れた人事です。
ところが、こちらもワイルド7に負けました。
敗因はシカゴの5本指に、ワイルド7の抹殺を一任した事でしょう。
ワイルド7は、うまいチーム構成です。
空手の選手に例えるなら・・・
長距離砲を搭載したバイクを持つユキ。
走る爆弾のようなバイクに乗る両国。
どう見ても接近戦には、不向きです。得意の間合いはロング・レンジでしょう。
大口径の銃を愛用するオヤブンの間合いはミドル・レンジ。
素手による接近戦を得意とするヘボピーはクロス・レンジ。
最速の飛葉、上に移動できるバイクを操る八百は、ヒット・アンド・アウエィの万能型と言った感じです。
団体戦ならば、ユキと両国が先鋒と次鋒。
オヤブンが中堅。
副将がヘボピー。大将が飛葉、又は、八百が妥当な線でしょうか。
故に勝負の要は、ヘボピーと成ります。
副将は勝ち星を守って戦う、勝負勘が要求されます。
そして5本指も飛葉を守って戦うヘボピーに、トドメを刺されました。
彼らが最初に狙うべきは、守備のヘボピーでした。
ヘボさえ落とせば、残りは攻撃型だけ。
ワイルドを倒せた筈です。
最高責任者の神話社長は、それを分析、指示すべきでした。
そこが残念です。
【 草波 隊長 】草波は官費でワイルド7を運営しているので、正確には経営者では有りません。行政官です。
ワイルドを組織としてみた場合、彼の管理は、余り上手とは言えません。
人事考査が不得意なようです。
非情で憎たらしい性格よりも、この基本管理能力の欠落が問題です。
何故なら、際立った特技を持つ者は、それが重大な欠点と成り得るからです。
万能の人間など存在しません。
適所適材が原則です。
個性的な人材の典型例が、ヘボピーでしょう。外見からも判る通り、大柄で優れた筋力の持ち主です。
概して、このような体格は持久力が有りません。
性格も、それを反映してか決断が早い反面、短気な人が多いようです。
ヘボピーの場合は意外と温厚で、さほど短気でも無いようですが、熱く成りやすい筋肉質的な側面は否めません。
情に脆く、お人好しで、惚れっぽく、性格は穴だらけです。
でも勇敢で、忍耐強い長所をも兼ね備えています。
だから、適所適材です。
接近戦の得意なヘボピーは、優秀な護衛官です。
リーダーに付き添い、守備を固めるには最適な人材と言えます。
熱く成りやすい所も、傍らのリーダーが止めてくれます。
でも単独行動には向いていません。
ただでさえ目立つ体格は、変装に不利。
おまけに騙されやすく、たびたび、その欠点を突かれています。
潜入作戦も、成功した験しが有りません。
肉鉄に潜入した時は例外ですが、あれは偶然、似た体型の者が居たからです。
滅多に無い事。どうしても、適所適材です。
草波の人事は、疑問視せざるを得ません。
悪事で大金を稼ぐ経営者たち程の管理能力は、無いように思えます。
【 秘熊 防衛大臣 】秘熊防衛大臣は、事業経営者ではありませんが、国家運営の責任者です。
広い定義で、経営者に属します。
しかも、ワイルド7でも戦った事が無い程の大物です。
最終目標は、なんと国家の支配。
超大物です。
ビジョンの大きさは、ビジネスの大きさを示します。
素晴らしいリーダー・シップです。
秘熊大臣の手始めの作業が、自衛隊の掌握、私兵化でした。いくらワイルド7でも、自衛隊では、相手が大き過ぎます。
但し、秘熊の作戦も、進行途中。
彼が自衛隊を掌握するのが先か、ワイルドが彼の組織を壊滅するのが先か、スピード勝負と成ったようです。
スキャンダルなどで、政治生命を断つ方法は無かったのでしょうか。
暗殺は無理だったのでしょうか。
難しかったかも知れません。
秘熊には、あの遠井弁護士が就いています。
過去2度もワイルドと戦いながら、生き延びた知恵者です。
素晴らしい組織です。
「大軍に兵法無し」と言われます。大きな組織は「まとめるのが難しく、凝った作戦はできない」と言う意味です。
「力押しで勝てるので、その必要も無い」と言う意味も有ります。
ところが秘熊の組織は、緻密な作戦を展開して来ました。
ワイルドたちも苦戦を強いられ、重傷を負います。
彼らの任務遂行の速度が、鈍り始めて来ました。
素晴らしい指揮能力。
素晴らしい戦術です。
歴代の敵の中で、最も優秀な経営者は秘熊です。
MCプロ、バイク騎士、肉鉄グループ等で見え隠れした黒幕も恐らく、彼でしょう。
あらゆる業態の企業を操る、万能型の経営者です。
いくらワイルド7が強くても、これでは分が悪い。
悪過ぎます。
一枚も二枚も上手の秘熊は、攻め入る隙を与えません。
それでもワイルドは、戦い抜きます。傷つき、疲労しても戦う隊員たち。
守りの要、ヘボピーの負担が徐々に大きく成ります。
最期は隊員たちを守って、瀕死の重傷。
それでも任務続行を希望します。
「お・・・俺だって、ワ・・・ワイルドだ。
の・・・乗せてくれ。
バイクの上で死なせてくれぇー」
そして愛車にまたがり、火の壁に突入。
胸を打ちます。
涙で、絵が良く見えません。
だから、あれほど精密に描く、望月先生の意図が判りません。
読者は涙で絵が滲んでしまい、いい加減に書いてあっても気付きません。
こうして見ていくと、どうやら最も優れた経営者の資質を持つのはヘボピーのようです。
彼が社長の会社なら、就職したいと思うでしょう?
・・・ね。

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「月刊望月三起也」では皆様からの投稿をお待ちしています。「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由!
投稿が採用され「月刊望月三起也」に掲載された方には
記念品として、特製クリアファイル(2枚セット)
をプレゼント!
是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
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神田雅治 さんのプロフィール

【望月三起也先生より】
神田さんの漫画の読み方、毎度私の楽しみ。
こういう角度で深読みするか・・・・ いや、鋭い!油断出来ない!!
描き手としては手抜き出来ません。と、言っても元々私は手抜きをする気もないし、もう一人の自分がそれをさせない。「まだまだ練りがたりないぞ!」って言うンですねぇ。だからせっかく作ったアイデアも二転三転、練り直し。締め切りがあるからある程度で手を打ちますが、締め切りなく時間があったら何ヶ月でも気に入るまで練っちまうでしょうね。
それだけに、そういう絵に表れない背景から経営者像を読み取ってくれるって、嬉しい。
ストーリー作りで難しいのは、実は悪役作りなんです。
敵役が強ければ強いほど、それを倒す主人公が最強ということになるので。弱い奴殴ってもヒーローじゃなくイジメだもんね。
今回もまた神田さん風の読み方で、作り手として嬉しい限り。そこまでリアルに読み込んでくれてるって、一流の読者だ!
ある意味、作者にとってライバルというか好敵手といっていいのは編集者じゃなく読者なんですよね。編集者はベテランであればツッコミも鋭い最初の読者でもある。と、同時に理詰めでモノを言える人で、一般読者との違いは、「売る人」「買う人」かな。だからヘタな編集者は「商売」が目標で、売れれば良い。内容も絵も売れたら大将、あんたはエラい!です。
私の理想の編集者像は、まず一番最初の読者として面白がってくれる人。つまり理屈の前に素直に面白いか、面白くないかの判断が出来る人だろうねぇ。打ち合わせのときは、「相棒」です。私のアイデアをどう実現させてくれるか、取材を含め、最大の協力をしてくれる人が私は理想だね。
一方、愛読者ってのは、“愛”がつく読者、長年私に着いて来てくれる人。こんな人たちがあって私がある。大事にしなきゃ。神田さんのように紙の裏まで見通すような人、愛読者と言えそうです。また数少ない見方をする人で、この見方ってのが私には新鮮。「そう、読むかァ」と、「益々油断出来ないナ」と、気合いが入るわけです。
今回も、草波の不得意な部分やヘボピーに対する愛情を取り出してくれて面白かったなァ。楽しんでます。また新鮮な切り口、読み口、見せてください!
神田さんの漫画の読み方、毎度私の楽しみ。
こういう角度で深読みするか・・・・ いや、鋭い!油断出来ない!!
描き手としては手抜き出来ません。と、言っても元々私は手抜きをする気もないし、もう一人の自分がそれをさせない。「まだまだ練りがたりないぞ!」って言うンですねぇ。だからせっかく作ったアイデアも二転三転、練り直し。締め切りがあるからある程度で手を打ちますが、締め切りなく時間があったら何ヶ月でも気に入るまで練っちまうでしょうね。
それだけに、そういう絵に表れない背景から経営者像を読み取ってくれるって、嬉しい。
ストーリー作りで難しいのは、実は悪役作りなんです。
敵役が強ければ強いほど、それを倒す主人公が最強ということになるので。弱い奴殴ってもヒーローじゃなくイジメだもんね。
今回もまた神田さん風の読み方で、作り手として嬉しい限り。そこまでリアルに読み込んでくれてるって、一流の読者だ!
ある意味、作者にとってライバルというか好敵手といっていいのは編集者じゃなく読者なんですよね。編集者はベテランであればツッコミも鋭い最初の読者でもある。と、同時に理詰めでモノを言える人で、一般読者との違いは、「売る人」「買う人」かな。だからヘタな編集者は「商売」が目標で、売れれば良い。内容も絵も売れたら大将、あんたはエラい!です。
私の理想の編集者像は、まず一番最初の読者として面白がってくれる人。つまり理屈の前に素直に面白いか、面白くないかの判断が出来る人だろうねぇ。打ち合わせのときは、「相棒」です。私のアイデアをどう実現させてくれるか、取材を含め、最大の協力をしてくれる人が私は理想だね。
一方、愛読者ってのは、“愛”がつく読者、長年私に着いて来てくれる人。こんな人たちがあって私がある。大事にしなきゃ。神田さんのように紙の裏まで見通すような人、愛読者と言えそうです。また数少ない見方をする人で、この見方ってのが私には新鮮。「そう、読むかァ」と、「益々油断出来ないナ」と、気合いが入るわけです。
今回も、草波の不得意な部分やヘボピーに対する愛情を取り出してくれて面白かったなァ。楽しんでます。また新鮮な切り口、読み口、見せてください!
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2022/08/03 at 1:05 PM
2015年の記事を読みました。神田雅治様。
あの遠井弁護士・・・
なんて言うか
魔像の十字路では秘熊首相の軍事的にワイルドを潰す作戦に加担した…とでも言えば良いのでしょうか。
現実には
どう言えばいいか…
土地開発事業等を巡って
政治家や政党や経営者、果ては弁護士までのお友達がグルに成って利益を貪るんですね。
Ω真理教(あの団体も専従弁護士を従えてましたから)に近いものがありますね。
失礼しました。