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【ひとこと作品紹介】黄金のバラード

hitokoto_img第10回

黄金のバラード

執筆者:事務局

美女怪盗団見参!!
……かと見惑う扉絵がセンセーショナル。
今回は、お騒がせ三人娘が引き起こす騒動が痛快な読切作品。

【作品名】
黄金のバラード
【掲載誌】
1969年「ビッグコミック」(小学館)6月10日号
【単行本】
未収録
【ページ数】
23ページ

【あらすじ】
ガーラ共和国で内乱が発生!

日本に亡命した共和国首相の莫大な財産が、金塊となって自分たちの学校から目と鼻の先にある銀行の地下金庫の中に眠っていることをニュースで知ったベカンコは、夢見がちに強奪計画を親友二人に語るも、そのあまりに現実味のない計画にサチッペからはダメ出しされミチには笑われてしまう。
諦めきれないベカンコだったが今度はサチッペの方が、より実現可能な計画を二人に持ち掛ける。
シロウトでは無理な盗みでもプロを使えば可能性はある。
そんなプロをどうやって探せばいいのかと尋ねるミチに、サチッペは問題ないとばかりに答える。
「学校にたくさんいるじゃないの」

教師「スケベン」は電子工学の専門家で、コンピューターを使った計算が得意。
さらに土木関係の設計には建築科の「シゲモリ」もいて、教授たちはまさしくその道のプロ集団。
これを利用しない手はない!自分たちは作戦を立てるだけ。
ここでついに男を手玉に取ることに長けたミチの登場!
色仕掛けでセンセイたちの弱みを握り、一人また一人と自分たちの思うままにしていく。
こうして始まった三人組の奇想天外な金塊強奪大作戦!
あの手この手で難題をクリアし、学生運動にも巻き込まれながらお宝を自分たちのものにしようと(楽しみながら)突き進んでいく。

【主要キャラクター】
ヒロイン三人組
サチッペ(ガチッペ)
理論的で作戦指揮を取る。
ベカンコ
教科書代わりにコミック本を学校に持ってくる夢想派。
ミチ
誘惑して男の子を言いなりにさせるのが得意。
三人組に翻弄される男たち
スケベン
電子工学で名が知られる教師。
シゲモリ
トンネル工事では日本一と言われる建築科の教師。
機動隊員
学生運動の鎮圧に駆け付ける。
強面だが情にもろいイイヒト。

【作品解説】
青年向けコミック誌「ビッグコミック」の創刊が1968年。
まだ月刊だった1969年2月号に読切で、貧しさから這い上がるために悪時に手を染める主人公を描いたピカレスクロマン『どぶ』を発表後、隔週刊となった本誌に同年6月再登場となった作品が、この『黄金のバラード』。
シリアスだった前作とは一転して、女学生3人組がイタズラ感覚で行う金塊強奪計画が軽妙なコメディタッチの作品となっている。

三人組のお騒がせキャラの悪だくみに周りが翻弄される展開は、少年たちが主人公で学年誌に掲載された『サン学園のトラ』のような例もあるが、今回は女性版で大人向けなのでもっとスマートなクライムストーリー……なのかと思えば、むしろ教師たち男性陣をこき使って自分たちはちゃっかりオイシイ所だけ奪ってしまおうというゲーム感覚のセリフ回しがナンセンスで、楽しみながら読める作品となっている。
ピンチに困り顔で助けを求められ、それを信じ込んでまんまと利用されてしまう男たちの情けない姿を見ていると、彼女たちの悪魔的な恐ろしさにも魅了されてしまう。
もちろん惹きつけられるのは恐さだけでなく、望月マンガではお馴染みのセクシーなポーズの数々が目を楽しませてくれるのも嬉しい。
女の子が元気よく動き回る作品はやっぱり面白い。

デビュー当初は女性を描くことが苦手だった望月先生が、この雑誌で『魅惑の追跡』『EXPOスパイ』と読切を掲載した後に、ついに団地を舞台に子持ちの女性を主人公にした『ビタミンI』から綿々と続いていくお色気コメディシリーズを発表するのは、この翌年の1970年のこと。

(yazy 記)



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2021 年 12 月 17 日   固定リンク   |   トラックバック(0)


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