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望月マニ也

第111回

飛葉ウッズマンの変遷 其の壱 「野性の七人・バイク騎士事件」

執筆者:   2023 年 12 月 6 日

長期連載の中で描かれてきたウッズマンの移り変わりを名匠・仲代さんがエピソードに沿って解説

今まで数多くの飛葉ウッズマン・357スーパーウッズマンを立体化して来ました。
しかし、もっとキメ細かく再現出来る方法はないものか?・・・と悩み始めました。
散々考えた挙句、辿り着いたのが結局イラストでした。

これなら飛葉ウッズマンの変遷を詳しく表現出来る!?とも思いましたが経験もスキルもない私に手描きは無理、でも若しかしたら思いつつアドビのイラストレーターを弄り始めました。

オブジェクトとオブジェクトを均等に配置するには・・・フムフムなどとネットで検索しながらなんとか描き上げました。

【飛葉ウッズマン 野性の七人型】
毒を以て毒を制すの諺通り犯罪者を警察官に抜擢した「ワイルド7」。
随所でその特殊性を強調しつつ、飛葉とヘボピーの過酷な入隊テストを絡めて物語は進みます。
飛葉が青ざめる「ココナッツゲーム」とは・・・

表向きは芸能プロダクションである「M・Cプロ」裏では50人の殺し屋集団をかかえる一大秘密結社です。その社長の大岩雷太が巣食うニュー・オオタキ ホテル。
イモを食いながら一歩一歩死へ近づく飛葉、ところが敵の手中に落ちてしまいます。
そして事務所と言う名の要塞へ閉じ込められてしまいます。
果して脱出なるか!?
いよいよ ワイルド7と機動隊の総攻撃が始まる!
さて記念すべき第一話ですので基本型と位置付けますが、飛葉ウッズマンと云うよりは前作「秘密探偵JA」のデザインを色濃く受け継いでいます。
銃身長も極端に短く、JA同様の2インチ程度です。

CBを駆りながら
「走行時の射撃訓練を・・・していない者と・・・している者とのちがいをみせてやろう!?」
とホルスターからウッズマンを抜き両手で構えての射撃。
これがウッズマンの初ドアップ発砲シーンです。
グリップのパターンはセレーション(水平線)タイプでサイトはフィクスト(固定)です。
スライドストップらしきパーツが見受けられますが、サムセフティーはありません。
またスライド右側に実銃には無いエジェクションポートが存在します。

マガジンの残弾確認孔は縦一列の小円型で、マガジンベースもワルサーP38と同型です。そのモデルガンのマガジンを参考にしたのかもしれません。
調べようもない事には想像力で対応する、それは今も昔も変わらないモノ作りの基本ですね。

・飛葉ショットガン
「野性の七人」と云えば冒頭での飛葉の散弾銃の発砲です。
永遠の名台詞「こうやるから退治ってんだよ!」
車中の悪党もろとも反対側の前後のドアまで吹っ飛ばす威力
いゃーぁ、痺れました!
飛葉のスライドアクションリピーター(散弾銃)特集
もご参照ください。


【飛葉ウッズマン バイク騎士事件型】
瀕死の状態で秘密基地に戻った八百。
話によると、長大なヤリが付いたサイドカーを駆るまるで中世の騎士のような鎧を身に纏った一団が、群がる蜂の如く高級車を攻撃していたと云います。
八百もそいつらに襲われたのか?

話の続きをを遮るかのように病院へ急かす草波、訝るメンバー。
隊長の話に納得出来ない飛葉は特殊なしかけ付の八百のバイクで現場検証へ。
そこには、例の一団が待ち構えていました。飛葉に前後から襲い掛かる7両のバイク騎士!
からくも4つのタイヤを駆使して逃げきった飛葉。

真相に迫るほどに立ちはだかる巨悪、権力の壁、そして明かされる草波の過去。
階級章を捨てた彼ら7人の行く末は・・・八百や両国のひととなりも紹介されています。
この回からウッズマンのグリップがサムレスト付のチェッカーグリップに変更されます。
惜しむらくは本来左面にしかないサムレストが右側にも存在し、左右対称に描かれている点です。
参考にした例の一枚の写真が左側だった事が判ります。

またMGCの純正木製グリップがサムレストは無いもののチェッカーがシンメトリーなのは興味深い偶然の一致です。
セレーションパターンのグリップも混在して使用されています。
サイトはフィクストタイプですがスライド上部の平面リブが再現され、それと一体化された独特な形状となっています。
分解用のプランジャーも存在しそれを小さな写真から発見した先生の鋭眼には脱帽です。
銃身長は3インチ程度です。

CBに跨りホルスターからウッズマンを抜いて印象的にスライドを引き、ツーハンドでの連射!
格好良いシーンですが、特筆すべきはこの時一コマだけリアルなスライド分割が描かれている点です。
しかし相変わらず他のコマではエジェクションポートが存在します。

・気になる銃器
ヘボのホルスターにウッズマンらしきグリップの銃が、マッチターゲットでしょうか?
飛葉が窮地に陥った際に両国がクロスマンを撃ちまくります。
あまり発砲しない両国ですし、その後はスタームルガーMK-Iを愛用するようになるので貴重なシーンです。


両国が敵の手に落ち武装解除される際、他の武器と共に手榴弾を手渡します。
「こんな危険なものまでもっていたのか」
「ああ・・・安全ピンをぬいてあるからとても危険だ!?」とのやり取りには笑いました。


旭工房 仲代光希



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望月先生のコメント
作中でウッズマンが変化していったことは多くの読者が感じ取っていても、こうしてイラストとともに各部の詳しい解説をしてくれると一目瞭然ですね。
ナイスアイデア!!
そして各エピソードのストーリーを交えた分かりやすい解説に、ワンポイントとなる気になる銃器のチョイスと、相変わらずの徹底ぶりに目の付け所の鋭さが冴えまくりの内容です。

作画に充分な資料が揃わなかった時代の作品に対して
単に「本物はココが違ってる、こんなコトも知らなかったのか」と、からかって済ませるだけというのではあまりにも単純過ぎます。
それがどういった経緯でどんな風に考えられていたかを想像していく今回のレポートも、仲代さんが本文の中で書いている「調べようもない事には想像力で対応する」と一緒なんだと思います。
情報に溢れ真実の見極めが難しい現代だからこそ、実際に手足を動かし「自分で考えること」がますます重要になってくるんでしょうね。

GUNマニアだけでなく見た目に楽しい教則本としても素敵なレポートです。
ありがとうございました。
(事務局/yazy)

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  • 土田昌博 :
    復刊ドットコム今までどおりの発行にしてもらえませんか?
    ログインできず、前払いもおかしいですし、(数が揃わないときは返金されるのですか?)今までは、仮予約で数が揃うと発売されて、代金引換で買えた訳で問題はありません。1冊かいそびれたら、コンプリートできずにその後はありません。考え直して欲しいです。ログインできずに支援出来ないままです。縁がなかったってことか。ワイルド卒業です。

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