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コラム:言いたい放題

第2回

映画オタクというより、銃器マニア・・・・

執筆者:   2008 年 9 月 1 日

「長く絵描きやってて良かった」と思うこと。色々、そのひとつに、ファンの成人。
連載中にキングで読んでましたって世代が、皆さん色々な場所でトップに立ってる人も少なくない。
そんな職業の中でも、映画関係者が多いのにはおどろき、また納得かもね。
なにしろ私のマンガの原点、エイゼンシュテインというロシアの映像作家の絵コンテ。
無声映画(サイレント)の時代、「戦艦ポチョムキン」という名作をつくった人。

この映画、今でも見られますし、ハリウッドの映画監督も参考にしてるという「コマ割り」。
いや、映画の場合「カット割り」とよびますが、今の映画の手法のほとんどが、このエイゼンシュテインさんが造ったといってもいい巨匠。
カット、バック、フェードイン、フェードアウト、移動撮影、アップにロングにモブシーンなど、きりがないけど、移動撮影以外、ほとんどマンガのコマ割りにも使える手法なんです。小学生の頃から、映画ファンの私には、参考にしたエイゼンシュテインの一冊の本はバイブルでしたね。

そんなワケで、私のマンガ見て育ったのち映画畑へ進んだ人は、熱いファンが多かったのでしょうね。
キャプテントキオって、少々マイナーな作品造ったりしてる若手の渡辺一志監督など、とても仲の良い友達。先日も、シブヤへサッカー仲間の勝村クンの出てる芝居を見に行って、楽屋へ行ったら、演出の野田秀樹さんに紹介され、野田さんもまた、私のファンだと云ってくれるじゃないですか。
うれしいね。私、野田さんのファンだものね。

また、三池崇史監督もワイルド7の映画化、自分がやりたいと手を上げてるとか聞きますし、演出家はかなりのファンがいるようで、うれしいかぎりの中のひとり、林海象さんという人から連絡があり、新作の「THE CODE ~暗号~」第一回試写会をスタッフ70名ばかりとやり、終了後にパーティーがあるので来ませんかとの御招待。
うれしがってとんで行きました。イマジカってとこの試写室、久々の試写会。
昔なら小さい画面と50人ほどで一杯のせまい部屋が試写室でしたので、おどろいたね。ヘタな映画館真っ青の広い画面と、高級ソファって感じの椅子です。ニ時間の上映時間、ラクラク画面に没入できます。

さらには、映画の内容が、思わずニヤリとするマニアックさ。
海象監督、私を呼んだワケがわかりました。好きです、このマニアックさ。

主演、市川猿之助、稲森いずみ、この二人を支えるベテランが、いいんです。主役は私から見たらこっちの方。っていうのも、ガンアクション映画とも云える内容なんで。この二人を支えるベテランとは、松方弘樹、宍戸錠、ですよ。
特に錠さんは、私が若い頃、日活アクションで楽しませてくれた人。
この人のガンプレイとアメリカナイズされた個性、大ファンでしたね。主役は小林旭でも、私は敵役のエースのジョウのファンだっただけに、そういう私のようなファンを泣かせるネタが、さりげなくちりばめられてる一本。
ほとんど今の人が見ても見過ごすシーンでも、錠ファンは、喜ぶって仕掛け。モロ監督のシュミ、オタクぶりが出ています。

さらに登場する銃器が、一挺をのぞいてすべて、ホンモノ!! ホンモノですぞ。
もちろん実弾は出ません。空砲ですが、リアリティがハンパじゃない。中国ロケで仕上げた映画だけに、現地では実銃がそろってしまうとこがすごい。なんてとこも私を喜ばせてくれました。

パーティーでは、主演クラスのあいさつが続き、楽しんでノンキにウーロン茶にヤキトリ頬ばってましたところ、突然、監督が私の事にふれ、私の大ファンで、「この映画造ったのも、影響されたワイルドのシーン参考にしてます」みたいなことしゃべり出し、ひとことコメントをとマイクがきました。
ヤキトリ、ノドにつまりますよ。いっきなり、「きいてねーよ」ってわけにもいかず、この映画の最初の評論家みたいな話やってしまいましたけどね。
錠さん、松方さんとも、映画オタクというより、銃器マニアのオタク談で大盛り上がり。
もう、そういうハナシになると、ガキだね。親しめます。お二方、いいキャラクター、あらためてファンになってしまうね。特にエースのジョウと会えた私は大感激でした。
監督とは二次会まで付き合って、映画青年ぶりに大盛り上がり。ことのなりゆきから、この映画のポスター描いてくれって依頼までされる始末。喜んでやっちゃうね。

県警の白バイポスターの次が映画って、ここんとこ、大画面続き。楽しんで描くぞ。
映画は来年、5月ゴールデンウィーク公開だそう。ワイルドファンなら、楽しめるはず!!



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