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コラム:言いたい放題

第1回

マンガ家にとってファンの存在とは??

執筆者:   2008 年 8 月 1 日

お祭りのお神輿のよう、ファンのみなさんが担いでくださる。
有難いことです。ファンクラブは私にとってそういうことなんです。
ただ好きな趣味のマンガ描いてるだけなのにね。そのマンガの主人公を作った影の人なんですがね。本当はみなさん、主人公担ぐわけにはいかないから、まぁ、私が代わりになりましょうというところでしょうか。柄にもなくキャラに担がれて、なんてね。

キャラクターは、生み出すとこれが人格を持ってくるんです。ストーリーの上でも行動は決まってくる。これが性格付けがいい加減だと読者もついてこないんですね。
たとえば飛葉、ワルぶっているがそれは照れ。俺は正義の味方だと大声出すのはダサイと考える、口に出さずに行動で示す。それが男。というのが私も飛葉も一緒なんです。

私が今あるのも良き先輩、良き編集者の方々に恵まれたおかげ、これは運です。運はとってもいい方なんで得してますね。
そうした先輩の一人から、主人公の性格は作者の理想が半分、もう半分は自分の性格を投入する。これが読者をつかむコツと教わりました。
新人の時から長く理想ばかりを追ってきた気がします。主人公は強くなくちゃ、ってね。それがワイルド7を描き出した時、やっと素直に自分を入れることができたのですよ。
一番大きいのは誤解を恐れずってことかな。人間は正しいと思ってすることも、時に相手に通じない。でもそれを愚痴る前に誤解にめげず一貫した行動を続けることで、いつか理解されるとの信念でしょうか。
私は愚痴るのは男じゃないと思っています。愚痴は過去です、なんの解決にもならない。明日どう生きるか、そっちへ考え方を持ってく方が、世の中、楽しいじゃないですか。失敗の反省と愚痴とは違うんです。ま、ノーテンキな奴だと言われればそれまでなんですがね。
これ私のキャラクターですから、そういう部分も飛葉の中に取り入れ、さらに自分の麺好きなんて部分も飛葉の中へ持ち込んだから、ファンのみなさん親近感持ってくれて主人公が生きてきたのではないかと思います。

性格の次が“相棒”。飛葉の場合、バイクと拳銃ですね。
これまた私の趣味なんです。バイクも拳銃もまずデザインの魅力あるものを登場させたい。さらにその性能も合わせて、これはもう一つの趣味。飛行機と共にトコトン資料を漁り絵を正確に描くことで、読者に共感してもらいたいわけなんです。
まず拳銃ですが、デビュー作『ムサシ』を描き出した時代、他のマンガでは手の上にナンとなく乗って火を噴けば拳銃という風でした。違いは微かにリボルバーかオートマか。
それがどんな拳銃かはまったく意味不明、ただピストル。しかも弾倉換えずに何十発もマシンガンのように撃てる。
これはマンガファンとして見ていて気に入らなかった。私が描くとき、ここはリアルにいきたいと思ったものでした。そこでやっとデビューできたとき、真っ先にこだわったのが拳銃だったのです。
『ムサシ』の主人公はブラジル移民ってことで、明治時代にブラジルへ渡ったのが最初ですから、拳銃も明治時代に造られた国産のもの、26式回転拳銃を持ってきました。
この資料、かなり苦労して3、4冊の雑誌の中から右面、左面、中折れした状態のもの等々を拾い集め、一挺の完全バージョンを作り絵にしました。
さらにその頃ピストルの発射音は、「パン」のみでしたので、これも大口径か小口径か、またはマシンガンかで「バヒュッ」「ドバッ」等々描き分け、こだわったものです。この辺りGUNマニアの方々にウケたようで、そうなるとノリます。
その後も音の描き分け、つまり文字の中へ柄を入れたりと面白がって工夫したものです。このアイデアはマンガ界では私が最初だったようで、今では当たり前の描き文字。
元祖と、一部では呼ばれています。

こういう話しになると長くなる。
機械ものの趣味の話しはまた次の回にということで。

今、ファンクラブ全国大会を企画中とか聞いてます。一気に何百人も集めてホテルを会場になんていうのも、いずれやってみたいねぇ。私、全員とお話しできればいいのですが、時間が限られている中では無理でしょう。
で、考えました。私のキャラクター知ってもらうために、これを観れば望月三起也が判るというDVD、作っちゃいました。
制作期間1ヶ月。友人のマンガ家やタレントさんにも登場願った超大作。
これを参加のみなさん全員に配りたいと‥‥‥ その辺の制作秘話もまた別の機会に。
さらに全国大会では、ひとつアイデアがあるんですが、それはマンガのキャラクターのコスプレありというのはいかがでしょう。それは楽しいと思うのです。
いわば仮装パーティ。
できたらうれしいね。



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