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望月マニ也

第56回

飛葉のバイク達

執筆者:   2012 年 11 月 6 日

タイトルを見て「飛葉のバイク?そんなの知ってるよ」と思った方、是非最後までご覧ください。まるでカタログのような、バイク好きの方ならニヤニヤしてしまうこと請け合いの内容です。

「ワイルド7」の主役は、当然7人のメンバー達。
そして、メンバーの乗るバイク達はワイルドのメンバーを支える影の主役。
任務で使用する7人が乗る7台のバイクは有名だが、主要バイク以外にも
色んなバイクに乗っている。
その中でも中心人物の飛葉はプライベートでも色んなバイクに乗っていたり
任務でも有名なホンダCB750Four以外のバイクで活躍している。
今回は、そんなバイク達に焦点を当てて、バイク好きである私ランシオが
イラストを交え紹介していきたいと思います。


さて、最初に紹介するバイクは、第3章「誘かいの掟」の中で登場するホンダCB750Fourです。
「え!? CB750は当然じゃん!」と思うでしょうが、プライベートでノーマルのCB750に乗っています。
ストーリー序盤で、飛葉が喫茶店「VON」を飛び出し、ナンパなオトコのクルマに乗ったイコちゃんを追いかけるシーンからまたがります。 そして、イコちゃんを救い出し、バイクの後ろに乗せてデートに向うひとコマが下イラスト左側です。


ホンダCB750Four ◆エンジン : 空冷4サイクルOHC4気筒 ◆総排気量 : 736cc
◆最大出力 : 67馬力/8000rpm ◆最大トルク : 6.1kgm/7000rpm


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次に紹介するのは、かなりインパクトのあるバイクです。
第7章「爆破105」の中に出てくるバイクですが、実在のバイクではありません。
ヤクザの幹部殺しの疑いをかけられたチンピラを逃がし、そのチンピラが捕まるのを恐れ追いかけようとするも
追いかける手段がなく、納屋にあったそのチンピラが昔乗っていた壊れたバイクとトラクターの部品を使って
飛葉が短時間で1台のバイクに仕上げるのです。
いやぁ~、短時間でバイクを1台作ってしまう飛葉って・・・凄すぎます!


エンジン等のバイクの部品は、エンジンの雰囲気、クランクケースの形状から1968年にデビューしたヤマハ
DT1の第1期モデルだと思われます。その他、トラクターの部品、農業用ポリタンク、水道管等々使ってます。

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3番目に紹介するのは、第13章「運命の七星」に登場するバイクです。
イコと志乃ベエが乗った飛行機がハイジャックされ、ハイジャックを阻止しようと向う途中にいた暴走族の
女性から奪ったバイクです。
明らかにBMWのRシリーズとわかりますが、Rシリーズと言っても沢山の車種があります。
マンガに描いてあるタンク、エンジンの雰囲気、前輪がドラム・ブレーキ、マフラー出口が絞ってある事から
1973年式のR75/5だと予想されます。 多分・・・(笑)


BMW RR75/5 ◆エンジン : 空冷4サイクル水平対向2気筒 ◆総排気量 : 746cc
◆最大出力 : 50馬力/6200rpm ◆キャブレターはビング製を装着

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4番目のバイクは、第16章「灰になるまで」に登場するバイクです。
女王を保護し監視する中、女王が風呂場から逃げようとするシーンで登場します。
その下左のページひとコマ目に「GT」とタンクに描かれているようにヤマハGT50「ミニトレ」と呼ばれる
バイクです。 ヤマハのGTには50ccと80ccがありますが、50と断定したのは、タンクに「GT」と描いて
ある事、タンデムステップ&シートベルトがない事です。


YAMAHA GT50
◆エンジン : 空冷2サイクル・ピストンリードバルブ単気筒
◆総排気量 : 50cc ◆最大出力 : 4馬力/7500rpm

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5番目のバイクは、第17章「ガラスの城」に登場するバイクです。
今回の登場人物の歌手アグネス・ジンの悪のプロダクションのメンバー・松がコルベット・スティングレイ
に乗り、飛葉を追うシーンで登場します。 スタジオに用意されていた小道具用のバイクです。
女ワイルド達の壊されたバイクが同車種ですね。 「ガラスの城」では、ミュンヒ、ドゥカティ、BMW等の
スーパーバイクやランボルギーニ・カウンタック、イオタ。 ポルシェ930ターボ、アルピーヌA310等々
のスーパーカーが続々登場! クルマ、バイク好きにはタマラナイ章ですね。
この章が描かれた頃って、スーパーカー・ブームの真っ只中じゃなかったかな。
タンクの形状と左右に入ったデザイン、フロント・フェンダー、シートの雰囲気、ゼッケン・プレート状になった
サイドカバー等の特徴からヤマハXT500と判断できるでしょう。


YAMAHA XT500 ◆エンジン : 空冷4サイクル単気筒 ◆総排気量 : 499cc
◆最大出力 : 30馬力/5800rpm ◆最大トルク : 3.9kgm/5400rpm

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6番目のバイクは、最終章「魔像の十字路」に登場するバイクです。
草波隊長がワイルド7を秘熊に売ったかどうかの真相を知っていると思われる大臣の暗殺を阻止する
ためにヘボピーにバイクとライフル等を頼むが、何と!でかいカー・キャリアで持ってくる。
そして、カー・キャリアからウイリーをしながら颯爽と飛び出す飛葉。 バイクの傍らにはショットガン。
その時のバイクです。 タンク両脇に入ったデザイン、タンクとつながるようなサイドカバーのデザイン、
実際は右側に入ってますが、サイドカバーに入ったスリット、シートの形状等からヤマハDT250Mと
判断できると思います。 左サイドに装備したショットガンがカッコイイですねぇ~♪


YAMAHA DT250M ◆エンジン : 空冷2サイクル単気筒ピストンリードバルブ ◆総排気量 : 246cc
◆最大出力 : 21馬力/6000rpm ◆最大トルク : 2.5kgm/5500rpm

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まだまだ続きますよ(笑)  7番目のバイクも最終章「魔像の十字路」に登場するバイクです。
以前、望月先生が、友人がヤマハ・サッカー部に移籍してからヤマハのバイクを描くようになったと
おっしゃっていましたが、そのエピソードからかどうかは定かではありませんが、「魔像の十字路」で
飛葉が乗るバイクが殆どヤマハなのです。
そして、終盤ではホンダCB750は登場しません。 「ワイルド7」の連載が長い事もあって、終盤の頃に
なると初期のCB750も古くなったのでしょうかねぇ。 そんなCB750に変わるバイクが下のマンガと
イラストにあるようにヤマハGX750です。 3気筒であること、タンクの形状、エンジンの雰囲気、チェーン
駆動ではなくシャフト・ドライブという点でGX750と判断できるでしょう。
しかし、マンガに登場するGX750のタンクとサイドカバーのカラーリングやデザインは、国内販売された
GX750には無いんですよね。 多分これは推測するに、輸出用のカラーリングだと思われます。
輸出用となると車名が「GX750」でなく「XS750」になるんですよね。


YAMAHA GX750(XS750) ◆エンジン : 空冷4サイクルDOHC3気筒 ◆総排気量 : 747cc
◆最大出力 : 60馬力/7500rpm ◆最大トルク : 6.0kgm/6500rpm ◆最高速度 : 175km/h

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さあ、いよいよ最後です。
やはり最終章「魔像の十字路」に登場するバイクです。
八百が捕らわれ、飛葉が助けに行くところで登場。
その登場シーンが左のコマです。
雨の中バイクを飛ばしコルト・ウッズマンを撃ちながら
登場するシーンはカッコ良すぎます!
さて、最終章「魔像の十字路」ではヤマハのバイクが
殆ど登場する中、これまでとは趣向の違うバイクが
登場します。
イタリアのバイクメーカーで大手メーカーのエンジンを
自社のフレームに搭載したオリジナル・デザインの
バイクを製造する「ビモータ」です。
マンガを観察するに、カウル、シート周りのデザイン、
フルカウル・サイドのラインのデザイン。 カウル・サイド
のホールから飛び出すエンジン・パーツに刻んで
ある「SUZUKI」の文字から「ビモータSB2」だと判断
できますね。


そして、今回は、この「Bimota SB2」をイラストにしてみました。 私事で恐縮ですが、自分のサイトで
紹介しています「ワイルド7」のメンバー達が乗るバイクのイラストを掲載していますが、 これは新作です!


Bimota SB2 ◆エンジン : 空冷4サイクルDOHC4気筒 ◆総排気量 : 743cc
◆最大出力 : 75馬力/8700rpm ◆最大トルク : 5.8kgm/8200rpm


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せっかくですので、自分のオリジナルデザインでワイルド7仕様のカラーリングにしてみました。
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某スタッフに「帰ってきたウルトラマン」仕様だと言われましたけど・・・・・(笑)
赤色灯のデザインは、バイクの雰囲気に合わせてみました。

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・・・・・と、ここで終わるつもりでしたが、最後に「番外編」を一つ。
最後に紹介するのは、ストーリー中には登場しませんが、連載中に表紙を飾ったバイクで、
ハーキュレスW2000というロータリー・エンジンを搭載したユニークなバイクです。
徳間コミックスのワイド版31巻の表紙にもなっています。
何と!このイラストを描いたのは、何を隠そう望月先生の元お弟子さん、当スタッフの「JUN」さんです!
さらにこのイラストのバイクのサイドカバーにはこっそりと「JUN」の文字が描いてあるのです。
こっそりと自己主張したかったのでしょうか(笑) 事の真相を知りたい方は、JUNさんに聞いて下さい。
徳間コミックスのワイド版31巻を持っていらっしゃる方は、是非確認してみてください。



メーカーはDKW(Dampf-Kraft Wagen)。「Dampf-Kraft Wagen」とは蒸気自動車の意味で、
クルマだけでなくバイクも製造していました。ロータリー・エンジン搭載のバイクは、このW2000以外
にもありますが、W2000は世界初の量産ロータリー・エンジン搭載バイクとなります。このロータリー
エンジンはドイツのSachs社傘下のHercules社が開発しました。
1970年のドイツIFMAモーターサイクルショーで登場。1973年にはプレシリーズとして50台が
限定生産された。1974年には、更に改良されたエンジンを搭載した市販車輌が登場。
イギリスではSachsという名前よりもDKWの方が有名だったため、権利を持っていたSachs社は、
DKWブランドで発売しました。 総生産台数は約1800台。
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Hercules W2000 ◆エンジン : ヴァンケル式シングル・ローター・ロータリー・エンジン
◆総排気量 : 294cc ◆最大出力 : 27馬力/6500rpm ◆車両重量 : 174kg


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月刊望月三起也ではみなさんからの投稿をお待ちしています。
「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由、採用者は「月刊望月三起也」で掲載。
また掲載された方には、望月先生書き下ろし特製ポストカードをプレゼント!


是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
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望月先生のコメント

ランシオさんのバイク好きってすごい!!よっぽど資料もお持ちなんでしょうか?
40年も前のバイクの型を特定できる人、そう多くはいないと思うのです。と同時に私もそれほど多く色々な型(モデル)を登場させて来たんだなァ、と、改めてヘンに感心してます。

当時も今もそうですがモデルのデザイン優先。性能なんて乗らなきゃ判らないから放っといて、出来のいい、悪いは見た目重視。それもあたかも自分が乗っているような気分で紙面の上に動かせるってのが喜びなんですよね。と同時に読んで(見ている)読者の人も又乗った気分になって欲しい訳で、良くある同じ映画を観た友人と会話、「あそこのあのシーンのあの・・・・・」って、共通の思い入れで盛り上がるのと一緒でしょうか。
それがファンとの一体感なんでしょうかねぇ。

基本的にいえばバイク好きではないファンの人は、バイクってチェーン駆動だと思っていないはず、自転車のモーター付きがバイクの原点ですからね。
そのエンジンもロータリー取り入れたり、駆動をシャフトドライブだったりと、バイク好きのみが知るマニアックな部分もあったりし、より深い楽しみを味わってくれている人もいたりするのが作者のサービスな訳です。
それだけに連載中も数多くのバイク誌を手に入れ参考にし、細かい部分が写真では潰れていると、市内のバイク店巡って実物の写真を撮らせて貰ったりしたもんです。
大型バイクの免許なんて持ってなかったのですが、せめて紙面の上じゃそういったバイクを私としては乗り回したかったんです。哀しいねぇ。

このこだわりで嬉しかったことが一つ。
最新作となる『ワイルド7 R(リターンズ)』で、主人公の乗るバイク、ヤマハ製なんですが、これ実は海外向けモデルでヤマハ本社に資料を求めてもカタログもなし。ネットで調べても写真の出来が悪く細部がよく分からない。困った。
でも、このバイク、主人公を乗せたい・・・・・ こだわって担当編集者の山田さん(実業之日本社)に相談。
なんと1週間後、国内にあった実車、つまり逆輸入モデルを見つけた山田さん、前後左右、上から下からメーター周りの細部に至るまで写真に押さえてくれたのです。

いい編集者持つって、作家にとってどれほど有り難いことか、改めて実感。 これがバイク好きじゃない担当さんだと、ここまで熱心に探しちゃくれないと思うのですよ。
「他のバイクにすれば?・・・・・」 のひと言でおしまいですね。
というわけで、こだわり屋っているのですよね。

そんなこだわり屋のひとり、ランシオさんの絵って、相変わらず見事ですねぇ、これからも楽しみにしてます。
特にパーツをくっ付け捲くった創造(想像)の1台までリアルに再現・・・・・
恐れ入りました。





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  • 黄金銃を持たない男 :
    「地獄の神話」のバイクショーで、イコを誘拐したバイクも、ハーキュレスW2000ではないでしょうか?(そっちはアメリカンタイプに大幅に改造されています)
    望月先生の作品は、実在するバイクやクルマがたくさん出てくるので、それらの車種を当てるのも面白いです。ビモータなどの貴重なバイクを漫画に正確に描くのは凄いです。

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