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コラム:言いたい放題

第56回

ボヤキの味

執筆者:   2013 年 5 月 7 日

私にとってサッカーと並んで人生の楽しみのひとつが『食』。
こだわって、こだわり抜いてるんで、eBookホームページ上で『サッカー狂が食べる!望月三起也の一品絶品』というタイトルで食コラムまでやってる始末。

人間、歳とると肉より魚に走るってことらしい、すると私も歳か? いや、そういう右か左かでモノを言っては食道楽とは言えないな、どっちも好き。
だが、魚も神戸牛だ、松坂牛だとこだわるように、私のこだわり『鰊(ニシン)』は北海道産だろうが!
・・・・・が、不思議なことに今や滅多に魚屋の店頭に並ばなくなったニシン。たまに見つけても干物、一夜干しの類。これでもいいんですが、とんと生ものは見かけない。そんな、たまに見かける干物でさえ北は北でも北欧、スウェーデンだのノルウェーだの、海外からのモノ。なんで?
そりゃニシンの酢漬けは北欧三国やドイツじゃ定番でしょう。でも、この一夜干しの輸入もの、私にとってはいくら高級品と言われても、身がぐずぐず文句垂れているようで、「お主、しっかりせんかい!!」と、気合入れたくなる出来にしかお目にかからない。
半年に一遍ほどデパ地下食品売り場で出合うって程度の国産物、なんでこんなにニシンが出回らなくなったの?
「エグイから」「癖があるから」と業者は言うけれど、私にとっては“そこ”なんです、“そこ”こそがニシンなんです。癖のないニシンなんて、やたらニヤついて愛想の良くなった本田(圭佑)みたいなもの。チェスカモスクワへ行って益々無愛想になった、あの口より芝の上のプレーでモノを言うってとこが良いわけで・・・・・
いや、何も私は本田がニシンだとは言ってない、立派な鯛(タイ)ですが、ただ癖を否定するなと言いたいわけで、そんなところも魅力なんです。
スウィーツだ、アイスだのってコメントでただ「甘ァい」、肉を食べれば「柔らかァい」って、ことしか言えないレポーター、コメンテーターが多い中、ニシンは正当な評価、されないンでしょうか? 悲しい。

まァ、そういったボヤキを周りの仲間たちにボヤいている私、そんな中のある日、宅配で届いたのですよ、ニシンが。日本海側で獲れたっていうニシンの一夜干し。
これがなんとも上品な味で、いや北海道産の癖の強さが私には本物なんですが、こちらはマグロと言っていい脂のノリが自慢だそうで、いやァ、獲れるところでこうも違うのかね。北海道産がガキ大将なら、こっちは勉強もよくやる優等生ってところかな。
久々、ニシンを楽しめました。

実はこれ、私のボヤキを聞いていたアスカ君が心がけて探してくれていたそうで、地方からの宅配便専門って業者探し当て、送ってくれた。
有り難いねぇ、やっぱボヤいてみるもんだねぇ。
これまでもボヤいて松坂肉を送ってくれた四日市の方もいたりして・・・・・ と、図々しくお願いしていると思わないでネ。送っていただいた方には大変感謝しているのです。でも一番欲しいのは情報で、ぜひ情報は入れてください。買うのは自分でやりますんで。
ニシン、探してくれたアスカ君には何かお返ししなくちゃね。編集やってくれてるんで、〆切り、一日早く原稿上げてお礼って形にしようかねぇ、毎月「早い」とは言えない私ですから(笑)。

ま、今月は食道楽のボヤキになりました。もうひとつのサッカーって趣味、こっちもボヤキたいなァ。
なんなのジュビロ(ジュビロ磐田)、勝てないジュビロ。綿アメみたいなプレーになってしまって。
藤田(俊哉)、名波(浩)、そして中山(雅史)って、あの黄金期の魅力、すっかりしぼんで今や綿アメの棒が目立つってジュビロ。
レッズ(浦和レッドダイヤモンド)共々大ファンで、古いファンの私としては、悲しいねぇ。



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  • ズンコ :
    3回目の出現です、ズンコです。
    市内の単館系の映画館で、「アイ・コンタクト」という映画を観ました。2009年夏に台北で開催されたデフリンピックに初出場した”ろう者サッカー女子日本代表”を追った、ドキュメンタリー映画です。耳が聞こえなくても、前向きな気持ちで頑張る選手達、それを支える家族やスタッフの人達に、いっぱいいっぱい元気を貰いました。
    私は、今まで、サッカーはあまり興味が無かったのです。望月先生のサッカー漫画は、好きでしたが。「ヘッド牙」や「ザ・キッカー」など、楽しませて頂きました。
    「アイ・コンタクト」を観て、サッカーは考えてみれば、素敵なスポーツだと気付きました。ボール一つ有ればプレー出来るから。開発途上国の子供達も楽しめるし、夢を持つ事が出来ますね。ゴールは無くても、地面に線を引けば良いですね。
    感動の涙を流しながら「アイ・コンタクト」を観終わって、私はすっかりサッカーファンになっていました。

    望月先生は、私が中学校の頃、ファンレターを書いたら、イラスト入りの年賀状を下さいました。
    当時、私はファンだった某アイドルグループにも、ファンレターを書いていました。そして、お小遣いで「うなぎパイ」を買って、そのアイドルグループに送った事もあります。でも、返事は全く無く、ポラロイド写真などのグッズの通信販売の案内ばかりが、何度も届きました。そんな事しているから、直に人気が落ちて、アメリカへ音楽留学へ行き、帰ってきたら、もうかつての勢いは跡形も無く、しばらくして解散なんて事になるのですわ。愚痴ってしまって、すいません。
    あのうなぎパイ、望月先生に送れば良かったです。でも、下手な字のファンレターを書いただけの私に、年賀状の返事を下さった三起也先生に、とても感謝しています。
    長く続く人気は、望月先生の人間性もあるのだなと思います。
    浜松市では、うなぎパイをしのぐ美味しさの「らっか最中」という、新しい銘菓が発売されました。地元のヤタローとう会社が作って売っています。知る人ぞ知る銘菓です。食通の望月先生に是非、召し上がって頂きたいのですが、今は送り先の住所も分らないのが残念です。

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