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▼Sadamiさん:
>"死神を処刑" はいつ発表されたのでしょう。私も望月先生がどうやって情報を集めたか知りたいし、敬服しています。
年表にしてまとめてみました。
1970年 豊和工業によるAR180の輸出が始まる(スポーツライフル名目、3年間で3,262丁)
1972年 北アイルランドにて、IRAが豊和工業製AR180を使用
1973年1月 ニューヨークにて「ブラック・リベレーション・アーミー」による警官襲撃事件発生
(現場に豊和工業製AR180が残されていた)
1973年3月 衆議院 地方行政委員会で豊和工業製AR180について質疑(8日)
1973年5月 衆議院 内閣委員会で質疑(10日)
1973年9月 ワイルド7「死神を処刑」掲載 少年キング38号(9/10)
「国会議事録検索システム」で「豊和工業 AR180」で検索をかければ議事録にアクセスできます。
このAR180というのは、アーマライト社の自動小銃AR18のセミオートマチック版のことで、日本の豊和工業が輸出用スポーツライフルとしてライセンス生産していました。問題は、このAR180が簡単な加工でフルオートマチック(=兵器)に改造出来てしまうことでした。
当時の「武器輸出三原則」では自由主義諸国への武器輸出は可能でしたので、簡単に兵器に転用出来るものであっても法的な問題はなかったのですが、上記のようなテロに使われることでアメリカの警察などからクレームが来たりしたので、国が豊和工業に「自粛」を要請して生産は中止されました。
当時この問題はマスコミでも取り上げられていたと思うので、先生は新聞・雑誌等の報道で知っておられたと思います。
僕がプレイボーイでIRAのインタビュー記事を読んだのは、80年代だと思います。弾丸はM16と共通ですし、日本製のARは他国のライセンス生産品より性能が良いので大切にされていたようです。一度拡がった兵器を回収するのはとても困難ですよね。
自動小銃のような1人で操作出来る兵器を「小火器」(スモール・アームズ)と言うのですが、その「効果」は決して「スモール」ではないんですね。
一度拡散したら回収が難しいし、核兵器以上に人間を殺傷している困った兵器なのです。
「死神を処刑」では、そのような小火器が流れ込み、使われる「現場」が舞台でした。飛葉ちゃんはターゲットの武器商人の処刑に、ワザワザ持参した日本製の自動小銃を使います。「やっと武器の怖さを知ったようだな」とありますが、ここに先生のメッセージが込められているように感じました。
類似の事件があったことを知ると、このセリフに込められたメッセージがより強く伝わると思います。
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