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望月マニ也

第71回

飛鳥次郎立体化計画Mission Complete!

執筆者:   2014 年 3 月 7 日

プロの造形師を凌駕するMICKIワールド。「好きこそ物の上手なれ」を飛び越えてしまったその完成度と進歩を携えて再登場!

jiro_f001「月刊望月三起也」読者の皆様お久しぶりです。

ようやく飛鳥次郎フィギュアが完成しました!

今回は題して
飛鳥次郎立体化計画 ~MissionComplete!
の巻です。

jiro_001前回「マニ也」で取り上げていただいてから随分と時間がたってしまいましたが、途中諸事情で作業が中断していたところ昨年6月のティアスサナでのイベントで望月先生にお会いできた事が大きなカンフル剤となったようです。
再開以降はトントンと完成にこぎつけました。

最も頭を悩ませていたのが先生も難しいとおっしゃっていた頭髪の成型です。動きをつけた毛束を、どこから見ても格好良く造るのは、私にはまだハードルが高くて(造形センスの問題かな…)造ってはとっぱらい、とっぱらっては造り、次郎さんが何度坊主になったことか・・・と、全く先に進まないので先にボディを造っちゃおう!という方向で進めました。
ボディ、ヘッド、両腕を其々完成させてからジョイントします。
パーツごとの制作工程を書いて行こうと思いますので暫くお付き合い下さいネ。

◆ボディ
jiro_002jiro_003ある程度出来上がっていたボディに更に肉付けをしていきます。
望月先生の画は〝止まっていても止まっていない〟!止まってポーズをつけているのではなく一連の動作の中の一瞬である!そこを表現したい!というのが私の理想です。マニアの間では望月S字カーブと言われているとかいないとか!?の上半身と下半身が逆方向に振られている難解なポージングとか!ううむ、書いてるだけで興奮してきます、今回はS字じゃないんですけど!
とにかく望月先生の画が持っている躍動感を表現するには動きの方向に無理のない筋肉や衣服のシワをつけていくとより魅力的になると思います。
私の場合は多分に「なんちゃって」感がありますが、無いよりは断然イイのです(これまで勉強したことがないので、「ターザン」の挿画でおなじみのバーン・ホガース氏の著書を参考にしています)。衣服のシワは盛った粘土を削り出したり、粘土で細い紐状のものを造って貼りつけ馴染ませるなどのやり方です。
こうして次郎さんにお馴染みのコスチュームを「着せて」行くわけですが、この次郎さんのベスト、本来なら内側にパーツにした銃やワクワクするような秘密の仕込みがあるんですよね。その分の厚みなどリアルに造るとモサッとしそうなので、見た目優先のスマートなシェイプにしました(でも今思えば、チラッと一部が見えてる仕様にしたら、もっとカッコ良かったかな…)。
スラックスは60年代風に裾が細くて短めなのです。
よし、これでボディは完成です。
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◆ヘッド
jiro_005jiro_006さて、問題のヘッドです。望月先生の画は単純に、正面、横、後ろから見たラインをつなげていけば、ちゃんと「望月画」になるので立体化し易いと思います。
ですから顔が出来上がっていく段階は造っていてもワクワクして楽しいのです(たぶんニヤついて造ってるので薄気味悪い)。
ところが頭髪は別です。
何度やっても満足行く型にならない・・・。
先生がおっしゃってた通りだなあ・・・。はああ、もういっそGIジョーみたいにシンプルにしてみるか・・・と、やってみたところがメカラウロコでそう悪くないじゃないですか!よし、悪足掻きしないでこれで行こう!と、長い間の頭髪問題があっさり解決してしまいました。

でも、やっぱりちょっと動きを付けたいなーと、ほどほどに前髪だけ少し毛束を造って跳ねた感じを出しました。
髪の毛が額にペッタリついてるのはモサッとして見えるので、前髪だけウイッグのように別に造り塗装までしておきます。
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jiro_008顔の造形的には、口元の右端をあげて、ニヤリと笑う不敵な表情にしてみました。途中までシリアスな顔になっていたのが、かなり印象が変わりました。こっちのほうが好きです。
jiro_009_2そして、瞳が入ると、そこで魂も入ってくるのです。
上手く描ければ「おめでとうございまーーーーす!」ですが、失敗すると全てがだいなしの緊張する作業。マニアが言うところの瞳の中に描く窓なのですッ。
眉もキリリと太く男らしく、快男児・飛鳥次郎になったでしょうか?自分的には、まずまず。まずまずなのです!
jiro_010顔の塗装が済んだところで、前髪を接着し、凸凹を調整するのに粘土を盛ったり削ったりしてから全体の頭髪の塗装をして、ヘッドも完成です。

◆コルト・ウッズマンと腕
超苦手なんですけど、望月フィギュアを造るうえでは避けては通れない銃器!
モップやフライパンなら超得意なんだけどなあ!ビキニのユキちゃんにも持たせたから、一度造ってはいるのですが、なかなか上手くいかず何度もやり直したフンイキウッズマンでした。
今回は望月マニ也としてはせめて必要最低限レベルの見栄え造りまでクリアしないと、と頑張りました。前回は初めて扱うエポキシ(造形パテ)がちっとも扱えなかったので、やっぱりもう粘土です。自分には粘土が一番扱い易いので、エポキシで芯を造り、銃身は真鍮棒をそのまま利用して銃の型を造り、そこに粘土を盛り、次郎仕様のウッズマンに削り出していくやり方です。
プロセスは、ご覧いただくと相当ダッサイのですが、結果オーライでなんとか様にはなったと思います。ここはヘタな拘りはいれずにシンプルに黒一色の塗装にしました。
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jiro_012本体が出来たところで指を造り、トリガーに指をかけている手を造っていきます。
指は一本一本フラワーアレンジ用の細いワイヤーを入れて、手の甲にさします。型が決まったら、粘土を盛ってコルトウッズマンを握った手を成形するのです。
その他両腕の衣服の細部など造り込んで行きます。リストバンドはベルトが二つのレザー風ですね(留め金はミシン糸をアクリル絵の具のシルバーで塗り、乾いてからカットして腕の塗装後貼りつけました)。
これで各パーツの完成です。

◆研磨と塗装
jiro_015塗装する前に各パーツの表面の凸凹をなくす為の研磨をかけます。
スプレー缶やエアブラシでサフを吹きつける方がかなり手っ取り早いのですが、私は作業環境もあり、薄め液で溶いたホワイトパテを塗って乾いたらスポンジヤスリで研磨しています。
これを表面がスベスベになるまで繰り返すわけですが、面倒くさい?いや楽しいんですよ、ふふふ。これはほとんどどうでもいい拘りの一つです、ニヤッ。
jiro_016 表面処理が終わったら各パーツに下塗り剤(ジェッソなど)を塗り、ヘッド以外の塗装に入ります。
次郎さんのコスチュームはキングコミックス8巻の表紙を参考にしていますが色見もこれに倣いました。
シャツとベストは鮮やかな赤と白、リストバンドは赤茶でしょうか。スラックスの色が難しいですネ。望月先生の画は水彩ですが、塗料はアクリル絵の具をベタ塗りするので再現が難しそうです。そこでハイライトの当たっていない部分の色に近い色見を作ることにしました。
ネイビーブルー、パープル、チャコールグレイを調合してみましたがどうでしょうか。
名付けてJAパープルです(足して足して足していったら一瓶出来てしまいました…)

パーツの塗装が完了したら、いよいよ組み立てです。各パーツの真鍮棒をジョイント用の穴に差し込み、別途造ってあったお立ち台に(紅白チェッカーをあしらいました!)立たせます。おおお!(涙)いや、待て、トップコートのスプレーがまだだ!シュー!(ちなみにツヤ消しタイプです)おおおおお!次郎さん!次郎さんが立っています、カッコイイ!(涙)
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長期に亘った「飛鳥次郎立体化計画」でしたが、これにてMissionCompleteです。


★次郎フィギュア・メモ

JA-MICKI高さ:15.5㎝
頭から踵まで:19.5㎝ 
※次郎の公式身長165㎝に対してザックリと(あくまでもザックリです)約8分の1スケール
可動域:無し
制作期間:2011年2月~2013年8月
本体素材:造形用粘土(ラドール)
その他、使用素材:針金、塗料(アクリル絵の具)、真鍮棒、台座用板(べニア)
その他使用ツール:デザインナイフ、カッターナイフ、粘土ベラ、ヤスリ各種、筆、造形用パテ(エポキシ、タミヤ・パテ)、ラッカー薄め液、下塗り剤(ジェッソ)、仕上げ用トップコート(マット仕上げ)、リューター(穴あけ用)

※「えッ、こんなに揃えるものがいるの?」と思うかも知れませんが、最低限「粘土・針金・絵の具」があればフィギュアは造れます。私も最初はその3つで造りました。じゅうぶん作れちゃうのです!
完成度をあげたり本格的に型取り複製をしてみたい方は、造っている過程で自分に合った(使いやすい)ものが自ずと揃って行くと思います。
この制作レポを読んで、もし興味がわいたら、まず「粘土・針金・絵の具」を調達してきて(百均で揃う!)気軽に試してみてくださいネ! 

MICKI



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clearfile_01「月刊望月三起也」では皆様からの投稿をお待ちしています。

「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由!
投稿が採用され「月刊望月三起也」に掲載された方には
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是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp

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望月先生のコメント

マンガなんです、人形なんです。
そこンとこ、変にリアルにこだわると頭ン中、こんがらかっちまうのです。
三月、五月・・・・・ 日本人形の老舗、“吉徳”の人形を見てください。みんな糸のような眼ぇしてる。「シノベエ」だって線、一本の目です。
いいんです。人形であって人間じゃない。これからロダン目指して勉強しようというなら別ですけど、見て楽しいと感じればいいのですよ。

私の場合人形作り、20年ほどやってきましたが、デッサンの勉強のつもりです。ですからリアルにリアルにこだわり追求、裸に近い色っぽいものが多いンですが、立体の難しさで非常に勉強になったのが前後のバランス。
例えば正面と背面の絵を描き、これを切り抜いて貼り付けたら? ・・・・・ズレてるんですねぇ。本当はピッタリ寸分の狂いなく股下から足の長さ、腰の位置と、ピタリとキマるはずがね。
そうなんです、実は平面、二次元の漫画では正面のカッコよさ、背後から見たカッコよさ、違うンですよ。これ、ある意味、平面の持つ魅力であり、魅力をオーバーに誇張する。それが漫画だってことなんです。それは粘土で立体を作ることで納得できるンです。
平面の漫画と違う粘土の良さ、特徴はまさに捻りでしょう。“カーブの美”です。ぼんやり突っ立ってる人形のどこが面白いの? って、ことですね。
ただ捻りの難しさは、プラモデルになっちゃいけないってこと。

プラモは切った貼ったと2体を合体させて1体にし、別ポーズを作るわけですが、ただ2体を腰で切りくっ付けると、実に妙な角度の体型になるんです。へその位置が横向くって、現実にはあり得ないのだけれどプラモなら可能。だからリアルじゃない、変なんです。
これが粘土で捻りを感じてくると“リアルな捻り”が判ってくるのです。粘土はそこが勉強になると言えるところなんです。
でもね、楽しむことと勉強とは違う。同じ粘土こねくっても自分らしいって特長・・・・・ それでいいと思うのですよ。時にリアルに、時にオーバーに。
ただし絵でも同じですが、上半身がタッチ多めなシワたっぷりのリアル画で、下半身はデカ足でギャグっぽいってのはいただけないね。気持ち悪い。
見た人の気持ちが幸せになるってのが一番、上手い下手なんてのはプロに任せておけばいいのです。

今回のMICKIさんの「捻り」、中々のもんです。飛鳥次郎らしさ出てます。この難しい捻りにトライするところがいいねぇ。
さらにいいところと言えば「指」。これが丁寧に作られてる。指は折れやすいし難しいのです。

ヘアスタイルにこだわったようですが、なァ~に気にすることはないンです。捻った身体を作るってことは、当然髪の毛だって動く。そうなると毛髪の流れも計算しないとリアルじゃないことになる。
そこまで突き詰めたら嫌になるでしょ、あくまで人形、あくまでモデルは漫画なんです。
見てほのぼの、思わずニンマリする。そういうところが漫画の主人公を立体にするよさと私は考えますが。

今回の『次郎』、私が感心したのは足。このポーズは大したもんです。一方向だけじゃなく全方位から見て“カッコよさ”が出てますよ。
よくまァ、掴んだもの! 立派!!



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  • MICKI :
    望月先生、お忙しいところ作品を見ていただき、コメントも寄せていただきありがとうございます!感激ひとしおです!
    先生がおっしゃるように「変にリアルにこだわると頭ン中、こんがらかっちまうのです」という時期が制作中にありましたので、コメントを拝読させていただき目から鱗がおちました(以前にも書いた気がしますが)。
    「見て楽しいと感じればいいのですよ」本当におっしゃる通りですね。見て楽しく造って楽しくなければつまらないですものネ。
    「捻り」と次郎のポーズをほめていただきありがとうございます。とても執心して造ったので感激です。
    これからも魅力的な望月キャラクターの立体化に挑戦していこうと思っていますので、また機会がありましたらご覧いただきたいです。
    また、記事が出来上がるまでご尽力いただいた事務局の皆様にも感謝いたします。心からありがとうございました!
    MICKI

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