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作品紹介

第63回

悪魔の日曜日

執筆者:   2014 年 4 月 7 日

エッ、あの八百が?オヤブンや両国も?我々ファンが喜ぶお馴染みのキャラクターたちが続々登場する作品は、ちょっと意外なSFファンタジーでした。

tittle貴方は、都市伝説で噂されるような出来事に、実際に遭遇した事はありますか?
口裂け女?トイレの花子さん?下水道に住む巨大ワニ?ツチノコ伝説?かぐや姫宇宙人説?…etc

これからご紹介するのは、都市伝説のような出来事に遭遇した男のお話でSFタッチのミステリーアクション作品です。
それが「悪魔の日曜日」です。
Devilish Sunday_001

あらすじは
ある日突然、ごく普通の平凡な男を襲った不思議な事件から幕を開けます。
まるでキツネにでもつままれたような、日常では到底ありえない出来事が次々に男とその周辺に起きる。ピアニストで高収入の美人の奥さんと暮らす何のとりえもない男に何故?
一体誰が?何の為に?はたして得体の知れない集団の正体とは?
得体の知れない連中から追われて危機一髪になりながら逃げ惑う銀次と近所に住むご隠居。正に万事休すの場面で助けに来てくれたのは…!?

Devilish Sunday_002

この作品の特徴は、日頃身の回りにある今までまったく気にしていない物や出来事を望月先生の独特の解釈でストーリーに折込み、お話はどんどん進みます。
今回のキーワードは「猫」と「ベートーベン」でしょうか。
Devilish Sunday_004Devilish Sunday_003特に「猫」はその後の望月作品「学園シャンプー」や「ロス・アンジェルス黄金の眼」でも重要なキャラクターとして登場しています。
確か当時、望月先生のお宅で猫を飼われておられたと、どこかのコメントで見た記憶があるので、飼い猫を観察されていてストーリーを思いつかれたのかな?と思いました。
一方の「ベートーベン」の方は、解釈を見てなるほどと感心させられました。あながち間違いではないかもしれない、もしかしたら当時の人たちは本当にそう思っていたのかもしれないと思わせる展開でした。
ちなみに「ワイルド7」第15話「運命の七星」にも「ベートーベン」という名前の「清掃車」が登場しましたね。
こちらも音楽が重要なキーポイントでした。

Devilish Sunday_005もう一つの見所は、今回登場するキャラクター達ですね。
主人公の元紅組のマラソン銀次は顔が「ワイルド7」の「八百」そっくりだし、近所に住むご隠居は「ワイルド7」の「両国」にボサボサ頭をのっけた顔で、冒頭のそばの屋台のシーンでは正に両国そのままのそっくりさんも登場します。
Devilish Sunday_006銀次のダチのノビの三公も「ワイルド7」の「オヤブン」に顔がそっくりと、丁度「ワイルド7」の連載も最終話でクライマックスの頃でファンとしては他の雑誌で「ワイルド7」のスピンオフのお話が読めたと思える嬉しいプレゼントでした。

その他、過去のビッグコミックの作品からもゲストが多数出演…。
「へい、お町!」からは「狸奴」と「四代目節中庵(屋台)」、「Oh!刑事パイ」からは「三丁目警察署長」と「捜査一課の刑事たち」など、思わずニヤリとする演出でした。



Devilish Sunday_007毎度お馴染みメカチェックですが、今回はというと、ほんの一瞬しか映りませんがカーマニアの望月先生ならではのこだわりの外車が登場します。
「ロメオZ」と本編では呼ばれていますが、正式名称は「アルファロメオGiulia(ジウリア) TZ(チュボラーレ・ ザガート)1」でしょうか?
1962年~1967年に発売されたスポーツタイプの直列4気筒エンジンと高剛性鋼管フレームに、カロッツェリア・ザガードの流麗なアルミボディが与えられたマシン。
「ジウリア」とはジュリエッタの姉という意味だそうです。(ちなみにジュリエッタもアルファロメオの車名の一つです。)

Devilish Sunday_008先程も触れましたが、主人公が「ワイルド7」の「八百」似と申しましたが、この作品の前後にも「八百」似のキャラクターが活躍する作品がいくつか発表されています。
「アケミの伝説」の「勘太」、「俺の新選組」の「永倉新八」…etc。
よほどこのキャラクターへの思い入れがお有りだったのでしょうねぇ~。
もしかしたら私が知らない作品で他にもあるかもしれません。

例によって、残念ながらこの作品はまだ一度も単行本に収録されたことがありません。
他の短編同様、いつの日か短編集として発売して欲しいものです。


【作品データ】
「悪魔の日曜日」 全40ページ  ビッグコミック5月23日臨時増刊 (1978年)

Devilish Sunday_009
後半に登場する大蛇?ツチノコがモチーフか?


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望月先生のコメント

映画ファンの私としてはガキのころから、個性のないキャラクターがただストーリーに沿って出てくるだけの映画は三流と決めつけて、そういう監督の作品は二度と観ないという感じでやってきました。なにしろ小遣い少ない中での映画代、「騙されたァ!」って、作品は心底腹立ってましたよ。
同級生の中でも1、2を争う映画マニア、小学生で洋画に強いのは自慢でしたね。今にして思えばそれが漫画の勉強となってたって訳でもあるのですが。

名作と言われる映画の登場人物は、しゃべり方から動きに至るまで癖がついてる。顔に同じようなマスクを付けた銀行ギャングを演じていても、明らかな動きとセリフでそれぞれの『個』の違いを表現できる。さらに言うと、“ダイコン”と言われたジョン・ウェインが主演なら、演技の巧い役者を周りに配置することで名作にしてしまう。それがジョン・フォードなんて名監督の手口。周りが演技派なら、表情の変化の乏しいジョン・ウェインでも逆にそれが個性となってしまうって計算だろうね。
つまり、ドラマって“個”が大切、役者もまた“個”だから、中学生のころからリー・マービンとかアーネスト・ボーグナイン、ワード・ボンド等々、脇役で個性の強いところが大好きで、漫画を描くようになってからも似顔で作品中に登場させてきました。

デビュー当時の私の作品、主人公のキャラクターは立ってます。脇の2、3人、まァ個性つけてあります。でも私にとっては不満足、漫画だからこれでいいってことはない。もっとドラマチックにするには登場人物にクセを付け、たくさんの個性、絶対あっていいはず。と、その考えで出来ないながらも目標だけは高く!で、トライ。
漫画は映画と違って個性が創造できるところがいい。映画なら役者集めに苦労するだろうけどね。

そんな中でもビッグコミック(小学館)で描くようになった頃、読み切り短編含め、一番の“新人”が登場したころかと思います。逆に言えば、同じ個性には飽きっぽい私の性格ですから、常に新しい“顔”を作りたい訳ですよ。
また中にはお好みの顔、つまり一向に飽きの来ない顔もある。こういうのは私の中で名脇役なんですね。それが積もり積もってくると一大プロダクションか映画会社、東映、東宝ですね。そうなると私の頭の中ではオールスター映画をやろうって楽しみがごく自然に出てくる。
今でも私の手元にはキャラクター帳というものが4冊あります。これまでに登場させたお気に入り脇役をスクラップしたもので、時々ここから取り出して使います。つまり映画なら俳優プロダクションに声を掛けるって作業。

まァ、そういうわけでオールスター作品はパロディでも俺しか出来ない仕掛けだろって、へんな自慢みたいな部分もあって楽しく描けてます。

この作品取り上げてくれたeddy-sさん、相変わらずマニアック、よくまァ拾い出して来るなァ。
私としてはどこかでまた、この手のいたずら企画やってみたいと改めて今思っています。



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