==============================================
今から44年前の1970年、サッカーワールドカップメキシコ大会が
開催されました。
優勝はサッカーの王様「ペレ」が率いるブラジル、2位はイタリア。
その時のブラジルチームの選手だったのが、「ジャイルジーニョ」。
(小さなジャイールという意味)
本名「ベントゥーラ・ジャイール・フィリオ」(Ventura Jair Filho)。
なぜ今その話をするかといいますと、これからご紹介する作品
『乱反射』に関係しているからです。
==============================================
・・・物語の舞台は南米のとある町。
W杯開催中で街中はサッカーファンがかたずを飲んで
試合を見守っている最中。一方、まもなく大使が通過する為、警察は日本人の暗殺者が潜んでいるという情報
に基づき街中を捜索中。暗殺にもってこいの大通りに
面したカフェに立ち入ると3組(旅行中のカップル、酔っ払いの絵かき、おネェ?の中年男)の日本人が・・・。
はたしてこの中に暗殺者がいるのか・・・!?
暗殺を企てる者と、それを阻止しようとする警官が相手の裏をかきながら、あの手この手で繰り広げられる
知恵の比べ合いがスリリングな見どころとなっている一篇で、そこに登場する地元の女性を巻き込んでの
一大群像劇としても楽しめる傑作です。
物語の序盤からラストまでずっとラジオの実況放送が流れていて、サッカーW杯の中継をしているのがわかります。
ラジオから「ブラジル」という名前が登場するので片方のチームは
間違いなく「ブラジル」、当時の選手は前述の「ペレ」や「ジャイルジーニョ」。
相手チームは「ミューラー」という名前が出てくるので「西ドイツ」の
選手の「ゲルト・ミューラー」ではないかと推測されます。
つまり、ストーリーの中で「1970年ワールドカップメキシコ大会」の
優勝戦で実際にはなかった「ブラジル」対「西ドイツ」の幻の対決を
漫画の中で描かれておられるという事です。
(実際には2位のイタリアに敗れ西ドイツは3位)
さて、大使の到着まであと少し、はたして暗殺者はどこに?
どうやって暗殺するのか?
一方試合もいよいよ佳境、得点は「3対2」でブラジルがリード、試合時間は
残り1分、ミューラー最後のシュート、ブラジル逃げ切るか!!
惜しくもボールはバーを叩いた・・・。ブラジルが優勝!!試合終了・・・と同時に
この物語も終わりを告げた・・・。
男と女の愛と未来と共に・・・。
この話でも描かれていますが、各国のサッカー熱、特に
南米のサッカーへの入れ込みようは、渋谷のスクランブ
ル交差点で騒ぐ日本のファンとは比べ物にならないほど
凄まじく、試合の日は会社も学校も休みのところもあると
いうほど、国を挙げてサッカー観戦するぐらいですから、
もし優勝なんかしようものなら場所時間関係無くドンチャ
ン騒ぎが始まると聞き及びます。
ただ、2002年の日韓大会の時、日本でもそれに近いも
のがありました・・・。私の会社の取引先が、あろうことか
大事な約束事を忘れてしまって大変でした。それも日韓
試合の翌日に・・・。(苦笑)
それらの混乱状態をうまく取り入れて、もしかしたらありえそうなストーリーを作られるとはさすが望月先生。
ところで、このお話に登場するメインキャラクターには名前が付いて
いません。
まぁ望月漫画ではストーリーにのめり込んだら別に名前は不要なの
ですが・・・。
唯一固有名詞が出てくるのは、ラジオから流れてくるサッカー選手の
名前と、このパスポートぐらいですか。(笑)
==============================================================================
1973年 ビッグコミックオリジナル(小学館)11月5日号
(読切全27頁)
1974年 ハードコミックス(大都社)『薔薇のイブ』全1巻併録
(8月30日初版発行)
1984年 ハードコミックス(大都社)『薔薇のイブ』全1巻併録
(6月20日初版発行)
ebookjapanでも購読可能です。コチラまで。
(『薔薇のイブ』巻末に収録)
==============================================================================
=============================================
「月刊望月三起也」では皆様からの投稿をお待ちしています。
「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由!
投稿が採用され「月刊望月三起也」に掲載された方には
記念品として、特製クリアファイル(2枚セット)
をプレゼント!
是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
=============================================
今から44年前の1970年、サッカーワールドカップメキシコ大会が
開催されました。
優勝はサッカーの王様「ペレ」が率いるブラジル、2位はイタリア。
その時のブラジルチームの選手だったのが、「ジャイルジーニョ」。
(小さなジャイールという意味)
本名「ベントゥーラ・ジャイール・フィリオ」(Ventura Jair Filho)。
なぜ今その話をするかといいますと、これからご紹介する作品
『乱反射』に関係しているからです。
==============================================
・・・物語の舞台は南米のとある町。
W杯開催中で街中はサッカーファンがかたずを飲んで
試合を見守っている最中。一方、まもなく大使が通過する為、警察は日本人の暗殺者が潜んでいるという情報
に基づき街中を捜索中。暗殺にもってこいの大通りに
面したカフェに立ち入ると3組(旅行中のカップル、酔っ払いの絵かき、おネェ?の中年男)の日本人が・・・。
はたしてこの中に暗殺者がいるのか・・・!?
暗殺を企てる者と、それを阻止しようとする警官が相手の裏をかきながら、あの手この手で繰り広げられる
知恵の比べ合いがスリリングな見どころとなっている一篇で、そこに登場する地元の女性を巻き込んでの
一大群像劇としても楽しめる傑作です。
物語の序盤からラストまでずっとラジオの実況放送が流れていて、サッカーW杯の中継をしているのがわかります。
ラジオから「ブラジル」という名前が登場するので片方のチームは
間違いなく「ブラジル」、当時の選手は前述の「ペレ」や「ジャイルジーニョ」。
相手チームは「ミューラー」という名前が出てくるので「西ドイツ」の
選手の「ゲルト・ミューラー」ではないかと推測されます。
つまり、ストーリーの中で「1970年ワールドカップメキシコ大会」の
優勝戦で実際にはなかった「ブラジル」対「西ドイツ」の幻の対決を
漫画の中で描かれておられるという事です。
(実際には2位のイタリアに敗れ西ドイツは3位)
さて、大使の到着まであと少し、はたして暗殺者はどこに?
どうやって暗殺するのか?
一方試合もいよいよ佳境、得点は「3対2」でブラジルがリード、試合時間は
残り1分、ミューラー最後のシュート、ブラジル逃げ切るか!!
惜しくもボールはバーを叩いた・・・。ブラジルが優勝!!試合終了・・・と同時に
この物語も終わりを告げた・・・。
男と女の愛と未来と共に・・・。
この話でも描かれていますが、各国のサッカー熱、特に
南米のサッカーへの入れ込みようは、渋谷のスクランブ
ル交差点で騒ぐ日本のファンとは比べ物にならないほど
凄まじく、試合の日は会社も学校も休みのところもあると
いうほど、国を挙げてサッカー観戦するぐらいですから、
もし優勝なんかしようものなら場所時間関係無くドンチャ
ン騒ぎが始まると聞き及びます。
ただ、2002年の日韓大会の時、日本でもそれに近いも
のがありました・・・。私の会社の取引先が、あろうことか
大事な約束事を忘れてしまって大変でした。それも日韓
試合の翌日に・・・。(苦笑)
それらの混乱状態をうまく取り入れて、もしかしたらありえそうなストーリーを作られるとはさすが望月先生。
ところで、このお話に登場するメインキャラクターには名前が付いて
いません。
まぁ望月漫画ではストーリーにのめり込んだら別に名前は不要なの
ですが・・・。
唯一固有名詞が出てくるのは、ラジオから流れてくるサッカー選手の
名前と、このパスポートぐらいですか。(笑)
==============================================================================
乱反射 |
1973年 ビッグコミックオリジナル(小学館)11月5日号
(読切全27頁)
1974年 ハードコミックス(大都社)『薔薇のイブ』全1巻併録
(8月30日初版発行)
1984年 ハードコミックス(大都社)『薔薇のイブ』全1巻併録
(6月20日初版発行)
ebookjapanでも購読可能です。コチラまで。
(『薔薇のイブ』巻末に収録)
==============================================================================
=============================================
「月刊望月三起也」では皆様からの投稿をお待ちしています。
「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由!
投稿が採用され「月刊望月三起也」に掲載された方には
記念品として、特製クリアファイル(2枚セット)
をプレゼント!
是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
=============================================
eddy-s さんのプロフィール
【望月三起也先生より】
このころは、短編(読み切り)というものがかなりありまして、これはこれで別世界。30ページとか40ページなんていう少ないページの中で、いかに読者を楽しませるか、その難しさは大変ですが自分も楽しみ半分苦しみ半分、なんですねぇ。
その割にストーリーは1編30ページ前後に使って終わり。長編ならそのストーリーを含め週刊誌連載でも半年は持たせられるけど、シチュエーション含めキャラクターなんかも気に入って、「これは新しい!いいねぇ!!」と思っても、1回きり、30ページ(前後)でおしまい。実にもったいないのが読み切り短編。
美味しいケーキが!・・・・ と思っても、ホールじゃなくてワンピース。いや、一口分かもね。
掛ける手間ひまは、ホールと同じなのにねぇ。
ページ辺りの手間自体も決して得じゃない、でも金銭に替えられない魅力なんですよ、これが。
30ページ前後の中でしか表現できない工夫やタッチ、ストーリーなどがあるわけで、そこで読者を唸らせる。ってとこに毎度挑戦して、ときに戦い敗れるときもありますが、ある意味、長編では描けない世界。それが魅力。
そう、eddy-sさんのように40年も前に読んでの感動を未だに持っててくれる読者がいる。そこ、描き手は「やったぜ!」と喜ぶ人生、至福のときなんです。
今では細かいストーリーなんてまるで忘れています。
当時、代表戦の試合の放送もあったりなかったりという、サッカーのお寒い時代に、ただサッカー好きの元祖サポーターとしては、なんとかサッカーをメジャーにしたいと、ワールドカップなんてサッカーにとってはメジャーな世界を舞台に持って来て、「ワールドカップってのは、こんなに凄いンだぞ!」と、知って欲しいという隠れた企みでもあったわけで、F・ベッケンバウアーなんて選手の名前も当時の読者の何人が判ってくれたか。
今じゃサッカー選手も名が知れて、ミューラーかメッシかってほどの有名人となってますが、こういった作品も含め単行本化されるときは、長編のページ不足を補う形で本の後方へ回され付録扱い・・・・・ 残念です。
今FIFAワールドカップ ブラジル2014、ベッケンバウアーはドイツサッカー協会の会長さんだから、多分VIP席で観てるンでしょうねぇ。
ちなみに私は、ドイツの優勝と予想しています。
もうひとつ、そのベッケンバウアー現役時代に撮ったツーショット、持ってるンですぞ。
私の宝物のひとつ!
このころは、短編(読み切り)というものがかなりありまして、これはこれで別世界。30ページとか40ページなんていう少ないページの中で、いかに読者を楽しませるか、その難しさは大変ですが自分も楽しみ半分苦しみ半分、なんですねぇ。
その割にストーリーは1編30ページ前後に使って終わり。長編ならそのストーリーを含め週刊誌連載でも半年は持たせられるけど、シチュエーション含めキャラクターなんかも気に入って、「これは新しい!いいねぇ!!」と思っても、1回きり、30ページ(前後)でおしまい。実にもったいないのが読み切り短編。
美味しいケーキが!・・・・ と思っても、ホールじゃなくてワンピース。いや、一口分かもね。
掛ける手間ひまは、ホールと同じなのにねぇ。
ページ辺りの手間自体も決して得じゃない、でも金銭に替えられない魅力なんですよ、これが。
30ページ前後の中でしか表現できない工夫やタッチ、ストーリーなどがあるわけで、そこで読者を唸らせる。ってとこに毎度挑戦して、ときに戦い敗れるときもありますが、ある意味、長編では描けない世界。それが魅力。
そう、eddy-sさんのように40年も前に読んでの感動を未だに持っててくれる読者がいる。そこ、描き手は「やったぜ!」と喜ぶ人生、至福のときなんです。
今では細かいストーリーなんてまるで忘れています。
当時、代表戦の試合の放送もあったりなかったりという、サッカーのお寒い時代に、ただサッカー好きの元祖サポーターとしては、なんとかサッカーをメジャーにしたいと、ワールドカップなんてサッカーにとってはメジャーな世界を舞台に持って来て、「ワールドカップってのは、こんなに凄いンだぞ!」と、知って欲しいという隠れた企みでもあったわけで、F・ベッケンバウアーなんて選手の名前も当時の読者の何人が判ってくれたか。
今じゃサッカー選手も名が知れて、ミューラーかメッシかってほどの有名人となってますが、こういった作品も含め単行本化されるときは、長編のページ不足を補う形で本の後方へ回され付録扱い・・・・・ 残念です。
今FIFAワールドカップ ブラジル2014、ベッケンバウアーはドイツサッカー協会の会長さんだから、多分VIP席で観てるンでしょうねぇ。
ちなみに私は、ドイツの優勝と予想しています。
もうひとつ、そのベッケンバウアー現役時代に撮ったツーショット、持ってるンですぞ。
私の宝物のひとつ!
固定リンク | トラックバック(0)
コメント