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【ひとこと作品紹介】ツキとスッポン

hitokoto_img第6回

ツキとスッポン

執筆者:Ken

今回も望月マニ也のエース、作品リストでお馴染みのKenさんが、オススメの一作をご紹介。
望月漫画としては実に珍しい野球モノが登場。
例によって、汗と血のにじむ熱血スポ根……ではありませんでした。
ヤクザと不思議なチカラを持った美女が巻き起こす、痛快コメディとなっています。

【作品名】
ツキとスッポン

【掲載誌】
1985年「ベースボールマガジンコミック」11月号
(ベースボール・マガジン社)
読み切り掲載

【あらすじ】
主人公のひとりであるヤクザの天竜虎一組組長は信心深く、毎朝神社にお参りし、欠かさず賽銭を入れるも、なぜか最近ツキが無いとぼやいている。
この日も神社の石段から転げ落ち、さらには鈴の緒を掴んだ途端に鈴が落ちてきて頭を強打する始末。
全くツキが無い。
そのとき、もうひとりの主人公である若い娘が賽銭箱の脇から出て来る。
娘は大胆な水着姿風のコスチュームで、お供えのアブラゲを食べている。
ちなみに娘には名前が無い。
組長は不審に思いながらも野宿している可哀想な家出娘だと思い込み、親切心から家に連れていく。
家に到着して早々、恰幅の良い3人組がやってきた。
暴力団による殴り込みかと思いきや、下町税務署と名乗り、草野球の試合の申し込みに来たのだった。
実は組長一家は4年間税金を滞納しており、この試合に負ければ、差し押さえが入るため、絶対に負けられない戦いなのだ。
意気込みはあるのだが、最近はなぜかツキに恵まれていないので、勝てる気がしない。
そこへ先の娘がやってきて、「ツキが無いのは貧乏神や疫病神を飼っているから」という。
組長は「目に見えないもののせいにするな」と一蹴するが、「私には見える」と娘が柏手を打つように手を叩くと、貧乏神や疫病神が逃げ出してしまった。
実は組長には見えていないはずで、娘の不思議なチカラのおかげなのだが、簡単に納得。
「この勝負いただきかも」と組長の気分は高まる。
試合の当日。
相手チームは全員が精鋭揃い、一方、組長チームは平均年齢75歳で全く勝てる見込みがない。
先日はツキに恵まれたはずと思ったが、簡単には優秀な人材は集まらない。
ところが、蓋を開けると、相手チームのボールが不規則に移動したり、新品のグローブが破れてしまったりと、組長チームに断然有利な展開で、点がどんどん入る。
組長は「神社からツキを授かった」と喜ぶ。
実は娘の不思議なチカラによるものなのだが、それを知る者はいない。
最後は組長チームのコールド勝ち17対0、このレベル差、ツキとスッポンでした。


【作品解説】

読み切りの未収録作品である。
ジャンルはコメディだが、SF要素あり、野球漫画の要素ありといった異色の作品。
天竜虎一組の組長はそれなりに設定の名前が付いているのだが、もうひとりの主人公の娘は展開上、名前が無い。
主人公なのに名前が無いので、若い娘と紹介するしかない。

ちなみに本作品の前号での予告タイトルは『丁半ヴィーナス』であったが、実際の掲載時タイトルは『ツキとスッポン』に変更となった。
ヤクザが登場するので、丁半博打を絡めたかったようであるが、そのシーンが無くなってしまったのかもしれない、タイトル変更という珍しい事例である。
さらに、この予告の中でも書かれている「ツキの女神」というフレーズをタイトルにした『月の女神』という読み切り作品が、同年の「ベースボール・コミック」(サンケイ出版)に掲載されている。
こちらも野球+主人公に運をもたらす不思議な娘の物語だが、その展開は本作よりもシリアスでハードなものとなっている。


少し脱線するが、雑誌掲載時の作品頁の脇に「望月先生のアシスタント募集」の文字が見えた。
本作品は1985年の掲載だが、翌年の1986年から『新ワイルド7野獣伝説』の連載を開始するにあたり、執筆体制を強化する時期だったと思われる。
望月先生として思い入れのある作品の続編の執筆に向けた、当時の意気込みが伝わってくるようである。




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2019 年 11 月 8 日   固定リンク   |   トラックバック(0)


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