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望月マニ也

第104回

望月三起也作品黄金のポーズ集~女性の曲線美編~

執筆者:   2020 年 12 月 18 日

望月漫画の楽しみとして欠かせないのが、セクシーに誌面を彩る女性キャラたち。扉絵など唐突に描かれる彼女たちの愉しみ方について、eddy-sさんがまた新たな発見をしてくれました。

『ワイルド7』も50周年を超え、最近では「ワイルド7イラストレーションズ」「ワイルド7 生原稿ver」「W7モノクローム」「ワイルド7ファンブック」「俺の新選組」「MAD DOG」……と、立て続けに刊行されました。
ファンとして嬉しい悲鳴をあげています。

そんなある日「ワイルド7ファンブック」を眺めていて、ある事に気がつきました。
それは本邦初公開の未発表イラストの一つで、ナチスの制服を着た女性の全身イラストだったのですが、このポーズ前にどこかで見た気がすると思い、所有している望月作品の雑誌・本を片っ端から引っ張りだしたところ、やっと判明しました!!
『ワイルド7』最終章「魔像の十字路」掲載ラスト10週開始の少年キング1979年5月14日号の扉絵のユキのポーズとほぼ同じだったのです。

ナチスの軍服女性と「魔像の十字路」ユキ

モデルのような見事なプロポーションで長い足を前に出して歩き出すようなポーズをとっている女性は、露出の多い戦闘服を身にまとい胸は大きく開き、後ろ手に銃を持ち、素肌の上からベルトを締めて武器を携帯しているとても危険な香りがする絶世の美女。

このような似ているポーズが、他の作品の中にもあるような気がしてきました。

望月先生の描かれる女性はどれも魅力的で、特にお尻を強調したカットは、なめらかな曲線美がとても記憶に残っています。
そこでこの機会に、望月先生が描かれた数々の黄金のポーズ(美女限定!)を皆さんと一緒に鑑賞していきたいと思います。

題して 「望月三起也作品黄金のポーズ集~女性の曲線美編~」


パターンA:寝そべりポーズ

【A-04】

突き出すようなお尻が最大の特徴で、大きくふくよかに描かれています。
背を向けて横たわりながらも顔は上げ、視線はこちらに向けられているので、腰のひねりや交差させた足、あるいは何かに触れる指先のしなやかさが、大胆なポーズの中に女性らしい柔らかさを感じさせます。


A-01『ワイルド7』「千金のロード」マリ

【A-01】

ラオスで飛葉たちが救出を命じられたターゲットは「マリちゃん」という事前に聞かされていた幼い娘のイメージからは程遠い、立派なお嬢さんだった
……というシーン。
少女らしさはあるものの、スラリとした手足の長さが体つきは既に大人の女性である事を表していて、とってもSEXYでした。
A-02『ごくろう3』「星の老嬢様」久美
A-03『続・新ワイルド7』(ムック表紙)エンゼル
A-04『新ワイルド7』(CDジャケット)女兵士

【A-02】

などは、いずれも力強い女戦士イメージで、タイトル上に堂々と横たわり存在感を出しています。

古くはギリシャ・ローマ時代から描かれてきた裸婦画にも同じようなポーズの絵が数多く存在します。
有名な物としてはヨーロッパの印象派のルノワールが描いた絵画などで、望月先生の描かれた女性たちもその流れを受け継いだかのような、いつ見ても安定感と躍動感を感じます。

【A-03】

そう言えば昔、会社の上司・同僚に望月先生の描かれる漫画はどんなイメージですか?と聞いた事があります。
いずれもその答えが「色っぽいおねえちゃんたちがいっぱい出てくる漫画を描く漫画家」でした。これは「ビッグコミック」に掲載された『ビタミンI』から『Oh!刑事パイ』までのコメディタッチの女性が主人公の漫画から来る率直な意見だと思いました。
残念ながらビッグコミック掲載時期は、私はまだ中学、高校生でしたので、それらの作品をじっくり見る事が出来たのは社会人になってからでしかも単行本でした。
(…と言いつつ実は、学校帰りに書店の店先で立ち読みして、チラチラと見て知ってはいましたが…。(汗))
おっと話が少し逸れてしまいました。本題に戻ります。


パターンB:牝豹のポーズ

【B-06】

女性が四つんばいになっているポーズは女性特有の曲線美を強調する最も女性らしさをアピールする手段として、過去に色々なメディアでも何度も使用されているのでご存知だと思いますが、望月先生も効果的に作品で使用しています。

例としては
B-01『MAD DOG』「目には目を」(扉絵)
B-02『うるとらSHE』「じじ捨てゴメン」(扉絵)
B-03『ごくろう3』「ドタリ待ったろう」(扉絵)
何かに跨ってチョットとぼけた感じに描いてみたり、オールヌードもシルエットを利用して忍び寄る怪しさとチラリ見える色気を演出したりと、似ているポーズでも全く違う印象を与える工夫の数々が、毎回の扉絵を新鮮にしています。

【B-01】

【B-02】

【B-03】


B-04『Oh!刑事パイ』「イミテーション強盗」(扉絵)
B-05『WILD猫』(扉絵)
このパターンは後方からのショットも、とても挑発的で悩ましく魅せてくれます。

【B-04】

【B-05】

B-06『ワイルド7」「魔像の十字路」最終回(扉絵)
超大作のラストを飾ったのも、このポーズのユキでした。
毎週楽しみに読んでいた読者たちにとって忘れられない扉絵となりました。
ヒットコミックスの最終(48)巻の表紙にも使われた象徴的な一枚です。

B-07『W7』(初出典ebook KATANA2014年7月号掲載扉絵)

【B-07】

こちら『W7』で描かれたアラビア風の女性。
恐らく望月先生が生前最後に描かれた牝豹のポーズだと思いますので、特に感慨深いです。

いかがでしたか?
望月三起也作品黄金のポーズ集
こんな風に望月漫画を鑑賞すると言うのもまた違った楽しみ方だと思います。

単なるファンサービスのお色気シーンと侮ることなかれ!

女性の美しさやたくましさを最大限に表現して、ピンナップグラビアのように一度目にしたら虜になってしまう強烈な印象と、これから始まるド派手なアクション、ナンセンスなギャグ、そして時には目を覆いたくなるような痛々しいシーンの中でワンポイントとなって心を潤してくれるオアシスのような存在がそこにはあります。
それぞれの作品世界に深みを与えてくれた、お姉さん方には賛辞を贈らずにはいられません。


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望月先生のコメント
eddy-sさん、いつも投稿ありがとうございます。
今回はなんと「望月三起也作品黄金のポーズ集」!
いかにも数々の作品を掲載誌から集めているeddy-sさんならではの、素晴らしい愉しみ方ではないでしょうか。
このまま画集としてまとめて欲しいくらい、いつまでも眺めていられます。
ポーズをパターン分けしているので一目瞭然、「望月三起也っぽいポーズ」のカタログ風考察資料としても充実した内容だと思います。

読者の目を楽しませる目的である事はもちろん、きっと望月先生自身が描きながらノッてきてしまうような得意なポーズもあった事でしょうね。(事務局/yazy)

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コメント/トラックバック

  • 西園寺ちーむ :
     雌ぇ豹ぉーっ!
    一気にイってしまった!
    いや、読んでしまった。
     あのぉこのサイトは基本、元祖ワイルド7だと思いますが、
    餅突き?先生の画的には野獣伝説、W7、続(だったかな、また出さなきゃ)ワイルド7の時期が巧く成ってて最高な気がします。
     あと、ポーズ、お尻からはズレますが、露骨な性表現に思える大砲(だったか戦車砲だったか)の場面が何の作品か判らなくなった。
    そんなんもタネに成りそうですね。
     お邪魔しました。
  • eddy-s :
    西園寺ちーむさん、感想有難うございます。

    80~90年代頃の望月先生の描画が一番安定してアイデアも豊富で円熟期を迎えていたように思います。

    >あと、ポーズ、お尻からはズレますが、露骨な性表現に思える大砲(だったか戦車砲だったか)の場面が何の作品か判らなくなった。

    これはたぶん「Jドール」#2「アフリカの星」のワンシーンの事ですかね?似たような描写は他の作品にもあったような気がします。いずれそういうのを特集するのも検討してみます。
    情報提供有り難うございました。
  • 西園寺ちーむ :
    >続(だったかな、また出さなきゃ)ワイルド7
     続は(野獣伝説の)続・新だった。間違えてた、大陸に続くキャラとして大悟を登場させたワイルド7Returnsでした。あの二作目が最後の作品になってしまいました。また今読んでいます(集中出来ない心理状態で亀な読み方だけど)、電車事故シーン辺りです。

    >Jドール
     ぴったしカンカン!あぁそうでした。ありがとうございます。
    あの中古本、状態が悪くて…

     カエルが燃えるとき
    も別名(西園寺って他の作品にも在ったかな?)で2013年コメントしてたけど、母ちゃんが死んで一年過ぎ(思い出して困る)になる頃偶々読んだのと、その寄稿を読んだのが近くて不思議です。

     追伸
    しつこいですがロス・アンジェルス黄金の目…
    猫の恩返しじゃないけど、猫が人間に変身する作品が頭に浮かびます(所有してるからだけど)。
     お邪魔しました。
  • 西園寺ちーむ :
    >描画が一番安定してアイデアも豊富で円熟
     しつこくて失礼します。
    電車事故から読み進みましたが、この事故にしても地方電鉄会社を買収しその鉄道を利用して風力電力事業のビジネスで儲けようとするだけ、の為に計画された事故だったなんて…
    更には病人を作り医療ビジネスに利用、しようとし新開発の薬物を市民が利用する水道水に混入させようとする表向きは善良を装う悪徳会長の高悪徳機動会社…
    まさに現代社会に現実に起こっているようなとても漫画ではない物語です。
     そして作者、望月さんはその地京都の特徴を調べ尽くした上でのストーリー作り、更にはキャラの特技の振りをしておいた上での悪徳キャラへその特技を生かした攻撃で退治…素晴らしい。そしてギャグに人情に色…が欠かせない。
     他の物語もそうですが、読む度に円熟を感じさせられてしまいます。書き込まずにいられませんでした。

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