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望月マニ也

第108回

飛葉の愛銃は本当にウッズマンだったのか?

執筆者:   2023 年 8 月 6 日

「そりゃウッズマンに決まってるでしょ!?」
そう感じた方もまずはご覧あれ。
仲代さんのレポート、今回は変化球です。

表題を読んで、「なな何!今更なにいっちゃってるの?・・・飛葉はウッズマンでしょうが!」
と思った貴方、正しいワイルドファンです。

ふと、外見的特徴から「若しかしたらウッズマンのバリェーションではなかったのか???」一抹の不安を抱え本家コルトのウッズマンシリーズと照し合せて検証します。

果して、我らの思いは本物か!妄想だったのでは・・・


実銃のウッズマンは3つのシリーズに大別されます。
ファーストシリーズ(1915-1947年)はウッズマンと命名前のプレウッズマンの流れを汲んでおり、飛葉のウッズマンとは直接的な因果関係はありませんが、偶然の一致を発見したので後述します。

1st.シリーズも他のシリーズ同様スポーツ、ターゲットそれとマッチターゲットが存在します。
その後のシリーズとの視覚的な一番の違いは決定的に短いグリップです。
スライドストップは未だ装備されておらず、マガジンキャッチはボトム(下部)にあります。
さて、メインイベントとも言うべきセカンドシリーズ(1947-1955年)です。
このシリーズからバレル長がスポーツは4.5インチの侭ですが、ターゲットとマッチターゲットはは6.5インチから6インチとなりました。

先生が参考にされたと仰る一枚の小さな写真のウッズマンはこの2nd.シリーズと思われますし、MGCが発売したウッズマンスポーツもこのシリーズです。

グリップフレームが延長されて、見慣れたウッズマンの形態になったのもこの2nd.シリーズです。

飛葉のウッズマンはマガジンキャッチはボトム、リアサイトはフィクストサイト又はパイソンタイプです。
フィクストリアサイトでボトムのマガジンキャッチを持つのはチャレンジャーです。
このシリーズのウッズマンスポーツにフィクストサイトは存在しますが、
マガジンキャッチはトリガーガード付根にあるMGCと同じタイプです。
因みにチャレンジャーのキャッチはこんな形状です。
少々原作とはイメージが異なります。


パイソンタイプリアサイトのウッズマンも確認出来ましたが、やはりマガジンキャッチはボトムにはありません。
そうなるとパイソンサイトでボトムキャッチの飛葉ウッズマンは存在しないのか!
イエイエ、少し落ち着いてサードシリーズ(1955-1977年)を見ていきましょう。
おぉ!フィクストサイトでボトムマガジンキャッチが存在するではないか!
あっ否!ハンツマンかぁ・・・

ハンツマンはチャレンジャーの後継器なので初期はチェレンジャーのマガジンキャッチを世襲していましたが、1959年にターゲッツマンが発売になるとそのタイプに変更されました。
これがターゲッツマンのマガジンキャッチです。
惜しい形状です。


そこで、話はファーストシリーズに戻ります。なんと!その1st.シリーズのマガジンキャッチの形状が飛葉ウッズマンのタイプと酷似しているです。

当時、初期のウッズマンのマガジンキャッチの形状を知るガンマニアなど殆ど居なかったでしょうから、想像と現実が奇跡的に一致したのだと思います。
これが忠実に再現した望月スタイルで、1st.シリーズのマガジンキャッチとホボ同じです。


という事で、パイソンサイトでボトムマガジンキャッチの飛葉スタイルウッズマンは目出度く
3rd.シリーズに存在しました。
ガンマニアの方からは「な~んだ、やっぱり飛葉のウッズマンはサードシリーズだったって事でしょ。」
と言われてしまいそうですが、コルト ウッズマン一族の家系図を明確に出来た事は私にとっては一定の成果を得たと思っています。

*尚、画像は全て旭工房製作のカスタムモデルガンです。

<ウッズマン ミニミニ年表>
1915年、ウッズマンの前身コルト オートマティック ピストル ターゲットモデルが販売開始。
1927年、ウッズマンと改名。それ以前のモデルはプレウッズマンと呼ばれ区別されています。
1943年から1947年までは民間向けの生産が中断しましたが、1947年セカンドシリーズとして
再開されました。
その後、1977年までに約65万丁が販売されたと言われています。

<ウッズマンバリエーション>
チャレンジャー:1950年5月生産開始、1955年終了後ハンツマンに継承。
ハンツマン:1955年生産開始、1977年終了。
ターゲッツマン:1959年生産開始、1977年終了。


旭工房 仲代光希



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望月先生のコメント
ウッズマンのバリエーションですか!?
……飛葉の3rd.シリーズ。
多くの人にとって特に思い入れのある銃ではありますが正直、最初に原稿を読ませてもらった時の感想は「細かッ!ソコ責めます?」でした。

とはいえ、トリビアやウンチクといわれる普段あまり馴染みのない知識が自然と集まってくるのも、広く読者に愛され続けている『ワイルド7』という作品ならではの楽しみ方なのかもしれません。
これまでにも「月刊望月三起也」の投稿や書き込みでは、カーマニアや飲食業、建築関係、漫画家など……さまざまな専門家の目を通して数々の「へぇ、そーだったんだ」という魅力が語られてきました。
さらに作中においても「ソレ、何の役に立つの?」と思うような一見ムダな知識が披露されるコトもチラホラと。
でもそれが時には、ピンチを乗り切るヒントになっていたり、「あのときの謎」を解くカギだったりするコトもあるのが望月流。全く油断できません。
気付くと、みなさんもいつしかそんな知識を貪欲に求めるようになっていたのではないでしょうか?
ニッチなネタほど、ついどこかで使いたくなっちゃいますね。大歓迎です!!

徹底した調査を行い、自作のカスタムガンを交えながら最大限分かりやすく解説してくれているのが実に仲代さんらしい素敵なレポートでした。
(事務局/yazy)

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