月刊望月三起也タイトル画像
望月マニ也

第15回

「ワイルド7」の虜(イラスト編) by eddy-s

執筆者:   2009 年 4 月 1 日

一人の漫画家に嵌まるとこうなる‥‥‥ ファン心理の王道的な軌跡を形成していったeddy-sさんですが、今回はその似顔絵編をお話しして頂きました。

初めまして、eddy-sといいます。
14歳で「ワイルド7」の虜になり現在に至っています。
今回、14歳~20歳頃に描いたイラストや集めた資料をご紹介したいと思います。

私が「ワイルド7」と初めて出会ったのは、中学一年生の時で近所の書店でのコミック売り場でした。特に何を買うつもりでもなくブラブラとしていると、黄色の背に赤い文字で「ワイルド7」という文字が目に留まりました。
それまでも名前は少年キング誌上でちょくちょく見かけていましたので「ワイルド7」という名前は知ってはいましたが、連載途中から見る(読む)と前後の話の内容がわからず、まだ中学生の私には面白さがよくわかりませんでした。その時見つけた単行本のタイトルは少年画報社版のワイルド7第14巻「緑の墓 前編」でした。パラパラとページをめくっていくとドイツの三号戦車や突撃砲戦車が描かれていました。当時丁度、田宮模型の1/35ミリタリーミニチュアシリーズに嵌まっていた私は、思わず最初からきちんと読み直し始め、気が付いたら最終ページまで一気に読み終えていました。立ち読みです。約30分ぐらいそこに立っていたでしょうか?(たぶん書店のオヤジは立ち読みしてやがると煙たがっていたことでしょう。)

「ワイルド7」は当時ミリタリーマニアだった私にぴったりとマッチした漫画でした。作品全体の印象は、まるでアクション映画を漫画で体験したという表現がピッタリの内容でした。こんな面白い漫画がこれまであったのかと、ハンマーで頭を叩かれたようなショックで、それまで好んで読んでいたものは短編ギャグ漫画ばかりでしたので、初体験の緻密なストーリー長編に夢中になってしまいました。まさにそれは、望月先生が「新宝島」を初めて読まれてショックを受けられたと「カエルが燃える時」に描かれたのと同じような体験でした。この続きはどうなるのだろう?早く続きが読みたい!という衝動が体に走り、すぐに欲しいと、いてもたってもいられない状態でした。なんとか気分を落ち着かせ冷静に巻末の発売日を見ると既に発行日から日時が経過しており、多分15巻は既に発売されていると推理し、他の書店を探索、最終的に隣町(電車で30分ほどの距離)の大型書店で15巻を無事発見しました。苦労したこともあって、その時の喜びは今も忘れられません。即購入だったのは言うまでもなく、その後は書店に行くたびに「ワイルド7」の単行本の新刊が出ていないかをチェックするようになったのです。
そうそう第17巻「首にロープ 前編」の購入時ですが、帰宅後さっそく読み始めてしばらくすると、後半ページで一枚だけ裁断機の断裁ミスと思われるページがあり、斜めにページがちぎれていて絵が無い!?ショックと混乱で呆然としましたが、巻末の奥付ページに、「落丁・乱丁の場合は小社にてお取りかえいたします」の文字が目に入り、購入書店にて事情を説明し、すぐに同じものと取り替えてもらえました(ホッ)。あの時は子供心にどうしようとパニックになったことを覚えています。その後も懲りずに全巻収集を目指したのは言うまでもありません。

では、古い物ですが私が描いたイラストの紹介です。

illustration-001

まず最初は、飛葉ちゃんがバイクに乗ってウッズマンを構えている絵。(illustration-001)1975年1月1日に描いたものです。14歳の正月でした。書初めならぬ絵初めです。(笑)当時は第13話「地獄の神話」の頃で、元絵は少年キングの表紙絵で、飛葉ちゃんと五本指のライフルマンとの植物園での対決の巻頭カラーの号です。




illustration-002       illustration-003

上半身の飛葉ちゃんの絵(illustration-002)は「緑の墓」から、M31ライアットショットガンを構えているのは(illustration-003)「谷間のユリは鐘に鳴る」からで、どちらも悪党を退治し終わった瞬間のストップショットですね。こういうカッコ良さに当時しびれていたのだと今さらながら自己分析してしまいました。



illustration-004

illustration-004は、単行本を買い始めてしばらくし、望月先生にあやかってGペンを購入、どんな描き心地なのかを感じたくてGペンで描いた記憶があります。
上は第8話「黄金の新幹線」で大臣を乗せた新幹線を見送った時の顔。何気なく遠くを見つめる、なんとなく悲しげにも見える顔が印象的だったので描きました。
真ん中は第10話「首にロープ」でシシ座グループの一人花井 司を品川駅(?)のホームで処刑した時の顔ですね。悪を憎むクールな表情がゴーグル越しに伝わってきました。下は第9話「緑の墓」。囚人護送中、襲撃を受けた八百たちの援護射撃を1000メートル先からする為に、カメラの望遠レンズを三脚に取り付けて1発で見事目標を射止めるという、オリンピック選手顔負けのウルトラCをやってのけたシーン。あまりのカッコよさにしびれました。



illustration-005

illustration-005第13話「地獄の神話」は色々な意味で、衝撃的な章でした。特に現代に於けるB-17とゼロ戦の空中戦は圧巻でした。それまでB-29はよく知っていましたが、B-17という爆撃機を全然知らず、片っ端から関連本を読み更けました。FからGまで種類があり機銃の形態も製作時期で微妙に違っており、私は「地獄の神話」に登場した型が一番好きで、特にお尻の丸い機銃装置がお気に入り。B-17は現在でもアメリカでは山林火災消火用に現役で活躍しているそうなので、実写版の映画製作に困りそうにない。で、ここはぜひ映像化してもらいたいところです。


神話三兄弟の一人、「神話次郎」と「シカゴの五本指」ライフルマンと怪物装甲車「モンスター」の絵は、これまたモンスターがお気に入りでしょっちゅう描いていました。前方からの絵でなく後方からのアングルが私にとって描きやすかったのと、時折発射されるモリに恐怖感を感じていました。

当時、同級生に横浜からの転校生がいて、あの空中戦の舞台となった地上の団地は、「洋光台団地」みたいで自分はそこから引っ越して来たのだ。とか、登場する水族館は油壺マリンパークだと思う。など、リアルな解説をしてもらえて作品をとても身近に感じていました。
   

illustration-006

飛葉ちゃんが暗闇で見下ろすイラストillustration-006は、同じく「地獄の神話」からのシーンで、モーターショー会場のビルから隣のビルにバイクで倒壊させた鉄塔を伝わり、ライフルマンを追い詰めた時のカッコ良さにしびれて描きました。
モデルガンの収集を始めたのもその頃で、当時広島にMGC広島店があり、電車で片道2時間もかけて買いに行ったものです。その頃購入したモデルは、ワルサーP38、M-16(ベトナム戦仕様)、コルト・ガバメントM1911、ルガーP08、ウィンチェスターM-97ショットガン、S&W M36チーフスペシャル、モーゼルC96、etc‥‥‥
まだ、主人公飛葉愛用「コルト・ウッズマン」のモデルガンは発売されていなく、「発売されればいいのになぁ」と思っていました。後年めでたくMGCなどから発売されたのは周知の通りです。




どうも当時は飛葉が悪党を追い詰めたり、処刑した瞬間のクールな表情が好きだったようで、そういうシーンばっかり描いていたんですね。
まァ、そればかりではなく以下こんな感じのものも、思いつくまま描いていました。
説明は不要でしょう。


私にとって望月先生の作品似顔絵を描くことは、大いなるストレス発散と楽しい時間だったのです。




望月先生のコメント
【望月三起也先生より】

小ネタを喜んでもらうと、うれしいですねえ。
カメラマンの望遠レンズにGUNの組合せで狙撃銃にするなんてのも、そのひとつですが、思いつくと本人ニヤリとしてるんです、実は。作品中0戦とB-17の闘うシーンがあり、これまたウケてくれたとか。B-17は好きな機のひとつ、私の中のベスト10に入るね。
ロンドンで航空ショーに登場してた本物の内部を特別に取材出来た時は、もうクリスマスプレゼントのようにうれしかったね。
私の作品が好きで、イラスト描いて喜んでるというのは、本当にうれしいし、そういう気にさせるような、いい絵を描かなくちゃと改めて思います。
私、手塚先生の新宝島を見てマンガ家を志しましたが、実は生意気なようですが、手塚調という絵は描いた記憶がないのですよ。
むしろ絵は、当時、絵物語の山川総司先生のマネをして描いてました。当時から、リアルにこだわっていたんですねえ。
もちろんコマ割とかストーリー、キャラクターは手塚先生の大ファン。見るファンで、マネる方のファンではなかったようです。
それにしても、うまいイラストです。
私、若い頃、絵がヘタで、雑誌の似顔絵とかイラストのコンテスト、受かったことがありませんから。感心しますよ、ホント。

 

  固定リンク   |   トラックバック(2)


コメント/トラックバック

  • eddy-s :
    望月先生コメントありがとうございました。
    まさかこの歳になって、私のイラストに対して先生から直々にコメントをいただける日がこようとは夢にも思いませんでした。
    今日まで生きててよかったぁ~。
    先生のお褒めの言葉をバネにこれからの人生を生きたいです。

    私を含めた当時の中高校生のファンは、間違いなく先生の漫画で男らしさと勇気と元気と自信を貰っていました。
    さすがに最近は日々仕事上のストレスとの戦いで疲れていて元気がなかったのですが、このHPでまた元気を貰えて毎日の活力を見出せます。
    先生も新作を発表されるとのことなので、今から楽しみにしています。私も時間を作って久しぶりにイラスト描いてみたいと思います。

    P.S.当時「少年キング」に「ワイルド7」の似顔絵の投稿は何度かしたのですが、端にも棒にも引っかからず一度も掲載されたことはありませんでした。それだけに今回の先生からのお褒めのお言葉は何よりのも代え難い一番のご褒美でした。本当にありがとうございました。また投稿したいと思います。
  • 柴崎 正光 :
    もう 知りませんでした。
     新しいワイルドが 飛葉大陸がいるなんて
     未だに小学生に見たワイルド7の鮮烈なイメージを 忘れてはいません。
     その思いをこめて中型バイクの免許を取り バイクの魅力に取り付かれています。
     谷間にゆりが咲くに見せた 男の優しさが俺の全てです。
     まさに 男は強くなければ生きていけない    
             優しくなければ 生きる資格がない

      この言葉の象徴なのです。
     ワイルドよ  飛葉大陸よ 永遠なれ!

     

     ps、 長崎にサッカーにいらっしゃったときに ぜひお会いしたかったです。

            

コメント


トラックバックURL


表紙 » 望月マニ也