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望月マニ也

第35回

オフ会報告 ~ワイルド7の舞台を訪ねて~

執筆者:   2011 年 2 月 5 日

お馴染みのマニ也たちが集合して、なにやら楽しい企画で盛り上がってるようです。さて、どんな面白いことをしてるのか、ある日のオフ会の出来事をうかがってみましょうか?

昨年の9月下旬、望月三起也ファン数人が集まり、ワイルド7の舞台となった場所を訪ねて廻りました。

事の始めは、これより遡ること1ヶ月、山下公園、赤レンガ倉庫、横浜中華街と、やはり、ワイルドの舞台となった場所を散策したのです。
参加者は「月刊望月三起也」ではお馴染み、私、eddy-sと、ぐりゅーん・へるつさん、 RYUさん、 MICKIさんの4名。投稿やイベントでの出会いが縁で、お互いメールなどを交わすようになり、この日、オフ会の開催となったのでした。

山下公園は、「コンクリート・ゲリラ」でオヤブンが大活躍した場所。係留された「氷川丸」は物語のラストで重要な役割を果たします。強奪されたはずの米軍のミサイル、実はゲリラの手で「氷川丸」の船底に隠されていたという事実、これを草波さんが逆手にとっての大どんでん返し。

左の写真は、昔、私が撮影した「氷川丸」。右が現在の氷川丸です。「コンクリートゲリラ」の頃は緑色の船体だったことが判ります。
この日は中華街で、深夜11時近くまで「ワイルド7」談義、尽きぬ話題に、たちまち第二弾の計画が持ち上がりました。

そこで、「望月マニ也」でお馴染みのsillazmanさんに声を掛けたところ、なんと新作の「W7」の背景に使われた場所を特定できるとのお返事、ガイド役をお任せして、望月ファンにとっては、聖地とも云うべき、横浜のとある商店街をメインに、作中に登場したシーンを散策してみることとなりました。

さて、待ち合わせの駅へ集合すると、外へ出ずにそのままホームの端へと案内するsillazmanさん。おもむろに取り出されたコマのアップと比べてみると、「運命の七星」、肉鉄王国から脱出を図るユキが、ド派手なカーチェイスのはてに、電車に突っ込み、重傷を負いながらもなお、線路伝いにヨロヨロと行くシーン!
いやァ、初っ端からやってくれます。「運命の七星」は、急な用事でこの日、欠席されたRYUさんお気に入りのエピソード。今頃、悔しがっておられるはずです。

作品が掲載された頃とは、風景が多少変わっているものの、線路のうねり具合は、明らかに作中で描かれた場所。思わずシャッターを切りまくりました。(笑)

それから、次々と街のあちこちで望月作品に登場した風景を見つけることが出来ました。
なにしろ、駅を降りれば、降りたで・・・。 「W7」第4回、飛葉ちゃんが駅構内で爆弾犯を退治した舞台そのもの。作中の駅名は「六反田駅」。

この日の為にと、sillazmanさんが、わざわざアップで出力したコマを頼りに、一同、期待に胸を躍らせて、線路沿いを行けば…。

同じく「W7」第4回、「人命を救いに駆けつける我々を阻む法はない!!」久々に聞く飛葉ちゃん節は、線路のうえを「六反田駅」へと急ぐシーンです。標識から地面に書かれている文字まで、右の写真と全く同じ場所であることが、お判りになると思います。

道中、普段はなかなかできないファンならではの濃ゆいワイルドの話。余計な説明のいらないディープな仲間たちとの散策が、作中の風景を実際に体験しながらとくれば、これはなかなか至福のときなのです。

残念ながら、某商店街には「ダーティー・ハリー」と共に一部のファンの間で、伝説と化した映画館「紅座」は既になく、sillazmanさんが、用意した古い商店街の地図を開いては、パチンコの音に負けずに、連載当時の町並みに思いを馳せるのでした。「紅座」のあったところ、現在はパチンコ屋さんなんです。
まぁ、行き交う人々がなんと思ったかは、別として、聞くところによると、商店街の両端に映画館が対になっていて、「紅座」では邦画、反対側の「白鳥座」では洋画が掛かっていたとのこと、こちらの映画館も既にありませんが、地元の古い方は「紅白の映画館」と親しみを込めて、呼んでいたそうです。とすると「ダーティー・ハリー」が「紅座」で掛かったことはなかったのかもしれません。

そして、紅白といえば、ぐりゅーん・へるつさん。商店街のシンボルマークがチェッカー風なのを見つけて、いたく感激した様子。真偽の程は、定かではありませんが、というより、眉唾ものですが、デザインのベースは「ワイルド7」に違いないと力説しています。もっとも、並びの中古レコード屋さんで、望月先生ゆかりの音源はないかと探していると、ここのお店って、「ガラスの城」でアグネス・ジンのレコードが飛ぶように売れていたお店と「屋号」が一緒だよねと、チェックのしどころ、目の付け所が、流石にマニ也です。

初めて歩いた商店街でしたが、色濃く残った昭和の風情は心地よく、望月先生が地元・横浜を愛してやまない理由が少しわかったような気がしました。
それと、この商店街、オフ会の定番、居酒屋にカラオケと、安くお酒の飲めるところに事欠きません。この日も、4人で落ち着けば、新作フィギュアを目の前に、「通勤電車で、多摩川を渡るたびに、飛葉ちゃんとボートに乗ってデート出来たらなァって思うの」とMICKIさん、とたんに、その前のイコとタンデムのコマは川崎側か、大田区側かと男性陣は喧々諤々。MICKIさん、ゆっくり想いにふけっている暇もなく、川崎側に1票とのこと、やっぱり話題はワイルドでした。

さて、今回の現場検証、幸い「W7」は最新作ですから、現在の風景がそのまま舞台になっていて、ここを飛葉ちゃんが、車で通ったのかと妄想するには十分なものでした。そして、最後には、私自身も、作中にある風景を発見したのです!

それは、「緑の墓」のオープニング、ワイルドのメンバーが飛葉ちゃんの下宿へ急ぐ坂道でした!!

この時は、まさしく、作品に登場していた場所だ!今、そこに立っているんだ!と、あまりの感動で思わず叫びそうになりました。この日の収穫は以上でしたが、こうして原稿を書きながら思い出すと、なんだか、まだまだありそうな気がしてきました。是非、機会を見つけて、また探しに行きたいです。

そして、これからも第三回、四回と趣向を変えていきながら、ファンだからこそ楽しめるオリジナルの企画を、実施していこうと思っています。

それでは、最後に参加メンバーから一言。
MICKIさん
飛葉ちゃんの下宿に続く道、もう一回行ってみたいです!何をするのかというと「この辺に飛葉ちゃん住んでたのかああ!!」と浸るわけです。(それだけなんですが)。赤レンガ倉庫には新ワイルドのアジトがあったので、「どの辺にあったのだ!」って、ワクワクしました。聖地巡りには、そんな楽しさがありますネ。ネタは尽きないので、飛葉ちゃんが甘納豆を買ってた「とらや」も探してみたくなりました^^

ぐりゅーん・へるつさん
望月ファンどうしの語り合いはとても楽しいですが、作品に登場した場所を散策しながらだとなおさらです。望月作品は背景をとてもリアルに描いているので、こうした「探訪オフ」という楽しみ方もできるわけで、望月先生とカエルぷろの皆さんに感謝しています。「探訪オフ」、今後も続けていきたいですね。
私としては、作品との直接的な関係性はアヤシイですが、ネタとしては面白い「アーケードの赤白チェッカー模様」と、「多摩川・丸子橋のボート乗り場跡」が面白かったですね。

sillazmanさん
「W7」本来の舞台はナガサキなんですよね。「仲木戸駅」みたいにストーリーどおりに語れる場所では無いだけに、今回、こうしてオフ会報告の形でお伝えできたこと、同時に皆さんとご一緒に現地を散策できたこと、本当に嬉しかったです。なにしろ、ここはそうだ!!って、気が付いても、普段は一人でほくそ笑むばかりで、その感激を分ち合えるお仲間が、周りにはただ一人としていないのですから。





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是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
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望月先生のコメント
【望月三起也先生より】
いやなんとも、九州を舞台に据えた話なんです、『W7』は。
もちろん漫画は映画と違って、特定の場所でリアリティ出すものじゃなく、自分の世界の中へ取り込む一つの場であって架空の世界。
でもリアリティのためには全くの想像でものを描くより、一部をはめ込むことで成功するわけ。
ってことは、外国で撮ったものでも、日本の都会の中に一部として使ってます。が、それを特定する楽しみってファンが存在するのも驚き。
これまでも近くの私鉄駅を少し作り変えて使ったりしてます。
それもまた当てられちゃったり・・・・
今回も鋭い眼でやられたね、油断も隙もない、「六反田駅」は九州の架空の場所なんですがね。
ですから正面の一部は現実、中の構造、背後はまったくの創設、芝居の書き割り(※)みたいなもんです。
私の中ではバックも重要な小道具、いや大道具なんですね。

でも、この手の趣味、わかります。
私も映画好き一人、ロケ場所が判明すると「俺、ここ知ってるぜ」と秘かに喜んだりしてるし。

『トランスフォーマー』って映画では登場するクルマ、シボレー・カマロが若いころ乗ってたのと同じ型、それを見て嬉しくなるって、別に得したわけでもないのに変ですね。

これからも気になる場所、使えそうな場所は背景に取り込むつもり。
特定する楽しみは続きますよ。




※書き割り
舞台において、大きな板に風景や建物が描かれた(張り物)背景セットのことを、「書き割り」という。
板や布に描かれているため、いくつかに割ることが可能なことから「書き・割り」という名前が付いたと言われている。

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