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望月マニ也

第60回

或る蒐集家の秘蔵記録より

執筆者:   2013 年 3 月 7 日

こんな風に扉絵をズラッと並べて眺めるのも華やかで嬉しくなります。コレクターのizizさんらしく資料としても貴重な珍しい作品をいろいろ揃えました。ジ~ックリ楽しんでいってください。

いつも記事の資料提供などで協力してもらっているのが、コミック雑誌収集のエキスパート、izizさん。

集めた作品は数知れず、その中でも特に望月作品には強いこだわりがあり、珍しいものを見つけた時などは熱が入り過ぎることも…
コレクションは、丁寧に作品や扉絵、表紙、グラビアごとにクリアファイルの中に整理されていて、その数も今では10冊を超えるほどの量になってます。

(izizさんコメント)
初めましてizizと申します、たまに資料提供のトコに名前が上げられたりしてましたが、ほぼなにもしていないユーレイスタッフなので「ええ加減にせい!」とのお叱りを受けしゃしゃり出てきました。

雑誌コレクターは幾人か知っていますが、その中でも邪道の切り抜き派に成ったのは……
80年代後半まだ学生の頃、すごく好きなマンガがありまして、連載されていた雑誌の表紙にほれぼれとするようなイラストが載ったのが運のつき「コレは捨てられん、コイツは取っておこう」……六畳一間のボロアパートでは、半年もしない内に限界を迎えたのですね。
うーん、どうしたものか?と考えた末たどり着いた方法です。

まー、最初は「買った雑誌の表紙が良かったら切り抜いて取っておく」だったのが「表紙が気に入ったから古本探してでも買う」になったのは生来のコレクター気質なんでしょうね。

気長にゆるゆると集めている分には苦労は有りませんが、本気で珍しい本を見つけた時は「一期一会」という言葉が強迫観念のように迫ってくる事が有りますね、学生時代に「明日、バイト代入ったら買おう」と考えたら、次にその本に出会えたのは20年後!何てことも有りましたから。

収集のコツ?
古本屋が有ったら必ず入れ!(欲しい本が無くとも、大体の相場を感じられるようになります)
ヤフオクのチェックは欠かさずに(ただし予算は設定しておくこと)
意外なトコではリサイクルショップも極力チェック(極々稀にですが、只同然で掘り出し物を見付けるかもしれません)
まー、「古本の鬼」と呼ばれるヒト達から見ればまだまだなんですがね、ワタクシ流ということで。

今回はそんなizizさんのコレクションアイテムの中からとびっきりのものを選んで、それぞれの扉絵とあわせてご紹介・・・

【未収録短編】

読み切りで雑誌に掲載された作品などの中には、まだまだ単行本に未収録なものが多くあり、熱心なファンでもなかなか目にすることができないような珍しいものも沢山あります。
「黄金のLAMER」
72年、ヤングコミックに前後編で掲載された作品。
主人公クロスは、香港で国際警察機構に所属するスゴ腕の刑事だが、その正体は金のためには殺しも辞さない冷酷な男。
このキャラクターは、その美しさで女性を虜にしたり、非情な性格で怒ると額には十字架の傷浮き上がるといった、のちに「新ワイルド7」のメンバーとして活躍するクロスの前身となっている。
豪華客船に見せかけた密輸船に乗り込み、船内に隠されている金塊の行方を追うクライムサスペンス。
シリーズ続編として「赤毛のクイン・メリー」がある。



それぞれ、69、69、70、89年にビッグコミックに掲載。
「どぶ」は、野心に満ちた男が、貧しいどぶのような生活からはい上がるために、次々と恐ろしい計画を実行しながら着実にのしあがっていく物語と、その末路。
「黄金のバラード」個性豊かな3人の女子高生が、学園の男どもを利用した奇想天外な方法で銀行からの金塊強奪を企てる。
「EXPOスパイ」万博でにぎわう会場の、来場客たちが全く気付かないところで密かに行われていた、とある博士の亡命をめぐる各国入り乱れての争奪戦。
「鏡の国のアリス」美人の妻は実は伝説のスパイだった?深夜に八百屋の軒先で一流のプロたちによって繰り広げられる一大攻防戦。
と、どれも実に多彩なストーリー展開と、読むものをうならせるパワーがある傑作ばかりです。

「ボーラー・ロール」
超能力が蔓延する未来の地球で開催されている怪しい殺人競技にニッポンの選抜チームが挑む。
「悪魔の日曜日」
78年の作品。
八百、両国、オヤブンに署長といったお馴染みの顔をしたキャラクターたちが魔術を使う化け猫のような侵略者に狙われる。
それぞれ増刊ビッグコミックに掲載されたSF色の強い作品。



【シリーズ・連載作品】

以前、作品紹介のコーナーでも取り上げられたFMレコパルのライヴ・コミックなども、なかなかお目にかかれない、探すのに苦労するシリーズです。

左上から
「サンダーオブミュージック」(トスカニーニ)74年
「枯葉」(ジャック・ティボー)75年
「第一楽章 大脱走」(ジョルジュ・シラフ)75年
「ヨオッ、だいとうりょう!!」(カザルス)75年
「ヘビー・メタルの騎士」(レインボー)82年
「ミスターロボット~キルロイ・ワズ・ヒア(スティクス)83年

「ポテとサラダ」は77年にリイド社の「コミック野郎」に連載された作品。
主人公(直木章)は、まるで望月先生がそのまま登場したようなサッカー狂で女子サッカーチームの監督。
毎回およそサッカーとは程遠いハチャメチャな試合が繰り広げられる痛快コメディ。
雑誌自体がわずか5回で休刊になったため短命となった非常に残念な作品ではありますが、その全5話をコンプリートしてます。




こちらも過去に作品紹介で取り上げられたことのある「へい、お町!!」で、ビッグコミックに連載されたコメディシリーズで唯一、単行本化がされてない作品です。
舞台になってる蕎麦屋にちなんで、毎回のサブタイトルには麺を絡めたものが多いのも、この作品ならではの趣向。




【表紙イラスト、扉絵】

コレクションには、ワイルド7をはじめとした望月作品が表紙で使われたものもあります。
カラーで描かれたイラストの豪華さであったり、他の連載作品との共演のようなさまざまな企画など、本編とはまた違った楽しみがあり、ファンにとって大切な宝物です。
これも非常にたくさんある中から泣く泣く絞ったチョイスです。
どれも素晴らしいものばかりなので、本当は全部お見せしたいくらい。




【その他】

意外なところでも望月作品を見つけることができます。
67年にヤマハが発刊したオートバイ向けの漫画冊子には、白バイ警官が鎧をまとった騎士と対決するという、ファンなら思わずワイルド7の「バイク騎士事件」を連想してしまう驚愕の「白バイ騎士道!」という作品が掲載されてます。
ディテールなどいろいろな面で、ワイルドのパイロット版になったのかもしれませんね。



(izizさんコメント)
マイペースで収集を始めようとされている方々へ。

上記の「ポテとサラダ」を例にとると
・設定金額、一冊500円以下(送料含まず)
ま、70年代後半のA5版、リイド社発行という事を考えれば妥当かと。
それで全5話集めるに、約2年かかりました(当然ですが、他にも平行して色々収集中)

雑誌収集は「手に入ったらラッキー!」くらいに考えて行わないと、お金がいくらあっても足りません(主にヤフオクを念頭)興味を持たれた方は、それぞれのペースで頑張って下さい。





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月刊望月三起也ではみなさんからの投稿をお待ちしています。
「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由、採用者は「月刊望月三起也」で掲載。
また掲載された方には、望月先生書き下ろし特製ポストカードをプレゼント!


是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
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望月先生のコメント

まァ、なんと、扉絵に凝ってるもんですねぇ。 当時はまったく意識なく描いていましたけれど、今見ると2重3重に重ねて奥行きを出すとか、FMレコパル(小学館)での音楽家シリーズではタイトル文字のデザインにまでその都度「凝り」を入れ、『へい、お町!!』(ビッグコミック 小学館)シリーズでは、各回のサブタイトルに「麺」を使い、凝り、ついにはメインタイトルよりサブの方が大きくなってたなんて、本末転倒なことになって、遊んでいたんですねぇ。
そんなことに時間を使うって、改めて私ってものは“職業”ではなく、趣味で描き続けているんだって、他人事のように感心しています。
そういうもの見せてもらって、誠にありがたいですぞ、izizさん。

ダジャレと同時に、この頃のビッグコミックとヤングコミック(少年画報社)の扉絵、色っぽい女の子登場!ってことだったンですねぇ。 苦手だと思い込んでいた女の子、実は私、描けるんだって気がついて、炎のように燃え盛って描き巻くってたんですねぇ。
それにしてもまァ、よく集めたもの、すごい!!のひと言ですよ。

実は私も高校生くらいまでは“集め”に夢中になってたのですよ。
対象は手塚治虫先生のもの。
その頃、書店の店頭には中々並ぶことはなかったのですが、ではどこで見るか? 貸本屋で見るのです。貸本屋なんていう、そういう文化があったのですよ。
貸本屋ですから店主に「買いたい」と申し出ても、素直に売っちゃァくれません。何百人にも貸して利益を上げて、その上、売ってくれるってときは、定価の2倍くらいの値を吹っかけてくるンですから、「おとなって恐ろしい」と当時、思ったもんです。
本も長年、人の手に触れられ続けているものですから、もうカドなんて丸くなってる。古本じゃなくてボロ本ですね。

それでも手に入れた日は踊り上がるほどの嬉しさ。多分izizさんと同じ思いかと思います。が、izizさんとの違いはその少なさでしょう。
当時、発行部数はかなり少なかったんだと思います。横浜市内の貸本屋、かなり廻ったのですけど、売ってくれることも、極まれにありました。で、たった6冊。
コレクターとは呼べません。ただ単にファンが大事に取っておくっていう程度。
でも私にとってこの6冊は経典のようなもの。なんたって手塚治虫先生に憧れ、この道に入ったのですから、神様仏様手塚様。
ちなみにその6冊のタイトルは、次の通り。

月世界の少年   (東光堂)
罪と罰        (東光堂)
有尾人       (不二書房)
馬蹄島の奇跡   (鶴書房)
まぼろし世界    (鶴書房)
ジャングル大帝 2 (多分 学童社版 うしろ表4含め数ページ欠落)

ボロボロです‥‥‥




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