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作品紹介

第49回

黄金の新幹線

執筆者:   2012 年 12 月 9 日

サスペンス要素が魅力のワイルド中編作品は、同時にあのキャラクターの再登場でファンを大いに喜ばせたことでも人気のエピソードです。

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私には、トラウマの漫画シーンがあります。小学生の時、はっきり覚えていないのですが、少年漫画雑誌に掲載されていたワンシーンで、眼鏡を掛けたショートカットの女性がロープで首を絞められコンクリート詰めにされるというものでした。

その後どうなったか知りたくても雑誌でたまたま見かけただけでしたので、ずっと気になりつつも確認する方法が無く悶々とした日々を過ごしていました。

そして中学生の時に、「ワイルド7」の単行本を集めだして少年画報社ヒットコミックス第13巻「黄金の新幹線」を購入した時でした、突然飛び込んできたページを見て、びっくり!

「あっ!こ、これ、これだぁ!!」
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そう、前述のシーンは「黄金の新幹線」のワンシーンだったのです。そうか!「ワイルド7」のワンシーンだったのか!するとあれは「少年キング」だったのか!と長年のもやもやがすっきりしました。(ホッ!)

それにしても偶然とは恐ろしいもので、たまたま見たシーンが、その後嵌ってしまう「ワイルド7」のシーンだったとは、これも神様のお引き合わせでしょうか…。(苦笑)

そう言えば、もうひとつ同じような出来事がやはり「ワイルド7」でありました。第3話「誘拐のおきて」のハイジャックシーンだけを少年キングで見ていたようで、その後単行本を買って見た時今回と同じような状態でした。ずっと印象に残るような数々の名シーンを描かれてこられた望月先生の戦略勝ちですね。当時からすっかり嵌った少年がここに一人います。(笑)


前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのは「ワイルド7」第8話「黄金の新幹線」です。連載開始の1972年の3月15日から山陽新幹線が開通し、日本全体が日本列島を縦断する新幹線の魅了に引き込まれていました。(私の地元にも新幹線が走るようになり、それまで夜行列車で修学旅行に行っていたのが、新幹線での旅行に変更になったぐらいですから…。)作品に登場する形式は0系電車と言われる新幹線で、東海道新幹線・山陽新幹線で長らく使用されていました。

そんな話題をいち早く「ワイルド7」に取り入れてスリルとサスペンスとアクションをミックスさせた一編が「黄金の新幹線」なのです。

物語の冒頭は、大臣暗殺を企てる暗殺者のシーンから始まります。一見いつものような展開と思いきや、その後二転三転するところは、さすが望月先生あっぱれとしか言いようのないストーリー展開でした。













何といっても今回の目玉は、私の一番のお気に入りのキャラ「ゲリラハンターのユキ」がめでたく「ワイルド7」の「みそっかすのユキ」としてデビューを飾るところでしょうか。「コンクリートゲリラ事件」で「草波」に見初められ、女性初の「ワイルド7」の隊員になる為、日夜訓練を積み重ねてきた成果を見せるチャンスが今回のお話という訳です。

実は少年キングを当時購読されていた方はお気づきかもしれませんが、ユキの成長ぶりはそれまでの「少年キング」の表紙や「ワイルド7」の扉絵で、ちょこちょこ登場していました。

望月先生の頭の中では、ユキをどうやってデビューさせようかと思考を巡らされておられたのではないでしょうか。今回無事デビューを果たした「ユキ」は「ワイルド7」の一員として大活躍しました。今回登場のたびに衣装が変わっていて、まるでファッションショーのようでした。(実はそれが仇になるのですが…。)

今回もお約束のミリタリーウエポンが一か所登場してます。「AH-1Gヒューイ・コブラ」1967年にベル・ヘリコプター・テキストロン社が開発した世界初の本格的な攻撃ヘリコプターで、その後登場する各国の攻撃ヘリコプターに大きな影響を与えました。後継機種であるAH-64 アパッチが登場するまで、20mm機関砲やTOW対戦車ミサイル等を主武装としてベトナム戦争や湾岸戦争で活躍しました。













さらに話中にスキーシーンとボーリングシーンがチラッと出てきますが、これどちらも望月先生が当時一番
嵌っておられた趣味とスポ-ツではないでしょうか。

他の作品でもスキーシーンとボーリングシーンが何度か登場していますので、相当やられておられたので
しょうね。(私もボーリングなら多少自信があります。スコアは最高で200出したことがあります。)


そして、今回資料を調べていて気がついたのが、「黄金の新幹線」の
最終回の扉絵には「緑の墓いよいよスタート!」の文字が…。

これはどういう意味なのか最初わかりませんでした。しかし、この注釈の意味はすぐにわかりました。最終ページに、「緑の墓」のプロローグとも言うべき、「緑の墓」の冒頭にも登場する飛葉ちゃんの住まいにオヤブンが訪ねてくるシーンが掲載されているからなんですね。

どうりで、ヒットコミックスを初めて読んだ時ちょっと唐突な終わり方だなぁと感じていた謎がやっと解けました。来週の予告編のようにつなげて読者に来週も見てねという意味合いがあったようです。

ご安心下さい。ぶんか社版文庫にはそのシーンはしっかり収録されています。

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『ワイルド7(第8話)黄金の新幹線』

1973年 ヒットコミックス(少年画報社)13巻/1月15日初版発行

2008年 ぶんか社コミック文庫(ぶんか社)7巻/1月20日初版発行



(初出版と最新版以外は割愛しています。)



『eBookJapan』でも購読可能です。コチラまで。

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望月先生のコメント

「みそっかす」って言葉、今、使うンだろうか?って思います。酒かすなら甘酒に使えるけどね。
そのくらい何か懐かしいと思っている私です。

そのみそっかすという使い方、正確にはワイルド7の一員ではないよっていう使い方。つまり、いずれカッコいい死に方を設けようという作戦だったのですが、とんでもなく魅力的なキャラクターに育っちまって、作者が思うより一人歩きが始まったっていうのが本当のところ。
大体いつも言ってるように、“おんな”が描けないと思っていた私ですから、意外と描けてるなァってんでノッてしまって、アップだ、大画面だってシーンが多くなっていって結局殺せず、ラストシーンの「空からユキが・・・・・」ってところまで引っ張られた気がします。
そう、引っ張られって、不思議なんですが、描いているうちに“生きて”くるんです。だから現実味がある、型にはめたキャラクターだと動かしていて、作者として面白くないんですね。
そんな訳で、女性キャラクターってのが面白くなっちゃって、この前後もビッグコミック(小学館)で『へい、お町!』だの『Oh!刑事(デカ)パイ』だのって描いてましたね。

新幹線使ったのも、自分が旅行好きだというのもあったんですね。当然クルマもマニアックですが、この“運ばれる”感じってのも好きなんですねぇ。
それにクルマにはない、走りながら車窓の向こうの景色を味のひとつに食べる弁当、これがいいンだなァ、鉄路の魅力のひとつ。
特にサッカー好きとしては、静岡のうなぎ弁当。ヒモを引くと弁当が暖かくなる工夫が最高。
うなぎの冷えたのはいただけない、ふんわり熱いのが美味く食べられるンです。
・・・・・て、と、  『一品絶品』じゃないよね、ワイルド7ネタでした。





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