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作品紹介

第60回

二世部隊物語『大地を裂く』

執筆者:   2014 年 1 月 11 日

何を信じて戦うのか?名作揃いの二世部隊「最前線」シリーズの中から、訪れた街で生き抜く市民たちの様子が描かれた傑作をご紹介

dh02私はクリスチャンではありません。

ですから、いままで聖書をきちんと読んだことが一度もありません。

ただ聖書の教え?はこの漫画で学んだと言っても過言ではありません!
(爆)  それが、これからご紹介する『二世部隊物語【大地を裂く】』です。

汝、口答えするべからず。

汝、お酒を飲むべからず。

汝、人を殴るべからず。

汝、武器を持つべからず。…アーメン!(爆)

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d001d004d002d003そう言えば、修道女という人々の事もこの漫画で初めて知ったような気がします。

※本来修道女は、修道誓願を行い、禁欲的な修道生活を送る人々のことで、その厳しい規則にしたがう事が求められるそうです。(苦笑)

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さて最初に、今回はウンチクをいくつかご紹介。

まず兵士がブランデーを染み込ませた角砂糖をコーヒーに入れて飲む「カフェ・ロワイヤル」を実演するシーンがありますが、幼い頃よくコーヒー飲む時にオヤジがやってましたねぇ~。

周りを少し暗くしないと青い炎がよく見えず、わざわざ部屋のカーテンを引いて暗くして見入ってました。

ブランデーの香りが周りに立ち込め子供ながらに大人の雰囲気を味わってましたねぇ~。その後一口だけそのコーヒーを飲ませてもらいましたが、カフェインが効きすぎて夜眠れませんでした…。(苦笑)


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また、ラッカー塗料の特徴をうまく使ったシーンがありますが、これはプラモデルの塗装に使用している「ラッカー系塗料」からヒントを得て作品に活用されたのではないでしょうか?モデラーでもあられる望月先生ならではのアイデアでした。

プラモデルを作った事のある方ならご存知だと思いますが、塗料には「ラッカー系」「水性アクリル系」「エナメル系」と大きく3種類あります。用途は塗る物によって使い分けます。「ラッカー系」は乾燥が速く、乾燥後の塗膜も強い、そして発色も良くて筆ムラも出にくい、「水性アクリル系」は臭いもラッカー塗料に比べると少なく、筆も水洗いできて気楽に使えるのがいいです。

臭いもそこまで強くはないので、環境にもやさしい塗料です。「エナメル系」の一番の特徴は塗料のノビがよく、筆塗り塗装で筆ムラが出にくい事と、乾燥後の発色の良さでしょう。特に金属色の発色は、他の塗料では得られない独特質感があります。おっとと、だいぶ話がそれてしまいました…。

d007さて、いつものミリタリーウエポンですが、今回の目玉は、イギリス軍の「クォード・ガントラクター&25ポンド砲」ですかね。戦場での輸送方法から使い方まで、まるで説明書のような解説付きで活躍します。そうそう「クォード・ガントラクター」は「ジャパシュ」でも、「日向 光」が足がわりに使っていましたね。

他にもドイツ軍側で、「8.8cm18式高射砲(自走砲架)搭載18トンハーフトラック」、「装甲偵察車」、「エレファント重駆逐戦車」「ケッテンクラート」等が登場します。

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d012B-25アメリカ軍側は「M4A1 ハーフトラック」、「M3リー戦車」
「B-25」等が登場します。最後に今回のあらすじですが、
最前線で補給輸送機を待っていたミッキー熊本率いるヤンキー部隊は、ドイツ軍の高射砲攻撃を受け輸送機は撃墜されてしまい任務は失敗、本隊に引き返す途中でドイツ軍の追跡に会い、とある町に逃げ込む。しかしそこはドイツ軍の前線部隊がいる町だった…。

ドクが一人負傷し動けないヤンキー隊。教会に匿ってもらうが、ドイツ軍の容赦ない探索が続く中、味方の応援は望めそうもない。さらに一緒に逃げ込んだイギリス軍兵に不審な動きが…?はたして、ミッキー達はドイツ軍の攻撃をうまくかわして逃げきれる事が出来るか?


d014そうそう、作品に登場するドイツ軍の将校の顔が「大脱走」、「バルジ大作戦」、「パリは燃えているか?」「戦略大作戦」等の戦争映画でお馴染みのドイツ人俳優、カール=オットー・アルベルティ(Karl-Otto Alberty )氏に似ていると思いましたが、勘違いでしょうか?幅広の顔やボクシングの試合で骨折し歪んだ鼻という強面、そしてホワイトブロンドの髪やドイツ訛りの強い英語などいかにもドイツ人らしい特徴から、しばしば悪役たるナチス・ドイツ軍人を演じておられました。とてもよく似てると思うのですがねぇ?

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その他にも、昨年6月のイベントで初めてお会い出来た「田辺節雄」先生と、お会いするのは二度目の「土山しげる」先生が、本作にアメリカ軍の兵士役で登場されておられます。どうやら漫画の中では上下関係が逆のようですが…。

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二世部隊物語【大地を裂く】

1971年 別冊少年キング(少年画報社)2月1日号読切全62頁

1971年 キングコミックス(少年画報社)全4巻(8月1日初版発行)
最前線4巻収録

1975年 ヒットコミックス(少年画報社)全4巻(3月1日初版発行)
最前線4巻収録

1983年 スターコミックス(大都社)全4巻(8月10日初版発行)
最前線4巻収録…etc

『eBookJapan』でも購読可能です。コチラまで。

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望月先生のコメント
【望月三起也先生より】
ほとんど趣味の世界から出ていない作家・・・・・ なんですねぇ。

コーヒーのブランデー使って香りを楽しむなんてのは、中学生の時、高級喫茶店のカウンターで、店のマスター自らに伝授されたもの。小遣いも少ない当時、よくまァブランデーなんて高級品に金を使ったもんだ。生まれつき、趣味に金は惜しまないというか、計算できないと言った方が正しいか・・・・ 
ま、中学生に買えるブランデーです、最低品。そう高いもんじゃない。
しかしこれが一滴も飲むことは出来ないってんだから不良じゃありません。あくまでムード重視。っていうか、生まれつきアルコールは飲めない体質。ビールの泡なめて、二時間目が回って立っていられない歩けないって人間なんですから。
その後、大人となっても趣味のブランデーは買ってました。と、いうか、外国へ取材に行った帰りに免税店で手に入れるから、実はメチャ安いンですが、ナポレオンなんて瓶のデザインが好きで買いましたね。 こんなブランデーの“使い方”、私の場合、酒は“飲み方”じゃない、“使い方”なんです。
メロンを真っ二つに輪切り、真ん中をくり抜き、そこへ買ってきたブランデーを流し込み溜める。冷蔵庫で冷やすこと30分。香りと糖分が全体に回るンですねぇ。
溜まってたブランデーは下水へ流します。万一、口に入ると私は半日寝込んじゃうから。

この“使い方”、静岡のある寿司屋さんでデザートとして出されたもの。そのときのあまりの美味さに真似をしたってわけ。ただし本物、寿司屋の高級品と違って私のは近所のスーパーで買って来る。ここが少し違うンですけど、ナポレオンぶっかけたら、かなりの美味に変身!! でっせぇ!

ま、そういうわけでeddy-sさん、鋭いツッコミで。この作品、自分の趣味とウンチクで出来てます。
プラモデルの塗料にまで目をつけたのは念入りのファンですねぇ。ただ当時はプラモも一部資料不足で、何度も言ってますが“本物”じゃないんですね。今は本物です。
汚し塗りのテクニックも「アーマーモデリング」(大日本絵画)見ればしっかり教えてくれてますしね。
ナポレオンブランデーだけは昔も今も変わりません、いい香りです。

ひとつついでに、昔はキャラクター作りにかなり映画俳優を使ってたのは事実、イメージが自分なりに作り出せるンです。しかしまァそれより無精だなァと思うのは、タベ、ジャンボ、クマなんて、仲間内をいろんな役で登場させてること。今思うと、よくまァ毎度お馴染みってパターンやってたもの、我ながら呆れるねぇ。

で、これだけ酒に拘って、さてコーヒーの方は?
これが“安くていい、近所のコーヒー専門店”の、その日お奨め特用ブレンドなんです。
本末転倒(?)だね。



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コメント/トラックバック

  • ラーメン屋 :
    あけましておめでとうございます、おひさしぶりです。

    やはり皆さん先生の作品からは多大な影響をうけてますよね。ある意味先生の作品は「聖書」ですね。
    ここ最近ではタミヤの1/35MMにハマってまして、嫁さんにシンナー臭いと怒られながら製作してます。
    今年の目標はM3リーが川の中で黒いヤクトパンサーを
    撃破するシーンのジオラマです。 
    eddy-sさんならわかりますよね「あ、あのシーンか」と。
  • eddy-s :
    >ラーメン屋さん

    明けましておめでとうございます。
    お久しぶりです、お元気そうでなによりです。

    >今年の目標はM3リーが川の中で黒いヤクトパンサーを
    >撃破するシーンのジオラマです。 
    >eddy-sさんならわかりますよね「あ、あのシーンか」と。

    わかります、二世部隊物語「脱走」の名シーンですよね。
    ジオラマ楽しみにしています。
  • 荘雲水 :
    初めて参加をいたします。
    二世部隊物語・・懐かしいというより本の題目が変わっていたので
    確認をしてから書かせていただきました。
    発売時(昭和46年8月1日少年画報社発行)当時は最前線
    ④鬼軍曹でしたが、当時中学生の無知識な若輩でしたが、大変に感激をしたのを昨日のように覚えております。凄いのが田宮のプラモにもなかった(当時)イギリス軍のクォード・ガントラクター&25ポンド砲を見て欲しくて仕方がなかったのを覚えております。数年後田宮から発売された時はこの作品の影響だと確信しました。また当時二世部隊が存在した事すらも知らなかったのを本当に懐かしく思い出します。
  • eddy-s :
    荘雲水さん

    コメントありがとうございます。

    >凄いのが田宮のプラモにもなかった(当時)イギリス軍のクォード・ガントラクター&25ポンド砲を見て欲しくて仕方がなかったのを覚えております。数年後田宮から発売された時はこの作品の影響だと確信しました。

    そうですか、クォード・ガントラクターのプラモデルがタミヤから発売されたのは、この作品の影響といっても過言ではないわけですね?
    これからもよろしくお願いいたします。

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