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作品紹介

第67回

コンクリート・ゲリラ

執筆者:   2014 年 9 月 8 日

シリーズ屈指の壮絶なエピソードは、キャラクター、ウエポン、スポットなどなど、見逃せないポイントも実に沢山。
ギッシリ詰まった内容がファンを満足させます。

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【ワイルド7】第4話「コンクリート・ゲリラ」

今回ご紹介する作品は、2011年に公開された映画「WILD7」の元ネタになった作品で、私の好きな「みそっかすのユキ」こと「本間ユキ」が初登場する作品でもあります。

作品が連載された1970年(昭和45年)は、大阪万博が開催された年で、冒頭のシーンでモーターサイクルショー会場が出てきますが、その会場のドームの形が万博のアメリカ館にちょっと似ています。そしてモーターサイクルショーの場面では、当時ホンダが発売したばかりの「ダックスホンダ」が登場します。

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その他、横浜の山下公園の埠頭に停泊している「氷川丸」やマリンタワー、東神奈川にある「N・P(ノース・ピア)」など横浜の観光地がふんだんに登場します。中でも「氷川丸」は今は船底を塗り替えられたものの、当時のままの姿で今も山下公園に保管されています。私が1981年に上京した時に、真っ先に山下公園に行って撮影しました。詳しくは『~ワイルド7の舞台を訪ねて~』をご参照下さい。この「氷川丸」は今回のストーリー上、大変重要な役で何度も登場します。
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さて、今回のあらすじですが、各地で頻繁に発生する爆破事件や電車脱線事故。その犯人は「都市ゲリラ」と呼ばれる武装集団であった。そのゲリラたちを狙う謎のゲリラハンターが、毎回警察の捜査の前に先回りしてゲリラたちを仕留めて姿をくらます。草波率いる「ワイルド7」はゲリラハンターの抹殺と都市ゲリラ壊滅の命令を受け、作戦を開始する。ヘボピーは単独囮となってゲリラの中に潜入し、飛葉たちはゲリラハンターの捜査に取り掛かる。しかしその途中で、世界とチャーシューが敵の仕掛けた罠に掛かり…。世界の命賭けのメッセージから敵の狙いが米軍の「ミサイル」と分かり、ミサイル運搬護衛作戦を決行する「ワイルド7」。

はたして飛葉たち「ワイルド7」はゲリラハンターを追い詰め「都市ゲリラ」を壊滅出来るのか?
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kcg04さて、恒例のミリタリーウエポンですが、今回も沢山の古今東西のウエポンが登場しています。まず強烈な印象を残したのは何といっても飛葉が使用した「対戦車ライフル」でしょう。

イギリスの「ボーイズ MkI対戦車ライフル」を二分割式にしたカスタムモデルでしょうか?50mmの鉄板でも貫通する威力は漫画ながら大迫力でした。この事件のあと、装いも新たに第19話「谷間のユリは鐘に散る」で再登場します。次は、「都市ゲリラ」側が迎撃用に設置しているイギリス25ポンド砲。米軍のM4A1ハーフトラック、火器小銃では、ゲリラハンターが使用していた手製のペッパーボックス、水平式二つ折散弾銃、kcg07
40連ドラムマガジンM1928A1トンプソンサブマシンガン、サプレッサー装着モーゼルミリタリーetc…と、今回もてんこ盛りです。

劇中、「三島先生さえ…」というセリフがありますが、これは1970年11月25日に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で起きた三島事件の事であり、時代を感じさせます。そして今回の登場人物の中にその故三島由紀夫氏に似た顔のキャラクターが登場しています。



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kcg10他にも当時の第3次佐藤内閣の閣僚の顔にそっくりさんが登場していました。


望月先生が以前イベント等で語られておられますが、本当はこの回ぐらいで「ワイルド7」は終わりにしようと思われていたそうです。しかし読者からのやめないでと熱烈なラブコールがあって継続する事になったそうです。もしここでそのまま終わっていたら、あまり話題にもならずに過去の作品になっていたかもしれません。世の中わからないものです。

最後に、以前『私が選ぶヒロイン特集』でも書きましたが、今回の本当の主役は「みそっかすのユキ」こと「ゲリラハンターのユキ」で、冒頭のシーンで、ジャンプスーツを颯爽と脱ぎ捨てその下から現れた赤のビキニ姿は、その後の活躍を予見させるカッコよさでした。ユキ、カッコイイ!!

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コンクリート・ゲリラ

kcg161970年11月1日号~1971年4月4日号 少年キング(少年画報社)

1971年 ヒットコミックス(少年画報社)『ワイルド7』7巻(前編)
(9月1日初版発行)

1971年 ヒットコミックス(少年画報社)『ワイルド7』8巻(後編)
(12月1日初版発行)

2007年 ぶんか社コミック文庫(ぶんか社)『ワイルド7』4巻
(11月10日初版発行)

(初出版と最新版以外は割愛しています。)ebookjapanでも購読可能です。コチラコチラまで。

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望月先生のコメント

“改造”って、好きなんですねぇ。
個性を大事にする。私の性格というか他人と同じもの、横並びってのが私、嫌いなんです。独特な服の好みとか自分らしさと言えばカッコいいンですが、単に人と同じってのが好きじゃない。唯一他人と同じで許せるのがサッカーチームのユニホームか。
浦和レッズ、ジュビロ磐田なんて選手に強請ってホンモノをゲット、何度したことか。

横並びどころか縦に並ぶのも嫌いですから、流行のラーメン屋、人気の遊園地、人気者(有名人)の裁判(?)まで、5人も並んだら6人目には立ちません。ですから作中にも“改造”がやたら出てくるンですねぇ。

ユキの使用したペッパーボックス銃、つまり卓上の胡椒入れ(ペッパーボックス)。粉状ではなく粒のまま入れた容器で、手で持ち回転させてゴリゴリと擂る。その動作がこの銃の一発ごとにシリンダーを回すことと似ているところから付けられた名前なんです。
自動で回転ってメカニズムが発明される以前、銃は単銃身、単発が主力の時代、連発発射したいって、こういうゲテモノを使う人がいたンですねぇ。そういうところ、私のゲテ好きに合ってるわけですよ。

それにしても嬉しいのは、私の趣味で旧式のこういったGunから巨大弾丸の対戦車ライフル、砲等々、描きたいから描くって、ほとんどウケやら人気度無視。それを楽しんでくれてるファンがいるって、なんとも有り難い話。私の好みはファンの好みなんですねぇ。

ここで印象的なのは本格的な女性キャラ登場だったこと。
実のところ、この辺りからなんとなく「女の子、色っぽい」って囁かれるようになり、それまで女性は下手だから描きたくないって頑なに思っていたのですけど、ひょっとして、描けるかも?・・・・・ って。そこでユキってキャラクターの登場だったのですよ。
いやァ、これほどウケるとは。 ウケるなんて思ってなかったから、いつ死なせてもいいキャラクターとして「みそっかす」ってしたのですよ。 ところでこの言葉(みそっかす)、最近聞かないなァ。死語なの?

私としては『おんな』ってのは隠すことが『色気』だと考えてますから、それが巧く描けたンでしょうねぇ。だからユキはとうとう最後までワイルド7であり続けたンです。
読者が生かしてくれたキャラクターとも言えますね。
思えば連載当初から男の死に様をテーマのひとつとしてスタートしたもんですから、“世界”なんてキャラ、早々にあの世に行かせちまって・・・・・ このキャラクター、ワイルド7の中でも重さNo.1。本当は最後まで取っておくべきだったと後悔してます。

eddy-sさん、相変わらず氷川丸はじめ現物主義、いいですねぇ。こういう人がいるから描き手は手が抜けないし、それがまたビックリさせてやろうとストーリーに背景画に凝るようになるんですね。
引き続きワイルド7『R』バージョンをやっていくつもりで、今度はどこを舞台とするか、考えています。




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