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望月マニ也

第49回

私が選ぶ望月ヒロイン

執筆者:   2012 年 4 月 4 日

ファンやマニアが頭を寄せれば出てくる話題に時間が足りない。
その話題の泉も枯れることがない。
そんな話題のひとつを掘り進めてみたら、こんなんなりました。

前回は「ワイルド7の舞台を訪ねて」と題してオフ会を開催いたしましたが、そういえばまだ「月刊 望月三起也」で、望月ヒロインについて討論した事がなかったなぁ~と、思い立ち、今回のオフ会では参加メンバーに、あらかじめ「私が選ぶ望月ヒロイン」というテーマで、お気に入りの女性キャラクターを3人選んで来てもらいました。

個性の強いいつものメンバーのこと、とてもまとまるとは思えないので、それぞれのヒロインベスト3を発表してもらうことにしましょう!

ぐりゅーん・へるつさん
セクシーヒロインを主人公にした先生の大人向け作品群には詳しくないので、このテーマは苦手です。が、しいて言うならば・・・・・・。

一番目に挙げたいのは「ワイルド7」千金のロードマリでしょうか。
エピソード冒頭の飛葉にかつがれてのバイク走行シーンと道中のネグリジェ姿が絶品。少女と大人の中間という感じのビミョーな乙女心や気位の高さがカワいくて、カタブツの飛葉とのやりとりが、実に面白く描けています。最後まで飛葉に惚れないところも気に入っています。

二番目には、主人公の為に、けなげに尽くすところが、いたいけでカワイイ「はだしの巨人」ルビーを推したいですね。そして、ルビーと同系統のキャラクターになりますが、三番目は「夜明けのマッキー」に出てきた名称不明の村娘。望月先生の描く黒人少女は、とにかく、ピュアでとってもカワイイのです。個人的には、彼女の周りにいた子供たちが、はたして、弟なのか息子なのか近所の子なのか、とっても気になります(笑)。


それと、次点として、どうしても挙げておきたいのが、「ワイルド7」爆破105三次のかあちゃんです。ここでの飛葉は、彼女の「息子を助けておくれ」の一言で、自らピンチに飛び込んで、三次を無事に彼女の元に届ける、ただそれだけの為に、命を張るんですよ。 エピソード全体を動かしたスゴイ女性!ってことになります。飛葉は、ひとつ前のエピソード「灰のとりで」でも、自分の母親の願いのために行動していますが、実は、このテーマって、マリを送り届けた「千金のロード」のラストから、続いているんです。


sillazmanさん
ヒロインというより、完全に個人の趣味で選んだかわい子ちゃんなんですけど…。


まずは、「ワイルド7」首にロープから、ガソリンスタンドのレイちゃん。一等賞です。なにしろ、ワイルド随一の伊達男、八百さんが、サッカー日本代表・第一回日韓定期戦のチケットを握り締めて、日参した結果、ようやく口説き落とせたほどですから、間違いありません。個人的にも、ど真ん中のストライク。タイプです。
は、「最前線」大地を裂く修道女マリー。見習い修道女って、設定だったかな。俗世の気分が抜けてないというか、ちゃっかりしてるというか、とにかく、キュート。子供の頃に読んだきりだったんだけど、愛らしさが強く印象に残ってました。実は、先日、eddy-sさんに本を見せて貰って、改めて、名前のあるキャラだったのを思い出しました。
そして、忘れちゃあいけないのが「ワイルド7」地獄の神話に出てきた刑務所長の娘
そりゃあもう、いきなり「きゃあ」って、入浴シーンで登場してくるんですから、選ばないわけにはイキマセン。なにしろ、高校生とは思えないほどの抜群のスタイル、それでいて、全裸でも健康的で決していやらしくない、さすが先生、数ある少年誌のなかでも一番良質のサービスカットだったと思います。

yazyさん
ワイルド7からファンになりましたので、今回の「望月ヒロイン」は、あえて、それ以外の作品から、ワイルドのメンバーを髣髴させるヒロインを選んでみることにします。

短編に登場するキャラクターの中では、一番みそっかすのユキの雰囲気が似ているのが、名称不明ながら「佃島トラベル」ヒロインです。小学館ビッグゴールドに掲載された作品です。残念ながら、現在のところ、単行本未収録となっています。
同じ「ワイルド7」でも、スナックVONのイコ役の女優さんを使った感じなのが、ぶんか社刊「ロゼ・サンク」に収録されている「箱根越え」ヒロイン
堂々の3位に食い込むのは「Oh!刑事パイ」デカパイこと、盃珠さかずきたま)。これはもう、性格から風貌から「新ワイルド7」のメンバー「エンゼル」と瓜二つといってもいいでしょう。以上の3名、実に2人が名称不明、こんなところも先生ならではですね。

MICKIさん
私は、なんといっても「飛葉」ちゃん!あっ、今日はヒロインを選ぶのかぁ~。
ヒーローを選ぶのだったらすぐベスト3を言えるんだけど…。

ヒロインなら、なんといっても一番は、「ワイルド7」の紅一点・ユキです。特に、女性だからといって、足手まといになるような展開が、微塵も無いところ。野郎どもにも負けない信頼と安心のフル・スペック搭載。ちっとも、みそっかすじゃない!!生きざまそのものが、同じ女性から見ても素敵!今時の漫画のヒロインの強さとは違う魅力を感じます。物語り全体を通して、ずっと強気に振舞っていたのに、最後の最後で、女性らしい振る舞いを見せて、散って行ったところも印象的ですね。あ、それと、私が一番最初に作ったフィギュアが、ユキ扮するルビー・エンジェルだったからって、いうのも大きいかな。(笑)
二番目は、ぐりゅーん・へるつさんも挙げていた「ワイルド7」千金のロードマリですね。彼女のフリーダムなところ、自由奔放なところが、とにかくイイ!! 惹かれます。
そして、三番目が「新ワイルド7」エンゼルです。みそっかすのユキほど、強くはないけれど、毎回、裸同然になりながら、頑張っていたところが憎めない(笑)。黒人のハーフの女の子という設定とキャラクター・デザインもチャーミングでした!

次点として「秘密探偵JA」に登場する純粋の塊みたいな少女たち挙げておきたいところですね。

eddy-sさん
私は、望月作品を初めて読んだのが、中学生の時でしたから、先生の描く年上の女性たちのお色気にノックアウトされました。

スチュワーデスっていうのは、今ではもう死語かな?ベスト1は「ワイルド7」爆破105に出てくるスチュワーデスさんです。やさしい年上のお姉さんというイメージそのままですね。最初は、飛葉ちゃんに見捨てられたと思って、そっけなかったのに、途中から明らかに、飛葉ちゃんにハートを奪われてましたね。(笑)
ベスト2は、「ワイルド7」首にロープで、タマキちゃんを保護していた彼女。女学生っていう設定は、女子高生かと思うんですが、もっと年上の純粋なお姉さんというイメージでしたね。実は、望月作品の常というか、残念な事に、彼女も名称不明なんです。彼女がタマキちゃんだと思ってた人も多いんじゃありませんか。少なくとも、あのsillazmanさんは、間違えていました。
そして、ベスト3は、既に他のお二人が選ばれておられる通り、自由奔放で、わがまま。最後まで飛葉ちゃんになびかなかった数少ないヒロインの一人「ワイルド7」千金のロードマリですね。(笑)

そして、私がどうしても、次点として推したいのは、映画版「ワイルド7」、深田恭子さん演じるところのユキです。今までのぽわ~んとしたほのぼの路線の役柄から、彼女はちょっと違うんじゃないかなと思ったのですが、映画館で観て、びっくりしました。劇中、瞬敏に立ち回り、銃を構える姿など、まさに「ワイルドのユキ」そのものでした。
ラストシーンのメンバーにバイクで合流するシーンなど、黒のジャンプスーツにヘルメット姿が、とってもよく似合っていました。もうこのシーンだけで十分過ぎるほどです。DVDが出たら絶対買うぞ!と決意しました。(苦笑)


以上、いつものオフ会メンバーが、各々、選んだ「望月ヒロイン」ベスト3、王道の3人から個人的な趣味で選んだ3人まで、一家言お持ちの個性的なメンバーにも関わらず、「ワイルド7」千金のロードからマリをチョイスしたメンバーが3人もいたのが、新鮮な驚きでした。ともあれ、皆さん、絞込みには苦労したらしく、当落線上のヒロインの話になると、あっという間に、番外編の3人が決まりました。

題して、番外編「皆んなで選んだ悲劇の望月ヒロイン」3人に絞り込むのは無理だと、頭を抱えていたMICKI さんの解説で紹介いたします。

この3人に共通しているのは、とにかく、あっさり、非業の死を遂げてしまったことです。とにかく、そういう意味での筆頭は、「ワイルド7」女ワイルド女王でしょう。まずは、絵的にカッコいい、そして、最後まで強気で、千金のロードのマリ同様、ラストまで飛葉ちゃんになびかないところなんかも魅力的です。「灰になるまで」で、飛葉ちゃんとおやっさんが死に物狂いで守ったのにねぇ。「ガラスの城」で、女ワイルドになった途端に、殺されちゃうところなんか、すごく望月的でイイです。同じく、痺れちゃうのが「ワイルド7」熱砂の帝王のイスラエルの女兵士、紅サソリの2人。この二人も、途中までは強そうな感じだったのにねぇ、あっさり殺されちゃうところが、実に望月的でした。そして、同じく「ワイルド7」熱砂の帝王からローラ。人質に取られて怖い思いをして、一時、飛葉ちゃんとイイ雰囲気になりそうだったのに、最後は遠景扱いで、死に顔すらはっきり描いてもらえなかったなんて…。望月漫画ならではじゃないかと思います。

それでは、最後に惜しくも選には漏れましたが、今回、話題に挙がったヒロインたちをクイズ編として紹介いたします。名前と登場した作品名をお答えください。

解答は、以下のスペースへカーソルを当てて、そのままスクロールしてください。

1.「ごくろう3」 久美                                       小学館 ビッグコミック掲載
2.「ビタミンI」 アイちゃん                                      小学館 ビッグコミック掲載
3.「ワイルド7」谷間のユリは鐘に散る ~エメロンちゃん              少年画報社 少年キング掲載
4.「最前線」約束 ~パリスのお姉さん                           少年画報社 少年キング掲載
5.「ワイルド7」運命の七星 ~暴走族「黒一族」のアフロヘアのおねえちゃん 少年画報社 少年キング掲載
6.「ワイルド7」ガラスの城 ~アグネス・ジン                      少年画報社 少年キング掲載
7.「ワイルド7」地獄の神話 ~ユキに店と飛葉のどっちが大切か問いただされた時のイコ

                                                  少年画報社 少年キング掲載
8.「学園シャンプー」 トモちゃん                               少年画報社 少年キング掲載
9.「へい、お町!!」 トモ子                                     小学館 ビッグコミック掲載
10.「マッド・ドッグ」 ローリー                                少年画報社 ヤングコミック掲載


いかがでしたか?皆さんのお気に入りのヒロインは見つかりましたか?ヒーローに勝るとも劣らない魅力に溢れた望月漫画のヒロインたち、「私のイチ押し」の彼女が抜けている!という方がいらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。ではまた、次回のオフ会で。


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月刊望月三起也ではみなさんからの投稿をお待ちしています。
「望月マニ也」「作品紹介」のほか書式や内容は自由、採用者は「月刊望月三起也」で掲載。
また掲載された方には、望月先生書き下ろし特製ポストカードをプレゼント!


是非、月刊望月三起也事務局までメールを送ってください。
お待ちしております。
info@wild7.jp
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望月先生のコメント
【望月三起也先生より】
「ヒロイン」って切り口、面白い!!

それにしてもみなさん、勝手な思い入れで選び出すこと。
こちらの意図通りはまって、嬉しがってくれるかと思ったら以外にもハズレたり、「そこ、喰いついてくるか?」ってウケたり、大変有難いご意見、以後の参考になります。

三次のかあちゃん・・・・・ これもヒロインかね? こういう選び方するところ、ぐりゅーんさんらしい。また「夜明けのマッキー」や「はだしの巨人」に登場させたアフリカンの娘、私の好きなキャラクターです。と言うより、日本の漫画家の中で黒人をヒーローやヒロインとして登場させてきたのは私が一番多いンじゃないでしょうかね。
デビュー間もないころも『※黒いタンク』って作品で、主人公のボクサー役で堂々登場させています。多分個性の強いキャラクターを登場させたい私の作風にマッチするのがこうしたキャラクターなんでしょうか。
近くは『新ワイルド7』の中でも、黒人京女ってのも作り出してみましたし、多分黒人パワーがヒーロー、ヒロイン向きなんですね。
さらに言えばスタイルの良さ、これもヒロイン向き。
ただし唯一の欠点、それは「スクリーントーン」。

なんか絵が平面的になってしまうからトーン嫌いな私なんですが、じゃァどうやって黒人を表現するの?
・・・・・しょうがないんです、諦めてトーン貼ってます。

名前はないけど好きなヒロインって選ぶ人がいたり、それほど印象に残る良いキャラクター、描けていたんでしょうか?『佃島トラベル』とか『箱根越え』なんてね。
自分としてはビッグコミック(小学館)での連載もの、『oh!刑事パイ』、『ごくろう3』、『ビタミンI』等々は結構主役張れるキャラクター産み出せたと自負しており、この辺り「好き」と言われるのは嬉しいね。

私は新しいモノ好き、古いモノに飽きてしまう。
これからも主役を張れる愛すべきヒロインを産み出していきたいもの、これだけ何十年もの間登場させてきた女性に、みなさんそれぞれに思い入れを持ってくださっているのだから。

今回の企画、映画の人気投票みたいで大変おもしろかったなァ。
選考委員の方々、ご苦労様でした。



※『黒いタンク』 1962年「たのしい三年生(講談社)」6月号掲載 単行本未収録



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  • ズンコ :
    初めて投稿させて頂きます。ズンコと申します。宜しくお願い致します。
    私、小学生の頃、「ジャパッシュ」を読んで、望月三起也先生の大ファンになりました。「ジャパッシュ」のコミックスが出たら、ボロボロになるほど読みました。勿論、「ワイルド7」も全巻、その他、数え切れない程の三起也先生の作品を集めて読んでいました。望月先生にファンレターを書いたら、イラスト入りの年賀状を頂き、嬉しかったです。しかし、中学校三年生になり、受験の為に、親に強制的に先生のコミックスを処分させられ(友人に上げました)、泣く泣くファンを引退したのです。
    でも、望月三起也先生大ファンの思いは、ずっと心の中に有りました。
    私の一番好きなヒロインは、何と言っても「ジャパッシュ」のマリです。「ジャパッシュ」のラストシーンは、凄かったです。
  • sillazman :
    〉ズンコさん はじめまして、sillazmanです。うっかりしてましたねぇ。
    「ジャパッシュ」のマリ、稀代の名作の、それもエンディングを彩るキーパーソン!個人の趣味で選んだ私はともかく、他のメンバーから出てなかったのが不思議なくらいです。
    もっとも、私の場合は、セクシーでいて、決していやらしくないっていう先生ならではの絵そのものに惹かれるところがあるので、三つ編みお下げの清純派の彼女は、盲点になってしまったのかもしれません。
    でも、いつか先生のセクシー路線、自分でも表現したいと思っています。
  • ヌーボー :
    ビタミンIカラーで見たいです。

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