月刊望月三起也タイトル画像

秋本治先生・一本木蛮先生 ロングインタビュー 『野性のDNA』第3回

魅惑の望月テクニック」編

第1回「夢中で読んだ望月マンガ」編
第2回「望月三起也の人物像とその遺伝子」編
はこちらから

■好評シリーズ第3弾では、望月先生のイラストを見ながら、魅力溢れる望月マンガの秘密に迫っていただきました。


蛮:最低限の描き込みで、白と黒を凄い活かすんですよね。
秋本:そうそう、ベタがとても上手いんだよね。
蛮:コマの中に顔がチョコッと、しかも半分だけ入ってて、真っ白なのに効果的だったりとか。
秋本:あー、ある。うん。
だからイラストも好きは好きだったのかな?かなりね。
そういうイメージないけど。動きを描いてたから。
でもこういう一枚絵が当時から印象的ですよね。
そうそう、こういうとにかくサイドカーでも浮かしちゃうっていうっていうのがね。
構図がね、やっぱカッコイイですよね。
蛮:基本的に小道具とか背景に芝居させるんですよね?
人間だけの芝居じゃなくて。

秋本:確かにそうだねー。
蛮:凄いそこは勉強になる。
秋本:うん。銃でも今撃とうとして手が出てるみたいなね。
蛮:止まってる画なのに次に何か起こるぞ!っていうのを考えさせるというか。
秋本:あるよね、その細かさなんですよね。
普通バイクなら、キチンとした姿勢で乗っていればいいじゃないかって思うけど、既に銃を持ってこう(腕をクロスさせて)狙ってるような「誰か来た時はもう撃つぜ!」な感じが、すごい動きを出してるよね。
ただの止まりポーズじゃないんですよね。
蛮:三起也先生の漫画って、物凄いドライブ感があるんですけど、通常日本人の脳みそって、右上から左下に行くっていうか、こっち(右)からの力が強くて、こっち(左)がリアクションっていうのが通常なんですよ。
秋本:ああ、見方としてはね
蛮:だから見開きがあったらこっち側から(右から左)パンチで、こっち側(左)がリアクション(パンチを受ける顔)っていう。
秋本:(左←右の動き)こうだもんね。
蛮:ところが、基本的にはそうなんだけど、三起也先生の作品の場合、イチ見開きがぐるっと螺旋状に展開してて。
秋本:あーなるほど。
蛮:えっ?こういう描き方あるの?っていいながら、次々めくっていくような。
人間のポーズもなんか螺旋状になってる、ヒネリが入ってる姿勢や、画の見開き単位でもうねるようで一方向では無くて、動き全体にうねりがあるという独特の画面作りなので、他の方ではあまり見た事がないです。

秋本:確かにそうだもんね、全部ね。
凄い分析だね……確かに。
蛮:日本人って、巻物文化だからこっちから見てこういう風に(右から左へ)進んでいく横スクロールなんですよね。
なんだけど、三起也先生の作品って、こういう(ぐるぐると渦巻くような)感じなんですよ。

秋本:車もこっち(手前)に来るんだよね。
真横はないから立体的なんですよね。
蛮:全てがそうなんですよね。
秋本:そう、だから真正面に来るなら一点透視なんだけど、カーブしながら来るんですよね。
蛮:で、周りにも、こう地べたにも芝居をさせて。
秋本:そうそう、(カーブを描いたところに)ジャリジャリっていうのが付いてて。
蛮:こんな所にこんな木っ端はないだろう、という木っ端とかもまき散らして
秋本:あの葉っぱの散り方が参考になったんですよ。ブワーと(舞い上がりながら)散る感じがね。
だから西部劇のヒューって風が吹くのと同じで。
あれが、風とか周りの臨場感を表すし、タイヤの入り方とか、走ってる足がパパパパッとなってる姿とか、あれで動きが感じられるんですよね。
一番、舞うやつだから。昔はホコリだけだったんだけど、葉っぱが散るっていうのが僕も習いましたよ。

■以前「単純にワイルドを現代に甦らせて、今の高層ビルの中で舗装された路面を走らせたのでは映えない」と言っていたのを聞いた事があります。
秋本:あー確かに。
蛮:そうかもしれない。
わざと河川敷に行って走ってもらうしかないですね。

秋本:ホント、まさに。
土煙とかね、舞う石ころとかね。
だから西部劇とか「七人の侍」ような時代劇もそうだけど、あの感じが、ブワッと砂煙で風を表現してる、木とか自然のもので表現するのが凄く上手で。
普通のオフィスビルに走ってもね、なかなか物足りないですよね。
映えないですよね。
蛮:うーん、なんかもしかして無理やりやってって言うと、物凄い事やるかもしれないですよね?
お花屋さんに突っ込んでみたりとか。

秋本:そうそう、あとミラービルをボンッと突き破ってバイクで行くとか。
蛮:絶対、ガラスはたくさん散る!
秋本:ガラスだよね!壊れるものないかーって。そこですよね。

■アクションの漫画表現について
蛮:アクション映画とかにおけるエフェクトの手法っていうのが、もう全部画の中に描いているんですよね。
例えば香港映画のアクションなんかでも、ホコリがバーンと出るじゃないですか?あれって叩かれる辺りの服の中にホコリ仕込んでるんですよね。
バンバンバン!って。

秋本:なるほどなるほど。
漫画でいうこういうの(衝撃を表すギザギザ)みたいなものだよね。
なるほど、リアクションだね。
蛮:そうそう、熱血漫画とかだと汁だくじゃないですか。
やけにハァハァして汗とか湯気とか出るけれども、そういうのもリアクション部分は映像とかで行われるものは全部最初っから漫画に入ってるんですよ。
だから(三起也先生の場合も)映画とか凄い沢山観てきたのか、もう自然体にそれを見ながら「これはいい」というのが意識しなくても自分の画に出していったんじゃないかなって感じがしてて。

秋本:入ってるんだよね。
蛮:全てのリアクションがそうなんですよね。
それと「先生の漫画は何をやっても痛そうなんですけどー」って言うと「僕はね、人をビックリさせるのが好きだから、どうやったら痛ぇー!って思うだろうと。それで、ただ切ってもつまんないから踏ませる!」とかって

秋本:(笑)ああ、そんな事を前にも言ってたよね、メールで。
「痛そうに殴らせるのが凄い」って話してたって。
僕も殴られた顔がグチャってなって、それで歯が飛び出すっていうのも三起也先生から習ったから。
「こち亀」の中でも、最後ゴンって殴られて歯が飛び出すっていうのを描いて。
前歯が折れるくらいって、そりゃ痛いよなーって。
蛮:秋本作品だと引き継いでるのって「Mr.Clice」な感じがしますよね。
秋本:ああ、そうだよね。
蛮:「BLACK TIGER」もモロに。
秋本:思いっきり西部劇ですもんね。
黒っぽい感じですよね。そ、ベタを使いましょっ。ベタにやりますよって。
枠が黒いのは映画のイメージだったのね。
昔の西部劇って暗い所で観るじゃないですか。
「BLACK TIGER」だし、映画館で映画を観るような感覚で見てもらえるといいなって思って、全部ベタで。
蛮:もうアクションのこれ(手をクロスさせる二丁拳銃の撃ち方)が!
秋本:これが実は「ムサシ」の影響なんですよ。
二丁拳銃で、ムサシがクロスして撃つんですよね。
蛮:最初見た時、これで女性が撃ってて、肩が外れちゃうんじゃない?って思ってたんだけど。
秋本: 腕をクロスさせるから(ホルスターの)銃をこっち(逆)に向けるんですよ。
普通、こう抜けるじゃないですか。
だけど逆だから、抜く時はこう(反対側の腕)しか抜けないの。
そしたら、今回の「マグニフィセント・セブン」でもデンゼル・ワシントンが、逆に向けてるんですよ。
それが一度、こう(銃の向きを)返して抜くんですよね。
普通に見てると全然分からないけど、逆に向けてるから反対側の手でも抜けるし、普通でも返して抜けると、「BLACK TIGER」描くんで参考にやってみたけど、意外とクルッと返すのも抜きやすいんですよね。
普通はこう(逆)だもんね。この方が抜きやすいから。
「ムサシ」を見て、あの二丁拳銃はここから来てる、モロに。

■「マグニフィセント・セブン」
秋本:パンフレットにもあったけど、「マグニフィセント・セブン」では、CGを使う所が無いらしいんですよ。
銃を抜く所は人間がやるし、馬に乗って撃つのも人間がやらなきゃ駄目だし、馬から倒れる所もCGが使えないから、あれこそ映画の、娯楽の大作でCG一切関与しない所で。
銃を撃つ所も本当にバーンと撃って、本当に馬から倒れるから。
そして役者も特訓したらしくて、全員が馬に乗れて、銃が上手いんですよ。
さすがに遠くの方はスタントマンだけど。
だから、西部劇の黄金時代のスタッフが全部集まって、CGも無しで作ったっていうのが。
さっきのワイルドの話じゃないけど、土の中じゃないとオートバイのカッコ良さが出ないしって事ですよね。
だから、今だったら今で三起也先生も、絶対考えると思うんですよね。
高層ビルの階段を上から降りるとか、エレベーターを使うとか、絶対にそういうのがワクワクすると思うんですよね。
蛮:エレベーターね。開く瞬間にスッと現れて、そこをバーン!と飛び出すみたいなね。
秋本: 透明なビルとかね。
だからそういう面白さみたいのは、本当に望月マンガから学んだし、西部劇の銃の感じは「BLACK TIGER」はモロ、三起也先生のオマージュです。

■ご自身の作品で影響を受けた部分はありますか?
秋本:あーありますね。
「BLACK TIGER」はワルがワルをやっつけるっていうのが「ワイルド7」だもんね。
蛮:影響もなにも、最初っから死んだことになってる的なブラックの殺しの許可証が出てくるし「えっ、あなたが!ハーッ」みたいなところもありつつの……
秋本:そうだよね、そうそう。
蛮:で、また女の子なのに熱くて痛そうな事するから。
秋本:ジュッってやつね。
あれ、結構言われたんだよね、普通じゃんって。
でも(本人にとっては)普通じゃないんですよ。
蛮:今までの秋本作品にはほとんどなかったですからね。
秋本:でも、前もあったじゃない。
(「こち亀」で)有栖川が喧嘩する時に、女の子が殴るっていうのもちょっと良くないし力も違うから、女の子の場合は男の髪の毛を掴んでレンガ塀でガリガリガリってやる方がいいだろうと。
あれは三起也先生なんですよ。
殴るだけじゃなくてね。
女の子としては、そういうの面白いなって。
だから「BLACK TIGER」も殴らないで顔を掴んで火の中に入れるのが、ちょっといい感じだなと。
蛮:いい感じ……
(笑)
秋本:やられたらやり返すっていうのがね。
アクションは学びますね。やっぱり。
蛮:アクションと、あとちょっと皮肉が入ったカッコイイセリフみたいなやつっていうのは「Mr.Clice」にも出てくるし。
秋本:そう!
セリフで今やりたいんですよね。
今「BLACK TIGER」も2話目をやってるんですけど、セリフがちょっと出てこないんですよ。
だからやってる間に、最後にカッコイイセリフを言ってバン!って撃つのやりたいんですよね。
(「ハードアクション&エロスの描き方」の)オビじゃないけど。「あいにく中退でね」でバン!っていう感じの。
ああいうセリフがカッコイイですよね。
蛮:「辞書って読んだ事なくて」みたいのが。
秋本:僕らの味方になってくれる感じがね。

蛮:このオビいいなー
[アクションは言うに及ばず、望月作品は「セリフ」もカッコイイ!!]っていうのが。

秋本:(引用した「あいにく中退でね。そこまで習ってねえ」)これ、100ページ描いてた頃ですよね。
オリジナルじゃなくて「新ワイルド7」の方。
あの中のシーンが……(「新ワイルド7」[血煙の攻撃空母]を見て)これこれ!
蛮:ああー!
秋本:大好きでねー、空母倒しにウィング着けて行っちゃうとか。
あの100ページは痛快でしたね、コンパクトにまとまってて。
先生は、描くと長くなるから、3巻4巻平気でなっちゃうじゃない。
それよりもこっちだとバンッってこう、キュッて締まってるから。うん。

■少年誌で描いてた事もあって、用語や状況説明に難しい言葉を使わないというのもありますね。
秋本:そのまとめ方がね、上手くて。
今だとリアルにするため設定を細かくして、その説明で飽きちゃうんですよね。
そうじゃなくて、端的にポンと飛葉や他のキャラクターが言うだけで、分かりやすく「あ、こいつは悪いやつなんだ」と。
だけど結構深かったりするんで。
蛮:腑に落ちるっていうんですかね。
秋本:納得する感じがね。
蛮:しかもカッコイイっていう。
秋本:カッコイイんだよねー。

■「こち亀」にはワイルドの扮装をした両さんや本田(66巻)、飛葉ちゃん(85巻)、女性白バイ隊「エンジェル7」(127巻)なども登場しますね。
秋本:そうですね、ああ、香港のやつですよね。
エンジェル7では、ワ“ルイ”ド7にしちゃった。(笑)
「あいつら退治だぞ」って言って、両さんがやたらと仕掛けるんだよね、こっちは逆に。
「ワルイド7」うん(メンバー4人だから)マイナス3で。
犯人をミサイルで撃っちゃうっていうのがね、いいなーと思って。
エンジェル7は、女の子でしたね。

■同じ時期(2001)に望月先生も「ロゼサンク」で女性版ワイルドを描いてました。
秋本:エエッ!!本当ですか?
それは偶然ですね、ふーん、いいですね。
蛮:宇宙から同じものをキャッチして……
(笑)

■一本木先生の作品で望月三起也関連だと「同人少女JB」のセリフで「優しい鷲JJ」や「学園シャンプー」が登場しますね。
蛮:ええ、そこら辺でしたから。
秋本:あー、JJ!

■それから「こち亀的前半生」と「こち亀的前半生[結]」では秋本先生と望月マンガの話題をしてます。
蛮:あはは。
秋本:あー、こないだのね。
蛮:望月作品のパロディ的な事だと私、前に「(月刊少年)ガンガン」で描いてた「勇者コジロー2」っていうやつで「チャイルド7」というの出してましたね。
主人公が「牙ちゃん」って、少年院から脱走した男で。

秋本:それはいいなー。
蛮:でも「ワイルド7」ってタイトルを、みんながパロディにしていじっていた時期ってありますよね。
秋本:あるねー。
蛮:あ「まいるど7(作:永井豪)」とかね。
(注:専売公社がマイルドセブンを発売したのは「ワイルド7」連載開始後の1977年)

■改めて望月マンガの魅力というと?
秋本:「誘かいのおきて」でカッコイイのは、大男と戦う時に倒れたバイクのアクセルを回して……ガーン!って顔を討つのが!
あれがもう痛快で。
蛮:うんうん
秋本:バイクってこんなに回転するんだと思って、実際に乗るとそんなに動かなくて。(笑)
「あれは演出だよ」なんて言われて。
遠心力で本当に痛そう。大男のやっつけ方が気持ちいいよね。
重量感がすごい出てるんですよね。
そりゃ、まいっただろうって。
小さい力でも大きな相手を倒せるようなのが凄い好きで。
飛行機からコーラの瓶を投げて、ブワーって。
要するに200km/h出ててバッと放り出してやると200km/hの勢いが出て、ミサイルだって。
あの感じが物凄く良かったですね
蛮:ケンカの作法もいいですよね
秋本:あ、ケンカもカッコイイ
蛮:ものすごい大勢相手に少人数でも、立て籠もって一人ずつ引っ張り込んで全部ボコれば勝ちじゃんって。
「四つ葉のマック」だ!
これ応用できるね、っていうのがあって。

秋本:そうそう、使いたいなーっていうのが、沢山出てくるからね。
たぶん日常の中で、何かを見る度にこれは使えると考えてると思うんですよね。
だから見てても納得するしね。
蛮:「ここなら、こう隠れるけどあそこが死角になるな」みたいな事を常に考えてたんじゃないかな。
それも、いい構図で。

秋本:そそ、いい構図!
確かにそうだよね。

■画の見せ方は特徴がありますね。
蛮:そう、決めの大事さっていうのは、これ(「ハードアクション&エロスの描き方」)を読むと分かるんですよね。
だからプロの漫画家にも薦めてて。
描いてると自分では足りないものはなかなか分からないけど、決めとか、カッチョエエっていうものであったりは、望月三起也のカッコよさ、本人のカッコよさも含めてこの本の中に入ってるんで、凄くいい本です。

秋本:カッコいいよねえ。
究極ですよね、全部が入ってるからね
蛮:後はカッコイイ男の子画集と、エッチな女の子画集が欲しいですね。
美女画集だと、私はデッサンの勉強とかは全然してなかったけど、むしろ望月三起也の描いてる女子のポーズが凄かったんで……

秋本:凄いよね、そういえばね。
蛮:ほんのちょっと足を立てて、手元とかこうだったりこうだったりで、どうなってるんだろうって。
全部が捻じれたようなポーズになってて。
だから女の子の方の模写を結構しました。
ポージングで手元とか、肩とか肩越しの手でも、こういうポーズは、どのデッサンの本にも載ってないものばかりで。
あり得ないポーズ取ってるじゃないですか、だいたい。

秋本:あーそうね。
普通はアクションものでも、劇画のアクションだともう王道を行ってるから、撃つのは正面に向かってで、撃たれた方はそのまま倒れるんだけど、三起也先生のは撃たれた倒れ方が物凄いんですよ。
こう押さえながら、こうよじって本当によじって倒れるから、凄く痛そうだし。
あ、人間だったらこうだろうなって。
銃の撃ち方も全然違うし。まっすぐじゃないし。
今だと斜めとかもあるけど、こう脇から撃ったりとか後ろ撃ったりとか。
それも振り向いて撃つんじゃなくて、このまま後ろにバンと撃ったりとか。
そこがリアルで。
先生も自分で書かれてるんですけど、アシスタントにその格好させて、描いてたらしいから。
実際に動いてみながら、銃のアクションはこうやって銃を持ってやるから、こうやるよりもこうだよな、といった感じで。
そういうのが全部、画に出てるんですよね。
女の人でも、これが一番色っぽいポーズ!とか。
だからさっきも言ったけれども、それをやってプラス構図がカッコイイっていうのがあって、下から見上げたり色々な角度から見たりね。
普段はそんなカメラワークないだろうって所からカメラ入れたりとか。
正面じゃなくて顔半分隠れてるんだけども、存在感があるとか。
あれが普通の映画のカメラの位置じゃないから変化があって凄く面白いですよね。
漫画ならではの全身の描き方ですね。
だからもう「俺のは絵コンテにはならないぞ」って。
さいとう(たかを)先生の場合は、さいとう先生も映画好きだから、もう「無用ノ介」は、あのままのカットワークで実写ができたくらいに映画のカメラワークなんですよ。
三起也先生の場合は、人間を見るならこの構図の方がカッコイイとか、こんなポーズを描きたいとか、カメラが随分いろんな所から来てるから立体的で「マトリックス」をそのままやってるような感じでね。
蛮:確かにカメラ位置が物凄いいっぱいありますよね。
地面を掘ったような所から映してるカットまであるから。

秋本: 普通は、上からとか目の位置とか真横だけど、必ず変化つけてまず真横は無いですもんね。
アオリでも半端なアオリじゃないから。
そういう点でも、これがいいだろうという独特のね。
蛮:構図とポーズ!!ですね。
秋本:ああ、カッコイイよね。
銃も普通に持つだけじゃなくて、構え方とか、ラフに持つ感じがね。
蛮:しかも、一つだけの動作じゃないんですよね、基本はね。
走ってる/持ってる/撃ってるって感じで、ただの立ちポーズではないっていうのがほとんどで。
それから、色使いです。
これもちょっと私は影響受けたんですけど、人の肌を必ず肌色で塗らなくてもいいんだっていうのが。
昔の美術絵画などで裸婦を描いててすごい綺麗な肌色のはずなのに影だけものすごい緑を入れたりする人がいたじゃないですか。
言ってみればその世界ですよね。

秋本:ああ、色ね。
蛮:こっちからライトが当たってるんだけど、こっちからは色パラのライトを当ててるっていう映り込み
秋本:こういうの描く人いないもんね。
だから白いものも絶対白く描かないですよね。
いろんな色を入れてるんですね。
水しぶきでも青入れたりオレンジ入れたりとか。
蛮:そうそう、なんか物凄い色を入れますよね。
秋本: あれ見てても、あー凄いなあって思う。
で、結局その方が臨場感があるし。
聞けば絶対「その方がカッコイイでしょ」って言うんだよね。全てが。


今回は、秋本先生、一本木先生が望月マンガから受けた影響について語っていただきましたが、さらにその事が分かるこんなイラストも。

これらは昨年の偲ぶ会で、申込用紙のメッセージ欄を使って秋本先生、一本木先生がそれぞれご家族や実行委員会に宛てて描かれたもので、今回特別に許可をいただき掲載となりました。
本邦初公開、これは超貴重!
ともにダイナミックな飛葉ちゃんが描かれ、書き文字まで思いっきり望月イズムに溢れるイラストは思わず息を呑むほど。

さらにヒートアップしていく望月三起也トークも、次回ついに【最終回】です。
最後までお見逃しなく!

第4回につづく



2017 年 6 月 7 日   固定リンク   |   トラックバック(2)


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