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作品紹介

第85回

千金のロード

執筆者:   2023 年 5 月 23 日

生原稿バージョン発売にあわせてeddy-sさんの筆がうなります。
密林の中で追い詰められていく過酷なミッションを描いたエピソードをご紹介

はじめに

「誘拐のおきて」を最後にワイルド7生原稿ver.の発売はもう無いのかと半ば諦めていたところに復刊ドットコムさんからワイルド7 1971 千金のロード/灰の砦 [生原稿ver.]発売という嬉しいお知らせが来ました。
実は「千金のロード」の作品紹介用の原稿を少しだけ書き始めていたのですが、途中で頓挫してそのままにしていたのでした……
今回の告知は私に原稿の続きを書けという神様からのお告げかと思い、また書き始めました。
それではご覧下さい。

第5話「千金のロード」
1960年から1970年代にかけて続いていたベトナム戦争を舞台に「ワイルド7」が活躍する話を描かれたのが、これからご紹介する「千金のロード」です。


冒頭、砲弾が飛び交う戦火の真っただ中をバイクで走るオヤブン。
何故オヤブンが日本から遠く離れたラオスの地をバイクで走っていたのか?
それは……草波隊長からの密命をおびてマリという女性を救出したワイルド7メンバー。
あとは日航機で日本に連れて帰るだけの簡単な仕事のはずだった。
しかし、米軍と南ベトナム軍が侵攻してきた為に空港が閉鎖され、お目当ての日航機は飛葉たちを置いてさっさと飛び立ってしまう……

残る手段は戦場を突っ切りベトナムのケサン基地からサイゴンに飛び日本に帰る作戦。
しかし、行く手には南北ベトナム軍にラオス軍、ベトコン、などの軍隊の他に、東南アジア一の殺人機関九竜会の魔の手が待ち構えている。
九竜会のメンバーはひとたび殺人指令が出たとたんに仕事よりも殺人を優先する怖い殺し屋集団。
しかも人数・性別・年齢もまったく不明の為、誰にも知られずに標的に近づいて目的を遂行する。
行く先々でジワリジワリと殺し屋の手はワイルド7たちの周辺に近づいてくる。
デカが……八百が……次々と敵の手に落ちる。
どうする飛葉?
はたして彼らは無事にマリを日本に連れて帰る事が出来るのか?
全編スリルとアクションの連続、そしてマリの素性は何なのか?


まず今回の一番のトピックスは「コンクリートゲリラ事件」で殉職した世界チャーシューの後釜として初登場した新人のテルデカでしょう。
テルは元サッカーの選手、視力には自信があると豪語する猛者。
一方のデカは警視庁で45年も勤め上げたベテランで、刑事としての勘は働くらしい。
新人にありがちなコミュニケーション不足によるスタンドプレーに走り、ワイルド7のチームワークを乱し、行く場所で度々皆をピンチに陥れていました。
気になったのはテルのヘルメットに他のメンバーと違うコブラのマークが施されていた事です。
「何か意味があるのかなぁ~」と期待していましたが、結局何もありませんでした…。

続いて、今回のウェポンですが、米軍のAH-1S(ヒューイコブラ)、旧ソ連のSU-100(ジューコフ)などが今回登場していますが、それよりも今回最強のウェポンが登場しました!!
そうです今回のゲストヒロインマリこそがワイルド7史上初の生きた最強のウェポンなのです!!
とにかく自由奔放、わがままし放題。荒くれ集団の集まりのワイルド7のメンバーでさえ手を焼くおてんば娘。
詳しくは望月マニ也の私が選ぶ望月ヒロインで語っていますので、そちらをご覧下さい。

あっ!ヒューイコブラは既に米軍の戦闘ヘリとしては現役を引退していますが、陸上自衛隊木更津駐屯地で第4対戦車ヘリコプター隊1個飛行隊(第1・計8機)として現役で活躍しています。
そうそう、和光市にあるりっくんランドの中にヒューイコブラが展示されていて、土日に行くとコックピットに座らせて貰えます。
SU-100(ジューコフ)は『狂い犬-マッドドッグ-』にも登場した事がある第二次大戦中の旧ソ連軍の主力戦車の一つです。
昔タミヤ(田宮模型)から発売されていたSU-100プラモデルには、ジューコフという名称が付けられていました。
これは、旧ソ連の軍人ゲオルギー・コンスタンチーノヴィチ・ジューコフから由来したものです。

もう一つウェポンではありませんが、途中から登場しラストまで活躍した蒸気機関車。
車輌名ははっきりとはわかりませんが、アメリカ開拓時代に活躍した古い車輌をラオスが購入したのだとすればアメリカ製と思われます。
型はちょっと違いますが今でもこのタイプの蒸気機関車を見る事が出来る場所が関東にあります。
そうです、皆さんが大好きなTDLのアドベンチャーランドから出発しているウエスタンリバー鉄道です。
飛葉の気分を味わいたい時はTDLに行きましょう!(笑)

最後に少年キング初掲載時にはこんなお遊びが。
第1回の少年キング表紙で飛葉が誰かを狙撃している。
表紙を開くと扉絵でそこには撃たれて苦しそうな望月先生が「飛葉、おまえにも同じ苦しみを与えてやる」と告げて本作は始まったのでした。

もう一つ、ワイルド7の新メンバーとして加入したゲリラハンターのユキの訓練中と思われる扉絵が一度だけありました。次の爆破105の扉絵や少年キングの表紙に登場し、黄金の新幹線でめでたくデビューしました。
チャンチャン!


生原稿ver.併載「灰のとりで」の紹介は、いずれ機会を改めて……



望月先生のコメント
発売中の【ワイルド7 1971 千金のロード/灰の砦 [生原稿ver.]】はカラーページが豊富で非常に見応えがあります。
何度読み返してもスリリングな展開にグイグイ引き込まれていくので、今回eddy-sさんが書きかけだったこの原稿を思わず書き上げてしまった!というのもうなずけます。

そんなeddy-sさんが選んだ最強のウェポンが、ゲストヒロインとして登場したマリだったのは予想外でした。
破壊力抜群でしたね。

いつも投稿ありがとうございます。
次も期待しています。
(事務局/yazy)

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