世界で最も有名な諜報機関は?・・・・・
CIA? MOSSAD? MI6? DST? それとも旧KGBか現SVR? もしかしてU.N.C.L.E.?
では、世界で最も有名な諜報員は?・・・・・
マタ・ハリ? ラインハルト・ゲーレン? シドニー・ライニー? それとも007のモデルと言われるデシャン・ポポフ? もしかしてナポレオン・ソロ?
私にとってどれも正解ではない、まったくカスリもしない。
『J機関』に所属する『飛鳥次郎』。これが正解。
『秘密探偵JA』・・・・・ 言わずと知れた望月三起也先生作、超の付く代表作である。そして私にとって人生を全く別の世界へと誘うこととなる大切なシリーズで、中でもその第5話となる『赤い天使』編は全てのスタートとなった一編。やはりこの『秘密探偵JA・赤い天使』を語るのは私だ!と褌を締めた次第、ご容赦。
と意気込んだはいいが、さて何を書きましょう、何を語りましょう、余りに思い入れが強過ぎてこれまでの「作品紹介」のように冷静にご紹介できそうにない。「ままよ!」と今回は私が若かりし頃、夢中になった“想い”を徒然に書かせていただこうか、と思っている。
多分、いや必ず「望月マニ也」と被るな・・・・・ ご容赦。
1965年「週刊少年キング(少年画報社)」第1号より連載の始まった望月作品を代表する名作。連載開始当時はI・フレミング原作のスパイ映画「007ジェームス・ボンド」シリーズが世界的な大ヒットとなっていた頃でもあり、各国あらゆるメディアに於いて諜報(スパイ)ものが発表されていた。タイトルは「探偵」と謳っているものの、これも例外なくその流れを汲むものだったのだろうと推測するのだが、その後の連載展開はそんな編集部、読者の思惑を軽く凌駕する傑作へと成長していった。
シリーズの設定詳細などは過去「作品紹介」欄に於いて杏藤知樹氏が記述くださっているので、そちらを参照していただくということで割愛させていただく。
―― 秘密探偵JA 赤い天使 ――
『赤い天使』と呼ばれる国際的ギャング組織の本拠地・ルシアン国。そこの国立科学研究所の奥深くに秘匿され、世界を支配できるといわれるあるものの設計図。その設計図を「赤い天使」から盗み出す指令を受けたJA飛鳥次郎だが、その研究所の出入りは突破不可能な強固なシステムによって守られているうえ、未だかつて潜入した諜報員が生還した過去もない。いかにしてJA次郎はこの任務を完遂させるのか、次々に舞い起こる想定外のトラブルに次郎はどう対処するのか。精鋭ルシアン国秘密警察との攻防は・・・・・
私まだ純粋無垢な中学生、当時の「キングコミックス(少年画報社)」秘密探偵JA第6巻『赤い天使』は偶然私の元へと里子に出された。友人から譲り受けた、有償で・・・・・それまで漫画を是としなかった家庭環境で育ってきた私にとって作品名どころか作家名も気にしたことなどなかった。師の作品も、きっとどこかで目にはしていたのかもしれないが意識の外にあり、ほぼ初見であったと言ってもいい。
驚いた!
おもしろい!なんて在り来たりの形容などで表現できないほどの感動で、驚愕だったといっていい。
テンポの良さに意外性たっぷりのストーリー展開、まるで映画(映像)を観るような構図と構成。銃器などの精密描写に、スパイものの定番であろう架空兵器の高度な創造性とどれをとっても他の追随を許さぬほどのクオリティが凝縮されていたのだ。
手にしたその日だけで一体何度読み返しただろうか?読んでも読んでも飽きがこない、ここまで来るともう理屈ではない、とにかく自分の求めるエンターテイメントが総てそこに存在していたのだろう。誇張なく毎日ページを捲っていた。
これがまた面白いもので、ストーリーやネーム(台詞)は繰り返し読むことで完璧に頭に入っている。だからしてネームを追うことは次第になくなってくる。では何をしているのかと言えば、端々・・・・ つまりバックの描き込みやペンの使い方、コマの割り方、フキダシの作り方、映画として見た場合のカメラ位置、はては他作家とコマ罫の太さの比較をしてみたりと・・・・ まァヲタク極まりない重箱のスミを突くような見方となっていくのだ。
そして気がついたこと、
そのペン使いのなんと大胆で柔軟なことか、流れるようなペンの動きが見えてくる。指先から放たれる強弱が見事なまでに絵にアクセントを与えている。確かなデッサン力という裏付けのある画力に生命を吹き込み、まるでアニメーションのように読者の脳内で躍動する。
これほど『動く漫画』がかつて存在しただろうか。絶えず変化していく構図と相まって、それは一級の映画のようなダイナミズムを構成している。
フキダシは極力大き過ぎないように配慮され、描き文字(擬音)と共に全体の構図の流れとして重要な役割を与えられている。
コマ割り自体は非常にシンプルな漫画創世記に創造された基本であるヨコ4コマ、タテ4コマ、計16コマを踏襲し、タテのみ4分割の中で構成されているという、決して奇を衒ったことはしていない。だからか、なんとも判りやすくそして視認しやすく読みやすい。絶えず変化する三次元構図を駆使することで、他では味わえない迫力を体感できる。
そう、映画のスクリーンというものは終始横の長方形で在り続けているではないか、カメラのアングルと編集の妙で見せている。不必要なまでの奇の衒いは必要ないのだと教わった。
そしてこれ以降、私の望月作品収集が始まるのだが、第1話から第4話を読破して思ったのは、この「赤い天使」が『秘密探偵JA』シリーズの本格スパイものとしての最初の一作だったと感じた。第1話から第4話までのそれよりも遥かにスケールアップし、敵地潜入という、まさに本格スパイアクションとしての顔をみせてくれている。人気、話題、ブームの火付けである007シリーズと全く遜色のない面白さを提供してくれていたのだ。
007のアストンマーチンよろしく、今回の任務遂行のためにJ機関から与えられた数々の秘密兵器を内臓し時速200Km以上で走行可能なTV中継車に戦闘ユニフォームなど、ワクワクドキドキのアイテムに、主人公次郎の知力と体力が加味されて物語りは進行していくのだが、情報機関員なのに人間味タップリな主人公にやはり感情移入してしまい、それは我々読者と一体になって物語を構築していくエッセンスとなるのだ。
また作品中に初登場となる「非常出動班」通称『ドブねずみ』は素晴らしいアイデアで、都市の地下を縦横に走る下水道を、一人乗りの小型水上艇で目的地までノンストップ、時速200Kmで滑るように疾駆することが出来る。この有り得ない設定のリアル感は強烈に意識に残っている。
とにかく飽きることがない。
飽きない要因のひとつがその面白さにあることは大前提であることは必至だが、私には気付いた部分がある。それは構図の多彩さと同時に、似た構図が一冊の中に二度出てこないことだ。
各作家には得意とする構図やポーズがあるもので、中にはまるでコピーしたかのような絵が何度も描かれていたりするのだが、師の作品にそれを探すのはかなりの困難を要する。
この部分は“飽きがこない”大切な要因であろう。まさに「動く漫画」の面目躍如だ。
作戦遂行のため敵地に乗り込んだ仲間との危機を乗り越える機転、友情、少しばかりのお笑いと少年漫画の王道を行く。
そうして物語はラストへ向う、泣けるラストが待っている。
苦楽を共に任務にあたってきたJ機関の仲間である「シャチ」が敵秘密警察のジム・キラー大尉の手にかかり一命を落としてしまう。JA次郎の任務完了を願い、後を託して・・・・・シャチ救出に間に合わなかった次郎とジム・キラー大尉の銃弾が交錯する、闇に咆哮する銃声・・・・・
私にとって最大の見せ場だったシーン、このシーンを何度似顔絵として描いたか判らない、何度も何度も描いた。この時から私は漫画を描くという面白さにはまってしまったのだ。
気がつくと漫画描きの虜になっていた。
気がつくと漫画で喰って行ければと考えていた。
望月三起也、この人と同じような漫画で人を楽しませたいと思っていた。
そして、この人と同じ空の空気を吸いたいと弟子入り志願をしてしまった・・・・・ 身の程知らずである。
師には申し訳ない想いで一杯である、弟子一同の末席を汚してしまった。
しかし、これほど己を左右させられたものに出会えた私は幸せ者だと思う。師には申し訳ないが、私は幸せなのだから許して貰おう。だって作家は読者を楽しませ幸せにするのが仕事だろうから(笑)。
私は充分に楽しんだし、今も楽しみ続けているのだから。
やはりこれまでの「作品紹介」とは違った切り口になってしまった・・・・・
申し訳ない、前述したようにどうも冷静に作品紹介ができない、思い入れが強すぎる。「面白い」「面白かった」と同じような言葉の羅列となっている。検証が出来ていない(苦笑)。
読んでくださった皆さん、ごめんなさい。私的日記な内容に憤然とした方、ごめんなさい。
今回は異端、こんな感じで(笑)。
と、ここでまたいつものように、先生に言わせれば「いらない」コーナー(苦笑)、重箱のすみを突かせていただこうと思う。
まずPicture Aだが、いかに当時は資料不足だったのかが伺える1コマだろう。ダブルアクション・リボルバー(グリップのエンブレムからSWチーフススペシャルだろうと思われる)のシリンダーが右側へスイングアウトするという珍妙なシステムが描かれている。秘密探偵JAでは他シーンでも同様の描写が数度あり、これは多分西部劇でおなじみのCOLT SAAが右側から弾丸を装填、排莢、そしてシリンダーの取り外しをすることから、その見慣れた西部劇からイメージ、想像したのではないだろうか?と推察している。
どうであっても銃のシステムを描きたい!という先生の執念と心意気が伝わってくるようで、逆に感服している私である。
そしてPicture B、描き文字(擬音)の柄に注目していただきたい。
後々望月三起也とカエルぷろの代名詞的描き込み柄となる、通称『タイヨー』と呼ばれる柄が、すでにここで登場している。
先日、少年画報社がヤングキング誌上で企画した「ワイルド7 トリビュート」でも、東本先生などがしっかり描き文字に描き込んでいたのは記憶に新しい、マニアならば誰もが知っているスタンダードな柄、歴史のある柄なのだ(笑)
『秘密探偵JA』 (雑誌掲載時は「ひみつ探偵JA」と平仮名タイトル)
1965年 少年キング(少年画報社)1号~1969年34号
第5話「赤い天使」1966年同誌16号~35号
1967年~ キングコミックス(少年画報社)
1972年 キングコミックス新版(少年画報社)
1976年 ヒットコミックス(少年画報社)
1982年 秋田漫画文庫(秋田書店)
1992年 スターコミックス(大都社)
2000年 漫画文庫(ホーム社)
2009年 コミック文庫(ぶんか社)
(現刊行中の「ぶんか社コミック文庫」版は初の完全版、過去未収録ページ収録、
ページネーションの正確再現とマニア待望版である)
2010.6.アスカ記
CIA? MOSSAD? MI6? DST? それとも旧KGBか現SVR? もしかしてU.N.C.L.E.?
では、世界で最も有名な諜報員は?・・・・・
マタ・ハリ? ラインハルト・ゲーレン? シドニー・ライニー? それとも007のモデルと言われるデシャン・ポポフ? もしかしてナポレオン・ソロ?
私にとってどれも正解ではない、まったくカスリもしない。
『J機関』に所属する『飛鳥次郎』。これが正解。
『秘密探偵JA』・・・・・ 言わずと知れた望月三起也先生作、超の付く代表作である。そして私にとって人生を全く別の世界へと誘うこととなる大切なシリーズで、中でもその第5話となる『赤い天使』編は全てのスタートとなった一編。やはりこの『秘密探偵JA・赤い天使』を語るのは私だ!と褌を締めた次第、ご容赦。
と意気込んだはいいが、さて何を書きましょう、何を語りましょう、余りに思い入れが強過ぎてこれまでの「作品紹介」のように冷静にご紹介できそうにない。「ままよ!」と今回は私が若かりし頃、夢中になった“想い”を徒然に書かせていただこうか、と思っている。
多分、いや必ず「望月マニ也」と被るな・・・・・ ご容赦。
1965年「週刊少年キング(少年画報社)」第1号より連載の始まった望月作品を代表する名作。連載開始当時はI・フレミング原作のスパイ映画「007ジェームス・ボンド」シリーズが世界的な大ヒットとなっていた頃でもあり、各国あらゆるメディアに於いて諜報(スパイ)ものが発表されていた。タイトルは「探偵」と謳っているものの、これも例外なくその流れを汲むものだったのだろうと推測するのだが、その後の連載展開はそんな編集部、読者の思惑を軽く凌駕する傑作へと成長していった。
シリーズの設定詳細などは過去「作品紹介」欄に於いて杏藤知樹氏が記述くださっているので、そちらを参照していただくということで割愛させていただく。
―― 秘密探偵JA 赤い天使 ――
『赤い天使』と呼ばれる国際的ギャング組織の本拠地・ルシアン国。そこの国立科学研究所の奥深くに秘匿され、世界を支配できるといわれるあるものの設計図。その設計図を「赤い天使」から盗み出す指令を受けたJA飛鳥次郎だが、その研究所の出入りは突破不可能な強固なシステムによって守られているうえ、未だかつて潜入した諜報員が生還した過去もない。いかにしてJA次郎はこの任務を完遂させるのか、次々に舞い起こる想定外のトラブルに次郎はどう対処するのか。精鋭ルシアン国秘密警察との攻防は・・・・・
私まだ純粋無垢な中学生、当時の「キングコミックス(少年画報社)」秘密探偵JA第6巻『赤い天使』は偶然私の元へと里子に出された。友人から譲り受けた、有償で・・・・・それまで漫画を是としなかった家庭環境で育ってきた私にとって作品名どころか作家名も気にしたことなどなかった。師の作品も、きっとどこかで目にはしていたのかもしれないが意識の外にあり、ほぼ初見であったと言ってもいい。
驚いた!
おもしろい!なんて在り来たりの形容などで表現できないほどの感動で、驚愕だったといっていい。
テンポの良さに意外性たっぷりのストーリー展開、まるで映画(映像)を観るような構図と構成。銃器などの精密描写に、スパイものの定番であろう架空兵器の高度な創造性とどれをとっても他の追随を許さぬほどのクオリティが凝縮されていたのだ。
手にしたその日だけで一体何度読み返しただろうか?読んでも読んでも飽きがこない、ここまで来るともう理屈ではない、とにかく自分の求めるエンターテイメントが総てそこに存在していたのだろう。誇張なく毎日ページを捲っていた。
これがまた面白いもので、ストーリーやネーム(台詞)は繰り返し読むことで完璧に頭に入っている。だからしてネームを追うことは次第になくなってくる。では何をしているのかと言えば、端々・・・・ つまりバックの描き込みやペンの使い方、コマの割り方、フキダシの作り方、映画として見た場合のカメラ位置、はては他作家とコマ罫の太さの比較をしてみたりと・・・・ まァヲタク極まりない重箱のスミを突くような見方となっていくのだ。
そして気がついたこと、
そのペン使いのなんと大胆で柔軟なことか、流れるようなペンの動きが見えてくる。指先から放たれる強弱が見事なまでに絵にアクセントを与えている。確かなデッサン力という裏付けのある画力に生命を吹き込み、まるでアニメーションのように読者の脳内で躍動する。
これほど『動く漫画』がかつて存在しただろうか。絶えず変化していく構図と相まって、それは一級の映画のようなダイナミズムを構成している。
フキダシは極力大き過ぎないように配慮され、描き文字(擬音)と共に全体の構図の流れとして重要な役割を与えられている。
コマ割り自体は非常にシンプルな漫画創世記に創造された基本であるヨコ4コマ、タテ4コマ、計16コマを踏襲し、タテのみ4分割の中で構成されているという、決して奇を衒ったことはしていない。だからか、なんとも判りやすくそして視認しやすく読みやすい。絶えず変化する三次元構図を駆使することで、他では味わえない迫力を体感できる。
そう、映画のスクリーンというものは終始横の長方形で在り続けているではないか、カメラのアングルと編集の妙で見せている。不必要なまでの奇の衒いは必要ないのだと教わった。
そしてこれ以降、私の望月作品収集が始まるのだが、第1話から第4話を読破して思ったのは、この「赤い天使」が『秘密探偵JA』シリーズの本格スパイものとしての最初の一作だったと感じた。第1話から第4話までのそれよりも遥かにスケールアップし、敵地潜入という、まさに本格スパイアクションとしての顔をみせてくれている。人気、話題、ブームの火付けである007シリーズと全く遜色のない面白さを提供してくれていたのだ。
007のアストンマーチンよろしく、今回の任務遂行のためにJ機関から与えられた数々の秘密兵器を内臓し時速200Km以上で走行可能なTV中継車に戦闘ユニフォームなど、ワクワクドキドキのアイテムに、主人公次郎の知力と体力が加味されて物語りは進行していくのだが、情報機関員なのに人間味タップリな主人公にやはり感情移入してしまい、それは我々読者と一体になって物語を構築していくエッセンスとなるのだ。
また作品中に初登場となる「非常出動班」通称『ドブねずみ』は素晴らしいアイデアで、都市の地下を縦横に走る下水道を、一人乗りの小型水上艇で目的地までノンストップ、時速200Kmで滑るように疾駆することが出来る。この有り得ない設定のリアル感は強烈に意識に残っている。
とにかく飽きることがない。
飽きない要因のひとつがその面白さにあることは大前提であることは必至だが、私には気付いた部分がある。それは構図の多彩さと同時に、似た構図が一冊の中に二度出てこないことだ。
各作家には得意とする構図やポーズがあるもので、中にはまるでコピーしたかのような絵が何度も描かれていたりするのだが、師の作品にそれを探すのはかなりの困難を要する。
この部分は“飽きがこない”大切な要因であろう。まさに「動く漫画」の面目躍如だ。
作戦遂行のため敵地に乗り込んだ仲間との危機を乗り越える機転、友情、少しばかりのお笑いと少年漫画の王道を行く。
そうして物語はラストへ向う、泣けるラストが待っている。
苦楽を共に任務にあたってきたJ機関の仲間である「シャチ」が敵秘密警察のジム・キラー大尉の手にかかり一命を落としてしまう。JA次郎の任務完了を願い、後を託して・・・・・シャチ救出に間に合わなかった次郎とジム・キラー大尉の銃弾が交錯する、闇に咆哮する銃声・・・・・
私にとって最大の見せ場だったシーン、このシーンを何度似顔絵として描いたか判らない、何度も何度も描いた。この時から私は漫画を描くという面白さにはまってしまったのだ。
気がつくと漫画描きの虜になっていた。
気がつくと漫画で喰って行ければと考えていた。
望月三起也、この人と同じような漫画で人を楽しませたいと思っていた。
そして、この人と同じ空の空気を吸いたいと弟子入り志願をしてしまった・・・・・ 身の程知らずである。
師には申し訳ない想いで一杯である、弟子一同の末席を汚してしまった。
しかし、これほど己を左右させられたものに出会えた私は幸せ者だと思う。師には申し訳ないが、私は幸せなのだから許して貰おう。だって作家は読者を楽しませ幸せにするのが仕事だろうから(笑)。
私は充分に楽しんだし、今も楽しみ続けているのだから。
やはりこれまでの「作品紹介」とは違った切り口になってしまった・・・・・
申し訳ない、前述したようにどうも冷静に作品紹介ができない、思い入れが強すぎる。「面白い」「面白かった」と同じような言葉の羅列となっている。検証が出来ていない(苦笑)。
読んでくださった皆さん、ごめんなさい。私的日記な内容に憤然とした方、ごめんなさい。
今回は異端、こんな感じで(笑)。
と、ここでまたいつものように、先生に言わせれば「いらない」コーナー(苦笑)、重箱のすみを突かせていただこうと思う。
まずPicture Aだが、いかに当時は資料不足だったのかが伺える1コマだろう。ダブルアクション・リボルバー(グリップのエンブレムからSWチーフススペシャルだろうと思われる)のシリンダーが右側へスイングアウトするという珍妙なシステムが描かれている。秘密探偵JAでは他シーンでも同様の描写が数度あり、これは多分西部劇でおなじみのCOLT SAAが右側から弾丸を装填、排莢、そしてシリンダーの取り外しをすることから、その見慣れた西部劇からイメージ、想像したのではないだろうか?と推察している。
どうであっても銃のシステムを描きたい!という先生の執念と心意気が伝わってくるようで、逆に感服している私である。
そしてPicture B、描き文字(擬音)の柄に注目していただきたい。
後々望月三起也とカエルぷろの代名詞的描き込み柄となる、通称『タイヨー』と呼ばれる柄が、すでにここで登場している。
先日、少年画報社がヤングキング誌上で企画した「ワイルド7 トリビュート」でも、東本先生などがしっかり描き文字に描き込んでいたのは記憶に新しい、マニアならば誰もが知っているスタンダードな柄、歴史のある柄なのだ(笑)
『秘密探偵JA』 (雑誌掲載時は「ひみつ探偵JA」と平仮名タイトル)
1965年 少年キング(少年画報社)1号~1969年34号
第5話「赤い天使」1966年同誌16号~35号
1967年~ キングコミックス(少年画報社)
1972年 キングコミックス新版(少年画報社)
1976年 ヒットコミックス(少年画報社)
1982年 秋田漫画文庫(秋田書店)
1992年 スターコミックス(大都社)
2000年 漫画文庫(ホーム社)
2009年 コミック文庫(ぶんか社)
(現刊行中の「ぶんか社コミック文庫」版は初の完全版、過去未収録ページ収録、
ページネーションの正確再現とマニア待望版である)
2010.6.アスカ記
JUN さんのプロフィール
【望月三起也先生より】
どんな内容だったかな?・・・・・・ すっかり忘れています。 いつものセリフですが、先は考え続けても後ろは過去、過去は昨日。それは忘れる努力してます。いいことも悪いことも引き摺りたくない。
だから「昔は良かった・・・・・」なんて会話で酒呑んで盛り上がるオッサンの仲間には入りたくないのです。
常に先、未来には夢があるでしょ。
でも変です、本当は夢って眠っている間に見るもの。ってことは、それって過去なのにね。だから未来は夢じゃなく、現実可能な設計図でしょ。
そういう図を想い描く楽しさ、脳が小さい私なんて過去とか記憶とかにそのスペースを取られたら、将来の図は描けなくなるんです。 なんてこと言って記憶力の悪さのいい訳にする訳。
ほんと、子供の頃から人の名前を覚えるのが苦手、たまに名刺を整理していて、名前から顔が浮かぶのは半分だもんね。
食べることが大好きで色々な店に行きます。これまた気に入ってまた行こうとした時、店名が頭に浮かばない、電話で予約を取れないって致命的だね。
そういう訳で今回もまた、この作品のコメントするため本を引っ張り出す始末。集英社文庫版(※)、10年前のものを改めて読んでウケました。
忘れているから先が読めない、「こういうオチ、ここで伏線を張るわけ・・・・」なんて他人事のように感心したりして。中でも一番おもしろかったのが清水圭ちゃんのあとがきだったりする訳。
彼のコメントだと私、変なサッカー好きおじさんなんだねぇ。
ファンの方々から褒められてもやっぱり過去の作品は拙いところばかりが目に付いて、ストーリーは、まァ新鮮でも絵がねぇ、いまいち。
現実のシトロエン等、クルマはかなり凝ってはいても、TVの中継カーなんてもう少し洒落てデザイン出来なかったのかね、とか、かなり辛いものがあります。いつも思うのですよ、描き直したいってね。
まァまァ評価できるのは活劇シーンでしょうか。ペンタッチ少ないわりに一応迫力出てるかな?
ほとんど評論家になっちまってます。
ま、これはと思えるのは悪役側のキャラクター、適役も一枚岩ではなく反目したり。
今ではちょっと描けないのはオンブってキャラクター。私の娘が丁度そんな歳で似たような性格をしてたってこともあり、描きやすかったんでしょうねぇ。
というところでしょうか。
本当にいつも過去の作品コメント、困ります(笑)。
※ホーム社刊漫画文庫。(ホーム社は集英社関連会社)
どんな内容だったかな?・・・・・・ すっかり忘れています。 いつものセリフですが、先は考え続けても後ろは過去、過去は昨日。それは忘れる努力してます。いいことも悪いことも引き摺りたくない。
だから「昔は良かった・・・・・」なんて会話で酒呑んで盛り上がるオッサンの仲間には入りたくないのです。
常に先、未来には夢があるでしょ。
でも変です、本当は夢って眠っている間に見るもの。ってことは、それって過去なのにね。だから未来は夢じゃなく、現実可能な設計図でしょ。
そういう図を想い描く楽しさ、脳が小さい私なんて過去とか記憶とかにそのスペースを取られたら、将来の図は描けなくなるんです。 なんてこと言って記憶力の悪さのいい訳にする訳。
ほんと、子供の頃から人の名前を覚えるのが苦手、たまに名刺を整理していて、名前から顔が浮かぶのは半分だもんね。
食べることが大好きで色々な店に行きます。これまた気に入ってまた行こうとした時、店名が頭に浮かばない、電話で予約を取れないって致命的だね。
そういう訳で今回もまた、この作品のコメントするため本を引っ張り出す始末。集英社文庫版(※)、10年前のものを改めて読んでウケました。
忘れているから先が読めない、「こういうオチ、ここで伏線を張るわけ・・・・」なんて他人事のように感心したりして。中でも一番おもしろかったのが清水圭ちゃんのあとがきだったりする訳。
彼のコメントだと私、変なサッカー好きおじさんなんだねぇ。
ファンの方々から褒められてもやっぱり過去の作品は拙いところばかりが目に付いて、ストーリーは、まァ新鮮でも絵がねぇ、いまいち。
現実のシトロエン等、クルマはかなり凝ってはいても、TVの中継カーなんてもう少し洒落てデザイン出来なかったのかね、とか、かなり辛いものがあります。いつも思うのですよ、描き直したいってね。
まァまァ評価できるのは活劇シーンでしょうか。ペンタッチ少ないわりに一応迫力出てるかな?
ほとんど評論家になっちまってます。
ま、これはと思えるのは悪役側のキャラクター、適役も一枚岩ではなく反目したり。
今ではちょっと描けないのはオンブってキャラクター。私の娘が丁度そんな歳で似たような性格をしてたってこともあり、描きやすかったんでしょうねぇ。
というところでしょうか。
本当にいつも過去の作品コメント、困ります(笑)。
※ホーム社刊漫画文庫。(ホーム社は集英社関連会社)
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2010/06/05 at 12:18 AM
いいじゃない、JUNサン!! あなたの記事、 これこそ、泣けるお話しで、私、じんときました。秘密探偵JAは本当にいい作品ですね。大好きです。 JUNサンも私も似たような漫画の読みかたをしていて、私、笑ってしまいました。そうなの、お互い視覚人間なのでしょう、絵を見始めるの。それも、JUNサン同様、背景、小道具、視点の位置、絵の流れ=読者の視点の変化、等々、を見始めました。 もし、かきまちがってたり、ベタが抜けてたり、いいかげんな事してると、見つけて喜んでました。また、まんがの中の冗談てあるじゃないですか、 はははは、そういえば、ドブネズミのコマに空缶が浮んでた(*アレはマジでもいいでしょうネ)。 銃は全然分かりません。JUNさん、本当に詳しいんですね。感嘆!!
また、先生の返事がとてもいいですね。私、大好きです。過去じゃなくってね、今と未来が問題なの。それと、とても謙虚な先生の人柄を感じて、 またまた、 "じん" ときました。
OK, 夢に向かって、行きましょうネ!!
Cheers, wink, wink,
Sadami
2010/06/05 at 3:51 AM
ぶんか社様の文庫で「帰ってきたガンマン」を初めて見たときは「おお!兄貴も大佐も、元気でやってるじゃない!」と感動。
2010/06/06 at 6:51 PM
でも拙いまでも誰かが先生の傑作をみなさんにお伝えしたい、ご紹介したい、
出来ることならばみなさんに手にしてもらい、楽しんでいただきたい。
どこまでその面白さがお伝えできるか、出来ているかは甚だ曖昧ですが、
Sadamiさんやhydekさんに、こうやって言葉をいただくと、
なんとか少しくらいはどうにかなっているのかな? などと思っています。
ありがとうございます。
Sadamiさん、私Gunに関して本当はそんなに詳しくはないんですよ。
正真正銘マニアの方々には、とてもじゃないですが叶いません、はったりです(笑)
ただ「絵」として描く場合に関しては一過言あります。
勿論 望月三起也先生享受の一過言でっすが(爆)。
hydekさん、素晴らしい記事だなんてとんでもないっす(内心喜んでいたりして 笑)。
そうなんです、リアルタイムでは接してないのですが、次郎は私にとって永遠のヒーローなんですねぇ、
と言うより、彼がいて私がいる・・・・ のかもしれません。
それほどの作品でしたから、「帰ってきたガンマン」が別冊少年キングで掲載されたときにゃ、舞い上がってしまった記憶がありますねぇ(爆)。
Judas PriestのボーカルにR・ハルフォードが復帰してきたときと同じですか?(笑)
(解かりませんよね 笑)