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作品紹介

第50回

緑の墓

執筆者:   2013 年 1 月 12 日

囚われた仲間たちを救出するために、あのキャラクターが活躍する!砦に攻め込む迫力は、シリーズ屈指の盛り上がりをみせるエピソードです。

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「緑の墓」は、私にとっては『ワイルド7』のファンになるきっかけとなった、
忘れられない作品です。

とにかく、当時としてはストーリーも斬新で見る者を魅了し、『ワイルド7』の中
では長編でありながら、あっという間に一気に読み終えてしまうほどの大傑作
です。詳しくは「望月マニ也」の『ワイルド7の虜』をご参照ください。

特にドイツの軍用車両はほぼ総出演ではないのかと言っても過言ではない
ほど、数多くのミリタリーウエポンが登場します。

当時ミリタリープラモデルに嵌っていた私にはもう夢のような展開でした。

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まずトップバッターで登場したのは、三号戦車。タミヤのこのプラモデルを当時買って持っていましたねぇ~。三号戦車は第二次世界大戦のドイツの中戦車で、大戦中盤(1941 – 1942年頃)までドイツ戦車隊の主力でした。制式番号は Sd.Kfz.141~141/2。ちなみに、『鉄血二代』にも登場しています。

続いて・・・・・ と、今回はあまりにも多すぎるので、いちいち説明していると日が暮れてしまいそうなので、登場順に名前だけ羅列します。

三号戦車、UH-1イロコイス、三号突撃砲戦車、ハノマーク装甲兵員輸送車、装甲偵察車、プーマ重装甲車、ヴェスペ自走榴弾砲、8輪重裝甲車、 マーダーIII対戦車自走砲、8.8cm18式高射砲(自走砲架)搭載18トンハーフトラック、ヘッツァー38式軽駆逐戦車・・・・・ etc


これの何が凄いって、1972年連載当時は資料なんてほとんどなかったはずですよ、よくまぁこれだけの戦車を克明に描かれたものだと毎度のことながら、本当に望月先生および制作当時のスタッフたちには脱帽です。作画ご苦労様でした。


ちょっと脇道に逸れますが、話中に「ボービントン」という名前が出てきます。
これは、戦車発祥のイギリスの南部ドーセット州にある「ボービントン戦車博物館」のことです。世界で最も戦車と戦闘車輛のコレクションがある博物館で、コレクションの中には唯一稼働するドイツ軍の「ティーガーI」が入っています。私も一生の内に一度は行ってみたいと思っている場所です。なかなか海外になんか行けないという人もいらっしゃると思いますが、そんな方に朗報です。
日本にもいくつか戦車を展示しているところがあります。

有名なところとしては茨城県の土浦にある「陸上自衛隊 土浦駐屯地武器学校」ですかね。数は「ボービントン」に比べると少ないですが、自衛隊で活躍したアメリカ軍払い下げのシャーマンやブルドッグなどが展示されていたり、何と言ってもここには、望月先生が『バサラ戦車隊』を描くにあたって取材に行かれて、実際に搭乗もされた「八九式戦車」があるところです。私も一昨年、毎年10月に開催される「土浦駐屯地59周年開設記念行事」に行きまして、動く「八九式戦車」を見てきました。他にも「開設記念行事」の時には武器庫を一般開放して見る事が出来ます。都内にお住まいの方なら「靖国神社」の「遊就館」には、ゼロ戦52式が展示されています。さらに有料で色々な戦車や軍用機、資料等も見る事が出来ます。おっとっと、だいぶ話が脱線してしまいました。
さて、ミリタリーウエポンにも目を奪われますが、今回は「オヤブン」に注目。前作『黄金の新幹線』のエピローグから登場し、たまたま護送する囚人の中に昔の大恩人がいる事を知り、さすが元やくざの大親分、リーダーシップを発揮して大計画を企てます。しかも、オヤブンの乗るスズキハスラーTS250には、実は秘密兵器が搭載されている事も判明する・・・・・。

いつもはどちらかというと三枚目の役が多かった「オヤブン」の一世一代の晴れ舞台の展開でした。というように、ほぼ全編に渡り「オヤブン」がメインでお話は進みますが、最後の最後にやっぱり、我らが飛葉ちゃんにおいしいところ全部持って行かれちゃいましたねぇ~。(苦笑)


飛葉ちゃんは今回、肉体的にも精神的にも大ピンチシーンがあるにも関わらず不屈の精神力で乗り切り、その活躍ぶりは野獣そのもの。ふと感じたのは、「緑の墓」という閉ざされた空間の中で、悪と対決する展開はまんま「ダイハード」じゃないか!しかもこっちの方が発表されたのは十数年も前。やっぱ望月先生ステキ!と、ユキが言ってそう。(笑)

その「ユキ」も話の冒頭と最後にしっかり登場して、存在感をアピールしてました・・・・・。(やっぱユキ素敵!(苦笑))




今回のゲストキャラクターも個性的な人たちが大勢登場してます。

現代風でいえばニューハーフ?のテロリスト紅軍団の石川。
「緑の墓」山南看守総長。(新選組の総長から取った名前か?)
「緑の墓」看守総長補佐。(神経質そうな大学院でのインテリ。)
看守の安田。(サディスティックな性格の持ち主。)
腹黒い昔風の大臣。(たぶん通産大臣かな?)


さて、ここであらすじを簡単にご紹介しますと、今回の任務は、重要囚人を私設刑務所「緑の墓」まで護送する事。しかも途中で囚人の仲間が奪回する計画があるという情報もあり、慎重に護送をするワイルド7のメンバー。案の定、途中で護送を阻止する一団の襲撃に遭う。飛葉の機転でなんとか危機を脱し、無事緑の墓まで護送の任務を完了としたその時…、なぜか看守たちに取り押さえられる飛葉達。いったい何が起きたのか・・・・・?

「学生運動」や「三億円事件」もちらっと登場して、時代設定にリアル感が出てました。
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『ワイルド7(第9話)緑の墓』

1973年 ヒットコミックス(少年画報社)14巻(前編)
(3月1日初版発行)

1973年 ヒットコミックス(少年画報社)15巻(中編)
(5月1日初版発行)

1973年 ヒットコミックス(少年画報社)16巻(後編)
(6月15日初版発行)

2008年 ぶんか社コミック文庫(ぶんか社)8巻(前編)/1月20日初版発行
2008年 ぶんか社コミック文庫(ぶんか社)9巻(後編)/1月20日初版発行

(初出版と最新版以外は割愛しています。)

『eBookJapan』でも購読可能です。コチラまで。

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望月先生のコメント

『緑の墓』・・・・・ ですか、もうすっかり忘れてるんで読み直してみました。
久々、何十年ぶりですから、先の展開が自分でも読めません。
「ふーん、なるほど・・・」
「ここであの伏線生かして、ア~、こう思わせて実は二段オチ、と・・・・・」
まァ、くるくると頭廻して描いてたもんです。
『エビフライ』だけは印象として覚えていました。何しろ実体験なんで。 ・・・・・と言っても「緑の墓」へ入れられていた訳じゃない、連載当時、ぎっくり腰であちこちの治療院巡りをしていまして、その辛さがネタになったって訳で、何事も人生、無駄にはならないものですね。
また「緑の墓」、あそこのイメージはジョン・フォード監督の一連の西部劇に登場する背景から、記憶のまま描いたってことなんです。
で、ご指摘の「山南総長」、その通り、新撰組からいただきました。この辺りは思いつきで、あまり凝るってことしません。それが欠点で・・・・・ 思いつきですからすぐ忘れる。だから何週間か後に登場すると名前を付けていたのを忘れ、また新たに付けちゃうから別の名前になってるなんて・・・・・
一時ヘボピーが「トラさんや・・・」と呼ばれてまして、読者の指摘で何十年か後に知った、けど、「あ、そう」って、あまり気にしていませんが、私。

話は「緑の墓」ですね。
筋立ては単純に刑務所脱獄のパターンなんですが、どっちかっていうと、ナチ収容所からの脱走物かも。だから旧ドイツの装甲車なんか一杯登場してくるわけなんですが、ここで内輪の話。
背景となる刑務所は岩山をくり抜いただけという設定ですから、まァ、参考資料も必要ない、描くのは楽。何ページも一気にイケる、締め切りの心配はない。 ・・・・・と、油断でしたねぇ。
その分、趣味に走って機械もの登場させ、それもハンパじゃなくストーリーに組み込んだものだから、まァ、作画時間の掛かること。途中で止めときゃ良かったと思っても、もう遅い。
次々アイデアが湧いて来ればそのままストーリー、膨らんじゃう。かと言って、アシスタント任せの絵は嫌い。
タッチの指示はしても主たる部分は自分で納得出来るまで描き込む。それもデッサン、気に入るまで何度もやるから、原稿が消しゴムだけでも汚れてしまい、その汚いこと。
それでも今見直してみると、その絵、ヘタ!
みなさん、機械もの褒めてくれるけど、いやァ恥ずかしいね。
ちょっと岩にでもぶつかったらバラバラになりそうな質感なんです。だから、見直すのは嫌いなんです。ああすれば、こうしてればって思ってしまう。
唯一救いはストーリー。
昔のことですから描いた本人もすっかり忘れてる。だから先が読めない。つまるところ一読者になれてる訳で、そこは妙に感心して楽しんでますけど、吉田竜夫先生のところで勉強させて貰っていた頃と変わらず、絵はホント、中々上手くなりません。その欠点補うため、ストーリーに拘る。これ一生のコースなんでしょうねぇ。久々、読み返して納得です。

機甲もの好きとしては、eddy-sさんが自衛隊土浦駐屯地へ行かれたように、私、最初のヨーロッパ旅行は28歳のときに約一ヶ月間。TVのクイズ番組での優勝で三週間ディレクターと一緒で、その後はひとりヨーロッパに居残り、念願の戦車を見ることと、ヨーロッパの最北へ足を伸ばすってことの二つ、達成しました。
まァ、英語もろくに通じないベルゲンなんて、ノルウェー最北というか、北の果てそのものっていうか、ただ北海を見たい自己満足のために行ったわけですが、寒風の中、真っ青というか真っ黒に近い海に白い波頭が、それこそ風に吹かれたウサギが群れ跳ぶような光景を目にしたときの感動、今だに忘れられないですねぇ。
周りには人っ子ひとりいない岸壁から見たってのも良かったンでしょうねぇ。

話は反れた・・・・・

『パンター』(旧ドイツ軍V(5)号戦車)。
パリ、廃兵院の中庭に置いてあります。色はオーソドックスなイエローなんですが、自由フランスのマークが描き込まれているんです。多分、ドイツ軍から分捕った戦利品なんでしょうね。
で、これ、触れるンです。いやもう、コツコツ、ペタペタと叩き、装甲の厚みを、手触り肌触りを一時間近く楽しんでました。
どの角度から見ても『美』なんですよ。
人殺しの道具なんですが、こうして平和の中で触れる幸せを感動とともに噛み締めたもんです。
他人には判らない、至福のひと時です。




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  • ラーメン屋 :
    「緑の墓」 ワイルド7の中でも私にとってはベスト3に入ってます。
    囚人の監視に大戦中の戦車や装甲車を使うなんて先生以外では
    考えもつかないストーリーですよね。
     
    私、最近タミヤのMMシリーズの作製、復活しました。
    「バサラ戦車隊」の影響が大なんですが、昔あまり作らなかった
    日本軍や旧ソ連軍の戦車に興味がわいてきました。

    eddy-sさんもミリタリープラモ復活されてはいかがですか?
    家族には白い目で見られますが、、、(笑)
  • eddy-s :
    おお!ラーメン屋さんコメント有難うございます。

    タミヤのプラモねぇ~。
    おととしの正月実家に帰った時に、20年ぐらい寝かしてあったタミヤの1/35「ティーガーⅠ戦車」を小学生の甥と一緒に作ったのですが、作ってる途中で根気がなくなってきて、しかも老眼で設計図の細かい文字がよく見えず、その都度メガネはずして近くまで持ってこないと見えないというジレンマで、もう昔のようにプラモは作れないなぁ~と感じてしまいました。トホホ。

    ・・・が、新年にあたりそれではいけないと思い、心機一転昨日街に出かけて工具や塗装工具を色々と山のように買い込んできました。
    まだ言えませんが、ある企画を進行中です。発表までお楽しみに!

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