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作品紹介

第53回

三丁目のサラダ

執筆者:   2013 年 5 月 7 日

一度聞いたら忘れられないタイトル、読んだら忘れられないぶっ飛んだ設定に、見たら後を引く絵と、噴出すギャグのマシンガン。望月三起也漫画の面白さと才能が凝縮された作品のひとつがこれ。

『三丁目のサラダ』を初めて読んだのは中学生の時、いつも利用している床屋の待合室にたまたま置いてあった「ビッグコミックオリジナル」でした。

1ヶ月に一回の割合で床屋に行っていたので、しばらくそこに置いてあったのか、行く度に何度も読み返した記憶があります。望月先生がお得意のコメディ路線で、私の趣向とドンピシャの内容だった事もあり、なぜか記憶が鮮明に残っていました。


高校生の時、クラスメートのF君から大都社版『薔薇のイブ』の単行本を譲り受け、家に帰って読んだら、巻末に傑作短編集として数本が収録されていて、その中にこの『三丁目のサラダ』が
ありました。

忘れていた思いと懐かしさとが入り乱れとても感動した事を覚えています。


あらすじは、婦人警官の制服姿の本名:渡辺マサ子、通称:サラダが交通違反した建設会社の事務所に乗り込むところから始まります。

しかもサラダは実は警察官ではない…?!この展開は、『うるとらSHE』でも似たような展開があったような…。なぜこんな無茶が
出来るのか?

実は、サラダの自宅兼店舗の「スナック☆花園」の敷地内の庭に
何と三丁目警察署が建っているというとんでもない設定。

つまり三丁目警察署は店子で、「サラダ」は大家という立場。

署長以下誰もサラダに意見が出来ない。備品や押収品、証拠品も勝手に持ち出してしまう始末…。

その三丁目警察署を舞台に、看板娘の「サラダ」と三丁目警察署の刑事たちとが織りなすハードボイルド人情コメディです。

一見何ら関連ないと思われた別々の事件が最後に一つの線で繋がるという秀逸な展開でした。

それにしても望月先生は「三丁目警察署」がお好きのようで、
『Oh!刑事パイ』の舞台も「三丁目警察署」でした。

「サラダ」の婦人警官の制服姿は、『ワイルド7』「ガラスの城」の「アグネス・ジン」そっくりです。「ガラスの城」で「アグネス・ジン」を初めて見た時、「あっ!サラダ」だ!と思わず叫んでしまいました。(苦笑)

それと登場人物の中にまるで『ワイルド7』の「草波」が年取ったような刑事が登場し、ガミガミ口うるさく小言いう姿に、現実にこんな上司がいたらいやだなぁ~と思った記憶があります。(苦笑)


さらに鑑識課の署員の中に『うるとらSHE』の
「九郎」の顔も…。

ここでウンチクをひとつ、作品中「アマゾネス」というセリフが何度も出てきますが、今の若い人には意味がわからない人もいらっしゃると思うので、簡単にご説明を…。

この「アマゾネス」という言葉は、もともとギリシャ神話にも出てくる女性だけの狩猟部族の事で、英語表記だと「Amazónes」。日本でこの名前が有名なったのは「007」シリーズで有名な「テレンス・ヤング」監督の1973年映画「アマゾネス」がヒットしたのが始まりだと記憶しています。

『三丁目のサラダ』が発表されたのが1974年ですので、映画を観られた望月先生が何とかこのアマゾネスを
活用した作品を作りたいと思われたとしても不思議ではありません。

今回見事、「アマゾネス」のような素晴らしい作品に仕上がっていました。

まったく余談ですが、アメリカTVドラマ「ワンダーウーマン」の設定も「アマゾネス」の流れをくむ女系種族の
お話でした。

ただ残念なのは、現在『三丁目のサラダ』を読む方法は、かつて発売された単行本を探すしか方法がありません。短編傑作選と銘打って、どこかの出版社で刊行してくれないですかねぇ~。

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『三丁目のサラダ』

1974年 ハードコミックス(大都社)『薔薇のイブ』全1巻(8月30日初版発行)併録

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望月先生のコメント

そうでしたか、eddy-sさん。アマゾネスって今や解説が必要な時代でしたか、ノンキだねぇ私も。誰でも知ってるアマゾネスかと思ってたけどね。
なにより大きくて強いパワフルな精神。 と、くればこういう表現がピッタリだった時代だったンです。
さらに女戦士で色っぽいってのも、このアマゾネス。多分に映画のイメージもあったかなァ。でも、ギリシャ神話に登場するとはいえ、太ももしっかりさらけ出しはこの時代のファッションであっても、一族すべて美人、美形ってわけじゃなかったろうに、なぜか美女軍団だって、私もそんなイメージ持ってました。ただし、行動とくると、そこは私がイメージ膨らませ、突拍子もない主人公になる。
さらに『ビッグコミック調』ともいえるあのシリーズ、他誌ではもう少しリアル美女を描いてましたが、ここでのシリーズはギャグで押しまくってました。もちろん読み切りでもこの路線。

何十年ぶりかで見てみたくなり、書庫を引っ掻き回して、やっと一冊でてきました。
その間30分、整理が悪いから目的のものを見つけるのにこうなる。yazy君なら片付け得意なんだろうね、今度会ったら整理方法、聞いとかなくては。もっとも探すっていうより、寄り道が多いンだよね。

書庫には40年も前の少年キングなんてのもズラッと並んでるし、かつて読んだ小説もお気に入りは取ってあるわけよ。
「わァ、『新撰組』も子母沢寛だけじゃなく、村山知義版もあるんだ! 『三国志』も“秘本”バージョンが6冊も! 『忍者武芸帳』かァ、懐かしいィ~、全刊揃って・・・・・ わァ、一冊抜けてるゥ~!!」 なんて、寄り道が多いわけですよ、私の性格。
これだから作品のストーリー展開もあっちこっちと跳び、それを読者は意外性と喜んでくださるンですが、社会人としては如何なものかと・・・・・

話は『三丁目のサラダ』から外れてしまいましたが、読み返して結構イタズラがあって面白かったね。確かに警察署内に草波さん、登場させたりしてる。
まァそもそも、自宅の庭に署を置くって、どんだけ広い家に住んでるんだ、そんな広い土地、都会にあるかって?
ツッコミどころ有り過ぎの一編ですね。

こういった短編、たくさん描いてましたねぇ。短編集として拾い出してまとめるってのも面白いかも。
今度eBookの編集さんに相談してみよう。




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